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夢のマラソン

武士の家計簿

武士の家計簿 ―「加賀藩御算用者」の幕末維新 (新潮新書)

磯田 道史 / 新潮社


映画や小説などで見る武士像はあふれているが、その実像は意外と知られていない。明治維新から140年余しか立っていないにも関わらず、である。

「武士の家計簿」は、幕末の武士が残した家計簿を解説した同名の本を映画化したものである。この本が世に出たのは2003年だが、その後2007年にNHKの「知るを楽しむ歴史に好奇心」という番組で、4回にわたって磯田道史の解説による「拝見・武士の家計簿」が放映された。その両方を読み、そして聴いていたので、史料で見た武士の生活の様子がどんなドラマとして再現されるのかに関心があった。

加賀藩士・猪山家が残した文書からかいま見えた武士の生活実態は、積もり積もった借金の山から逃れるための悪戦苦闘とその末のサクセスストーリーだったといってよい。武士とその家族は、さまざまな「しきたり」や決まりごとのなかで生活を送っていた。年中行事や儀式典礼などもその一つで、そのための出費は家計にとって大変なものだったようだ。「猪山家の借金生活も、そして財再建も、このような状況のもとでなされた」とテキスト「拝見・武士の家計簿」にある。

この映画を見て、さらに武士の生活を知りたいという方は、上記の2冊を読むとよいだろう。猪山直之とその妻を演じた堺雅人と仲間由紀恵の共演もすばらしかったが、本書の誘う史料の世界は、歴史的な好奇心を拡げてくれるにちがいない。

私も、そして私の家族も家計簿らしきものは記録していないが、私はランニングの練習日誌を継続的につけている。何で練習日誌なのかというと、実はこの記録方法について武士の家計簿からあるヒントをもらったからである。
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直之の息子の成之(なりゆき)の日記の記述が特徴的で、ある日の日記の記録のページに、翌年以降の同日や前年以前にさかのぼって書き連ねている。この理由について磯田氏は、第一に「1年で使い終えることをもったいないと考えたため」、第二に利便性を考慮して「複数年の連用日記のような使い方」で1年前やそれ以前の年の当日に何をしていたかがすぐわかる」ようにしていたためではないか、と推測している。このうち後者の方法は、毎日の練習を必要に応じて過去の自分と引き比べて、調子を計ったり、練習の進捗を確認したりする際に応用できそうな気がする。

年間1冊のノートではなく、日を中心に複数年の練習内容やレースの結果などが1冊のノートに一覧として記録されていたなら、一層の利用価値の向上が期待できるのではないだろうか。余談かもしれないが、ランナーの視点として、記しておきたい。
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by hasiru123 | 2010-12-19 23:57 | その他