結果が読めないから面白い 箱根駅伝

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今年の大会は、これまでとは別の意味でとても見ごたえのあるレースだった。往路、復路ともに東洋大が圧倒的な強さで大会新つきの完全優勝を果たした。めまぐるしいトップ争いという意味での興味は薄らいだものの、強さとこれまでの大会記録を8分以上も縮める歴史的なタイムの前に、2日間ともテレビ画面にくぎ付けにしてくれた。

関心の高さは視聴率という数字にも表れていた。日本テレビによると、往路と復路の平均視聴率は28・2%で歴代4位を記録したそうである。同じく12月に行われたフィギュアスケート全日本選手権の女子フリーが、浅田真央など上位陣が登場する放送後半の20時~21時で平均視聴率が26・7%(ビデオリサーチ調べ)だったことと比べてもその高さのほどがわかる。

東洋大は持てる力を十二分に発揮できたのに対し、3強あるいは1強ブラス3強と言われていた他校は普段の実力を出すことができずに、3区以降勝負に加わることができなかった。2位に9分2秒という大差は、120パーセント位の力を発揮した東洋大と80パーセント程度の力しか出せなかったチームとの違いである。

今年の結果を見て思ったのは、戦前に公表されたエントリー選手たちの5000mや10000m、あるいはハーフマラソンのベストタイムから予想することは難しいということだった。ベストタイムの数字が本番の結果を保証するものではないことは百も承知であるが、持ちタイムと結果とのギャップが大きく異なるケースが目立った。一つには、レース前の調整不足や故障などで体調を崩す選手が多かったことがあげられる。10000mのロンドン五輪の標準Aをクリアした鎧坂(明大)をはじめ、2区を走った村澤(東海大)、平賀(早大)などは本来であればもっと先を行けるはずの選手たちである。

もう一つは、戦前のベストタイムが必ずしも本人の今シーズンのベストパフォーマンスを表しているとは言い難い点があることだ。インカレなどの競技会は対抗戦という意味から勝負に徹して臨むことが多いので、そこであげたタイムは必ずしも本人の走力を示しているとは限らない。また、記録会でのタイムはある程度勝負を度外視して記録作りに専念した結果なので、どこまで競り合いに強いかという点が未知数である。ハーフマラソンの記録は箱根の各区間の距離に近く相関が高そうだが、これもコースや天候、競合の相手などが異なるので、横一線で比較することが難しい。

最も確度の高い選手の実力を知っているのは、日頃の練習の内容や選手の体調、性格などをよく把握している現場の監督やコーチだろう。こういった諸々の情報を持っている指導者たちは、詳細な情報をけして周囲に明かすことはない。本練習のメニューすらめったに公開しないことが多いと聞く。それでも自分のチームについて、今回の展開を読めなかった監督は多かったのではないだろうか。駒大や早大が、東洋大にこれだけの大差をつけられるとは思ってもみなかったと思う。もしかすると、東洋大の酒井監督も4区から5区間連続で区間賞を獲得して大量リードを奪うとまでは想像していなかったかもしれない。

それだからこそ、過去の戦績と睨めっこをしながら予想し、応援する面白さがある。来年は東洋大、駒大、早大とも、今年走った選手が相当数残る。また、今年活躍した明大と青学大は来年はきっと優勝争いに絡んでくると思う。ますます、箱根駅伝から目が離せない。


(写真)2009年の2区
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by hasiru123 | 2012-01-08 22:22 | 駅伝