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夢のマラソン

企業スポーツを考える

スポーツ社会学を専門に研究している森川貞夫さん(日体大教授)が、毎日新聞のインタビューに答えている。「企業が運動部を利用した挙げ句、突如活動を中止させるのは、<派遣切り>と一緒である」。企業チームの休廃部が続出する現状を、そう表現する。「何千人もの従業員を解雇するための<いけにえ>としてスポーツを利用しているからではないか」。

2月9日に、日産自動車が野球部と卓球部、陸上部を休部すると発表した。日産自動車は、長距離種目とも関係が深く、過去にマラソンの工藤一良や森田修一、3000mSCの山田和人などの名ランナーを輩出している。特に、工藤は87年の福岡国際マラソンで、日本人3位に入り、同大会を欠場した瀬古利彦とソウル五輪の3人目の代表をめぐって話題となった。

昨年秋の金融危機以降の企業スポーツ団体の動きとしては、昨年10月にファイテンが12月末で陸上部を廃部を発表し、12月にホンダがF1活動から撤退、プリンスホテルがアイスホッケーチームを廃部を決めた。今年に入って、ホンダの男子ハンドボール部の日本リーグからの撤退を発表。90年代の経営危機で、2チームを存続させて乗り切った日産だが、今回の休部は、今後の他社への影響が心配である。

一方、トヨタ自動車は運動部の継続を明らかにしている。同社の宮崎直樹常務役員によると、経費の見直しが運動部に及ぶことに対して、「逆に選手は燃えている」という。「厳しい状況の中で、自分たちが頑張ってみんなに勇気と活力を与えるんだと。それを見て、従業員も前向きな気持ちになって難局を乗り切っていこうとする」(2月12日毎日新聞)。

このような企業スポーツの動向は、各種スポーツ大会の開催にも少なからず影響を及ぼすのではないだろうか。競技の大会開催についても企業のかかわりが深い。大会を実行するには、入場料や参加料に加えて企業による協賛金や広告料によるところが大きい。もし、企業からの支援がうち切られたならば、たちまち大会の運営が立ち往かなることは目に見えている。これからのスポーツイベントのあり方について、競技団体だけでなく、企業そして一般の参加者がともに考えていく必要がある。

ちょうどタイミング良く、毎日新聞が「逆風の中で/企業とスポーツ」というテーマで、企業とスポーツの関係について識者に聞く9回にわたる連載記事が始まった。社会人野球や実業団陸上などと積極的に関わってきた同紙らしい企画である。この逆風は、企業スポーツのあり方、スポーツ団体の財政的自立、企業に寄りかからないパートナーシップなどを考える上で、むしろ好機といえまいか。
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by hasiru123 | 2009-02-15 19:27 | その他