世界が少し見えてきた 東京マラソン2012

今年の東京マラソンを走る選手はラッキーだな、と思いながらテレビを見ていた。前世界記録保持者のハイレ・ゲブレシラシエ(エチオピア)と一緒に走れるのだから。ゲブレシラシエは、マラソンで2度にわたって世界記録を打ち立てただけでなく、マラソンを走る前は5000mと10000mでも世界記録を作っていて、今やエチオピアの国民的英雄である。

今回は、体調が万全ではなく4位に終わった。38歳という年齢を考えると、称賛に値する健闘だったと言えるのかもしれない。この結果によって、20年もの長きにわたって世界の陸上界をリードしてきた功績はいささかも色褪せることはない。彼がエチオピアやケニアの選手の水準を一段と引き上げたことは疑いを入れない。そして、なによりも世界の長距離レースをこんなにも面白くしてくれた選手は他にはいなかったのではないだろうか。

さて、東京マラソンの大きな収穫は、藤原新(東京陸協)というゲブレシラシエを追い、つき離す選手が日本にも誕生したことだ。自己ベストを更新する2時間7分48秒も好タイムだったが、25キロ以降第2集団を抜け出した思い切りの良さに感心した。優勝したマイケル・キピエゴ(ケニア)には11秒届かなかったが、世界が少し見えてきたと思わせる走りだった。

藤原は、昨年秋に所属先との契約が解除となり、その後独自の練習に取り組んできたと聞く。実業団には所属しない選手の活躍ぶりが目立つ昨今だが、やり方次第では一人でもしっかりマラソン練習が積めることを示したといえよう。

一方の川内優輝(埼玉県庁)は、この1年間注目が集まりすぎて、少しやりにくかったかもしれない。川内一人に焦点があてられる姿は、日本のマラソン界にとってけっして好ましいことではない。大会ごとに、いろいろな選手に希望の光が照らされる姿こそ望ましい。今日の藤原をトリガーとして、来週のびわ湖毎日でも好勝負が展開され、新たなヒーローが誕生することを期待したい。

そして、今度こそ私も東京マラソン当選という幸運のくじを引き当てねば--。
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by hasiru123 | 2012-02-26 21:00 | マラソン