夢のマラソン

陸上も日本水連に学ぶときが来た

4月に行われた競泳の日本選手権は、近年にない見ごたえあるレースだった。ロンドン五輪の代表選考がかかった大一番だったことに加えて、明確な選考の基準が設定されていたことが効果をあげたのではないかと思う。

「日本選手権の決勝で、派遣標準記録を破り、2位以内に入る」というのが、今回の代表決定の条件だった。とてもわかりやすい。それに比べ、陸上競技の男女マラソンの代表選考は、これと対極にある選考方法だと言わざるを得ない。マラソンの選考基準は「各選考会の上位選手から本大会で活躍が期待される競技者」ということで、報道などを通して理解している。しかし、この基準はわかりにくい。

「報道を通して」と書いたが、マラソンのギョーカイにいる人間にしか事前に知ることができないからだ。日本陸連の公式ホームページなどで公表されず(調べてみたが見つからなかったので、多分記載がないのでしょう)、基準についての記者会見をしたということも聞いたことがない。透明性という点で、気になるところだ。

同じ陸上競技でも、トラック&フィールドの方は複雑ではあるがもう少しスッキリしている。代表選考の基準は、たしか「一定期間内における世界陸連の標準記録A突破者で日本選手権1位」は即内定がもらえる。A突破者は最大3名までが可能なので、日本選手権を含めた代表選考会の結果から選考される。A突破者のいない種目は、標準記録B突破者から1名が、これも日本選手権を含めた代表選考会の結果から選考される。短距離や跳躍などは、日本選手権などから選考できなかった場合に、7月に行われる南部記念陸上の結果を見て追加内定が出される。

これまでの選考方法から多分こうであろうという私の推測で書いてみたのだが、多少間違っている点があるかもしれない。最近は陸上競技の専門誌を見ていないので、その程度の知識である。これは、知識が足りないというよりは、一般の陸上ファンが知りうるようには公開されていないことに起因する。これもマラソンと同様に、透明性という点では疑問符がつく。

そして、トラック&フィールドはなぜこんなに複雑なのか。想像するに、標準記録の突破者であれば、Aはあればもちろんのこと、AがいなければBでもいいからできるだけ多くの代表選手を選びたい。陸上競技にあてられた代表枠いっぱいの選手を五輪に送り出したい、という親心があるのではないか。このように、様々な救済措置、というか温かい対策がとられているのである。一発選考と審査を併用した決め方で、これはこれでよく考えられた仕組みだと思う。これほどまでに選手のことを考えた選考は、他の国や地域には見られまい。

一方、この方法には弊害もある。あえてハードルの高いA標準を求めず、B標準に甘んじて、その中で代表争いをする傾向が見られるからだ。どの種目でも、B標準のレベルだと、五輪では入賞ラインに食い込むことは難しい。世界の中で競争力を高めるには、A標準突破者を中心とした選考に変えていく必要がある。いつまでもこの温情的な選考方法に頼るようでは、競技力の向上は望めない。明確かつ高い選考基準は選手の志を高くし、そしてモチベーションを上げるからだ。日本水連が実施した選考方法を日本陸連も見習って、見直しを進めて欲しいと思う。
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by hasiru123 | 2012-04-17 23:39 | その他
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