対抗戦方式に学ぶ

ロンドン五輪の日本は、金メダル7、銀14、銅17で、合計38個のメダルを獲得した。新聞等では、金メダルの数を基準に11位と報じている。この報道に仕方には2つの点で問題がある。

一つは、国と地域の間でメダル数を競うことについての報道のあり方である。2つ目は、比較に際して、金メダルという物差しで評価して一喜一憂している姿勢である。

まず、国と地域でのメダル数獲得競争。五輪憲章にはこう書かれている。「オリンピック競技大会は、個人種目または団体種目での選手間の競争であり、国家間の競争ではない」(第1章オリンピック・ムーブメントとその活動)。国家間の競争ではないとしているのに、JOCは今回の目標を「金メダル数で世界5位以内」とし、報道機関も連日大きく「国別メダル表」を掲載していた。

これほどまでにはっきりした本音と建前との逆転現象は珍しい。メディア的な表現を借りれば「報道機関はJOCに追随した」と言えるだろうし、歯に衣着せぬ言い方をさせてもらえば(自分で言うのもヘンだが)「メデイアはメダル競争をあおっている」。それでは、なぜ「選手間の競争」を「国家間の競争」に持ち込むのか。

五輪憲章が建前であるなら、死守しなくてはいけないものばかりとは考えないが、超えてはならない一線というか節度のようなところがあってもいいのではないかと思う。たとえば、選手強化の目標を立てるときに、前回との比較の目安にすることはあってもいい。確かに、具体的な指標がないと強化策が見えてこないということはあるだろう。さらに、国民的な関心も選手の活躍とともに、競技全体の成長度にあることは間違いない。しかし、「金メダル数で世界5位以内」はやりすぎである。五輪は、国家間の競争ではないのだから。

次に、国と地域の成果に対して金メダルという物差しで評価することの妥当性である。私は、JOCはどうであれ、メディアは進んで金メダル数至上主義を捨てることを求めたい。そこで、評価の指標を変えてはどうだろう。

たとえば、陸上競技の場合だと日本インカレを始めとする対抗戦方式の競争については、各種目の順位を得点化して、その合計で競っている。今年9月に行われる同大会の要項にはこう記載されている。「表彰 1)得点方法は各種目とも、1位8点、2位7点、3位6点、4位5点、5位4点、6位3点、7位2点及び8位1点とする」。インターハイやその他の競技会もほぼ同様の決め方だ。

この手法だと、高順位ほど得点が高く、しかもメダル獲得者だけでなく、入賞者まで評価が及ぶため合理性があり、納得性も高い。メダル獲得者に対してはもっと高い評価を与えたいのであれば、得点に格差をつけてもいいかもしれない。ただし、これも国家間の競争ではなく、選手やチームを強化する上で前回と較するという視点から使うのである。

五輪の楽しみ方を多様なものにするためには、国家間の競争はない方がいい。
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by hasiru123 | 2012-08-19 21:19 | その他  

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