世界フィギュア女子

東日本大震災の影響で、開催地を東京からモスクワに移したフィギュアスケートの世界選手権。グリーグの「ピアノ協奏曲」に乗せて、安藤美姫選手が優勝した。4年ぶり2度目の世界女王に輝いた。彼女を世界一に押し上げたのは、「特別な思い入れがあった」という強い気持ちだったかもしれない。

安藤選手の今シーズンは5回の国際大会で4度目の優勝ということで、好調を維持してきた。配点の高いフリーが、今年は特に強かったことも奏功した。演技後のインタビューでは、「自分のスケートを変えずにやってきたこと」を勝因に挙げていた。私はこの競技のテクニカルな点については不案内だが、目先の順位にこだわらない謙虚な姿勢こそが彼女の強みであると思っている。

一方、昨年の冬季五輪を制した金妍児(キム・ヨナ)選手は、3回転ジャンプが1回転になるなどフリーで伸び悩み、安藤選手に一歩及ばなかった。2位に終わり、表彰台で目を濡らす金選手を見た。彼女の涙姿を目にしたのは、これが2度目である。最初は先の五輪で。フリーの演技を終えた後、リングサイドで泣きながら手を振っていた。精緻な演技の印象が強かっただけに、五輪の重圧から解放された素顔を見たようで、すがすがしい思いでテレビ画面に見入っていた記憶がある。

金妍児選手のすごいところは、1年以上にわたるブランクにもかかわらず、高いレベルで見事な接戦を演じたことである。五輪で金メダルも取ったし、ほとんどの目的を達成してしまった上での挑戦である。モチベーションを高めることに腐心したことと思う。ファンとしては、これからも安藤選手や浅田真央選手らとともにぜひ熱い戦いを見せてほしいと期待している。

その金選手。「東日本大震災で被災した子どもたちを支援するため、大会賞金の全額2万7千ドル(約220万円)を国連児童基金(ユニセフ)に寄付する」との報道に接した。また、安藤選手は大会後に帰国せずに、世界中のトップスケーターと震災復興支援のチャリティショーに出演するという。両ライバルの、リング外での貢献活動にも拍手を送りたい。
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by hasiru123 | 2011-05-02 14:02 | その他  

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