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長距離種目における大学の地域差について

10月25日に全日本大学女子駅伝が、そして11月1日には全日本大学駅伝(男子)が行われた。男女の上位校を地域別に見た顔ぶれは対称的である。男子の上位9校が関東勢であるのに対し、女子の上位3校は関東以外だからだ。

その特徴をさらに詳しく見るために全日本インカレの長距離種目で入賞した選手数と総合上位の学校数で地域差を比較すると、以下のようになった。

<1500m、5000m、10000mの(のべ)入賞者数>
       関東  関東以外
男子長距離  19    5
女子長距離   5   19

<総合得点で8位以内に入った学校数>
       関東  関東以外
男子総合    6    2
女子総合    4    4

長距離男子は関東に一極集中しているのに対して、女子は西高東低で、まったく反対の傾向が見られる。トラックとフィールドを含めた陸上競技全体ではどうかというと、男子は関東が優勢だが長距離ほどのアドバンテージはない。女子は、ほぼ互角といったところ。関東に学校が集中していることを考慮すると、女子のこの結果ややや意外な感じがする。

関東に多くの大学が集中しているのは周知のことだが、この男女差は何によるのだろうか。男子の長距離で関東が強いのは箱根駅伝効果として納得できるのだが、女子は関東以外の地域、特に関西が強い。具体的な学校名を挙げると、長距離では立命館大と佛教大だ。そして、名古屋の名城大も頑張っている。

男子長距離の場合は、実力のある選手は高校を卒業するとまず関東の大学に入って箱根を走る。大学で、一定の成果を出せたなら、実業団に進むという流れができあがっているようだ。女子の場合は、力のある選手は大学へ進学せずに実業団に入るケースが多い。実業団の強豪チームが集中する関東の高校生たちは、特にその傾向が強い。したがって、関東の大学は学校数が多いこともあって、走力のある選手が分散し、選手層がどうしもも薄くなる。したがって、関東以外の大学との差異化を図ることができずに、強豪選手が集中する立命館大や佛教大などに及ばない。

インカレという大学対抗戦の視点からみると、実力校が関東に集中しない女子長距離や、男女短距離、男女フィールド種目の方が全国大会の名にふさわしい戦いが見られて興味深い。学生のレベルを引き上げる点においても、全国規模で競う方が利点がより多いのではないだろうか。

箱根駅伝という歴史とイベントの大きさが、学生陸上競技の姿を映し出していることは間違いない。これがいいとかいけないとかではなく、この地域差は果たして選手たちの成長にどうかかわるのだろうか。上表の数字を見ながら、考えたことである。
by hasiru123 | 2009-11-15 23:38 | 駅伝