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テグ世界陸上 男子マラソン

世界陸上の男子マラソンは、予想どおりケニアが強かった。優勝したアベル・キルイは20キロ以降の5キロをすべて14分台でカバーした。特に25キロからの5キロは14分17秒まで上がり、5人の集団から抜け出した。

中盤とはいえ、これは驚異的なハイペースである。その他のアフリカ勢は誰一人ついていくことができなかった。キルイは、前回の世界陸上に次ぐ優勝で、事実上の世界のナンバー1といえる。

優勝者に対して「事実上の」などと余計な形容詞をつけるのも変だが、キルイは今年度の世界10傑には入っていなかった。ケニアには10傑に入る選手が7名いたが、それ以外にまだ強い選手がいたということだ。

そんな中で、日本の選手もよく走った。特に、7位入賞した堀端宏行(旭化成)は、22キロ手前から先頭集団からは離れたが、終盤よく粘った。できる限り先頭集団につくという積極さと、先頭から遅れた後にも一人ずつ順位を上げていくという切れない気持ちを最後まで持ち続けた点は大いに評価できる。誰よりも厳しい練習を課したという宗猛監督も、そしてテレビで解説していた瀬古利彦氏も堀端の伸びしろに大きな期待をかけているようである。今日の経験を踏み台に、ロンドン五輪、そしてロンドン以後に臨んでほしい。

中本健太郎(安川電機)も終盤粘って、10位に食い込んだ。そして、川内優輝(埼玉県庁)は18位だった。川内は、戦前クローズアップされ過ぎて、精神的には大変だったと思う。もう少し、楽な気分で走ってほしかったが、これも大選手になるためには避けて通れない壁だ。次に期待したい。

一方、各国上位3人の合計タイムで争う国別対抗戦では、この3名のがんばりで日本はケニアに次いで2位に入った。よく戦ったと思う。エチオピアやモロッコなどの強豪国を退けたことは、大きな意味がある。

今回の世界陸上では、女子もそうだったが、強いアフリカ勢はこれまでの個人プレーが影を潜め、集団の中でチームプレーに徹してレースに取り組んでいるようだった。複数のメダルを獲得しようというこの戦略に、他国の選手たちは対応することができなかった。五輪には国別対抗戦はないが、来年のロンドン五輪のマラソンでアフリカ勢の一角を崩す意味では、チームジャパンの2位は価値がある。
by hasiru123 | 2011-09-04 19:51 | マラソン