災害ボランティアとマラソン

東日本大震災の被災地支援を求める人たちが数多くいる中で、ボランティアをしたいという人が多く出てきている。しかし、「気持ちを形にするのは簡単ではない」と中央大学教授の山田昌弘さんは毎日新聞に書いている(5月13日「私の社会保障論」)。現地の人とボランティアをつなぐ仕事は、役所やNPOなどのスタッフがばらばらに担っているのが現状だ。

被災者ニーズと支援希望者の意向をすり合わせることを目的とする組織がある。「ボランティアコーディネーター」である。「ボランティアをやるために現地に来たが仕事がない」などのすれ違いを解消させるのがねらいだ。NPO法人の日本ボランティアコーディネーター協会では、この言葉について<市民のボランタリーな活動を支援し、その実際の活動においてボランティアならではの力が発揮できるよう市民と市民または組織をつないだり、組織内での調整を行うスタッフ>(同団体のサイトから)と定義している。

それぞれの分野で活動するボランティアをつなぎ、その専門性を向上させたり、社会的認知を推し進めたりするなど、専門職として制度化することが大切だ。これらの成果は、災害被害の支援活動にとどまらず、様々な活動の手助けとなろう。

スポーツの分野でも、様々な種目のアスリートが共同で、企業や行政機関、教育機関など社会とつながりを持って、スポーツのあり方を変えていこうという取り組みが始まった。そのひとつに、「一般社団法人アスリートソサエティ」(理事長為末大)というのがある。生計に困っている選手に資金援助をするなど次世代の若手を支える組織として創設されたものだ。その定款によると、「①アスリートの競技活動支援及びアスリートのセカンドキャリア支援を通じてスポーツの発展に貢献するとともに、アスリートの経験を広く社会に還元」を始めとする16の目的が記載されている。これらには、スポーツ大会・イベントの開催事業を始めとする幅広い支援活動が含まれている。

この団体は、震災の2日後に寄付専門サイトに募金の窓口を設けてツイッターなどで協力を呼びかけたり、4月に「今、選手にできること」をテーマに被災者への支援活動について討論集会を行ったりしている。若い選手が集まっているだけに、ブログやツイッター、フェイスブックなどのネットワークを生かして、スピード感のある活動を進めている。

支援活動のノウハウは、災害時にはもちろんのこと、平常時においても、たとえばマラソン大会のボランティア活動にも活用できそうな気がする。東京マラソンでも、地方で開催されるマラソン大会でも、必要とされるボランティア活動内容には共通のものがある。大規模なマラソン大会が増えつつある昨今だ。ノウハウや人材、パワーなどを互いに利用し合って、立ち上げを容易にし、負担を軽減した運営を考えたい。そうすることによって、ボランティアの認知や理解がいっそう高まり、活動も活性化されるのではないだろうか。
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by hasiru123 | 2011-05-16 12:17 | その他