夢のマラソン

自然の中を走る

長年、市民ランナーの指導にあたってこられた山西哲郎さんに『山西哲郎の自然流マラソン読本』というエッセイがある。「今日季節感の失われてきた日本人のなかで走者だけはまだ、その感覚を感触を万葉の時代の人々と同じようにもちづつけているのではあるまいか」と、その第1章に記している。

「マラソン走者は、季節感をもち、それに応じてトレーニングを変化させ、楽しまなければならない」「脚によって大地の広がりを知り、気温や湿度、風や光、万物の姿、と五感を鋭くしながら心も広げていく」。やがてぼくたち日本的走者は歌人や旅人のように、四季の趣きによってマラソンのトレーニングの方法を創りあげていく、と続く。著者が42歳のころに書いたものだ。

私も、山西先生の一文に刺激されて、好天に恵まれた今日、森林公園でクロカンを走ってきた。ここのクロカンコースは、その大部分が林に囲まれているため、初夏の強い日差しをさえぎってくれる。涼しい自然の中を、樹木のにおいに包まれながら走れるのは、ランナー冥利に尽きる。

約5.5キロのコースを3週。周回ごとにペースを上げるビルドアップ走だ。最初はスローペースでも、激しいアップダウンの繰り返しに、ボデーブローのように脚に効いてくる。この半年間でもっとも苦しい練習だった。

話は変わるが、わが国を代表するアスリートたちは、香川県立丸亀競技場で開催されている第94回日本選手権兼アジア大会代表選考会の最終日に、熱戦を繰り広げた。長距離種目では男女5000mをテレビ観戦した。湿度の高いのが災いしてか、記録は奮わなかったが、レース内容は見ごたえのあるものだった。特に男子は、一昨日の10000mに続いて最後まで手に汗を握る接戦。最後は、松岡佑起(大塚製薬)が大西智也(旭化成)を振り切って初優勝した。

その他の選手では、世界陸上の代表になったことのある三津谷祐(トヨタ自動車九州)や佐藤悠基(日清食品)が奮わなかったのが気になるところだ。また、女子の方では昨年10000mで優勝した中村友梨香(天満屋)やスピードランナーの小林江梨子(豊田自動織機)が精彩を欠いているのはどうしたことだろう。早く復調して、雄姿を見せてほしいと願っている。
[PR]
by hasiru123 | 2010-06-06 23:38 | その他
<< もう一つの日本選手権 タイムトライアルは調子を測るメジャー >>