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夢のマラソン

2013年東京マラソンを見て

二十四節気の一つに「雨水」がある。冬に雪だったのが雨に変わり、氷が解けて水に変わることをいう(平凡社「気象の事典」)。 その雨水から6日がたつが、冬将軍はまだ居座り続けている。今朝のマイトレーニングでは、毛の手袋をつけていても指先が痛くなる寒さだった。 今日開催された東京マラソンは、選手にとって寒さが堪えたレースではなかっただろうか。

男子はデニス・キメット(ケニア)が2時間6分50秒で優勝した。キメットは年齢こそ29歳とそれほど若くはないが、昨年のベルリンマラソンに続く2度目の新人ランナーだった。ベルリンでは、2時間4分16秒をマークして2位に入り、初マラソンでは世界最速、そして世界歴代5位の快記録であった。

前田和浩(九電工)が4位の2時間8分0秒でゴールし、日本人トップだった。今年8月にモスクワで開催される世界陸上の、即内定の条件である「日本人トップで2時間7分59秒以内」には1秒届かなかった。

レースが動いたのは30キロ過ぎだった。それまでは風の影響で、5キロが15分を超えるスローペースで進んでいたが、ペースメーカーが外れるとジェームズ・クワンバイ(ケニア)が一気にペースを上げた(注)。先頭集団はケニア勢5人に絞られた。前田が追い、やや遅れて今井正人(トヨタ自動車九州)と佐藤悠基(日清食品グルーフ)が並走して追う。前田の好走のポイントはここにあったと思う。

優勝したキメットは35キロまでの5キロは14分25秒と驚異的なペースに上げた。そんな中で、日本人では前田だけがケニア勢に食らいついて、トップが見える位置で追い続けた。これまでの主要な大会で上位に入った日本人選手は、トップが急激にペースアップしたときには自分のペースをきっちり守って後半に備え、前から落ちてくる選手を拾う戦術を取ることが多かった。このやり方は大崩れしないで確実に走り切れるメリットがあるが、これだといつまでたっても世界との差は縮まらない。

結果的には前田はトップと1分10秒の差をつけられたが、多少無理でも集団の流れに対応していく積極的な戦い方を高く評価したい。一方、戦前から好調が伝えられた今井には、前田のような「挑戦」する姿が見られなかった。元旦の実業団駅伝では最長区間を走って区間新記録を打ち立て、成長の跡を見せくれたのに。

今日のレースをテレビで見ていて、今井は前半先頭集団から脱落してしまったのではないかと心配になるくらい、目立たない位置をキープしていた。それだけ無駄な動きが少なかったということだ。マラソンの集団で効率的に走るお手本みたいな走りができていたので、終盤に期待をかけていた。マラソン人生で何度もない好機を逃してしまったのではないかと、惜しまれる。


(注)集団の「規模」(先頭と後続との時間差)と選手の「数」は以下のとおり。
15キロ  5秒以内 34人
20キロ  3秒以内 31人
25キロ  5秒以内 24人
30キロ  11秒以内 19人
35キロ  集団なし
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by hasiru123 | 2013-02-24 19:44 | マラソン