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日本陸上選手権が面白くなった

今年の日本陸上選手は、6月7日から3日間にわたって東京・味の素スタジアムで行われた。今年は、8月にモスクワで行われる世界選手権の代表選考会を兼ねる。

この大会の特徴をひとことで言うと「記録と趣向の面白さが増した」ことだろう。陸上競技は五輪の中でメイン競技と言われながら、国内の人気は今ひとつだった。観客数では、サッカーや野球に大きく水を開けられている。ところが、今回は少し違っていた。広い味の素スタジアムのメインスタンドがいっぱいのファンで埋まっていた。

先ごろ男子100mで10秒01を出した高校生の桐生祥秀人気や、男子200mと男女やり投げ、男子棒高跳びなどへの期待もあっただろう。また、代表選考の基準に「派遣設定記録」(世界ランキング12位程度)を設け、この記録をクリアした選手は、日本選手権で8位以内で入賞すると自動的に内定することになった。世界選手権で入賞が期待できる記録を持ちながら、日本選手権で故障などで上位に入れなかった選手の救済措置である。ねらいは、より高い記録を目指そうというインセンティブ効果にあった。先に挙げた種目の好成績にもつながったといえよう。

もうひとつの人気上昇の要因は、見せるための仕掛けが組み込まれていたことだ。例えば、プログラムの編集である。これまでは、タイムスケジュールやエントリーメンバー表が中心の地味な表記だったが、種目ごとの解説記事のスペースが大きくなった。また、場内アナウンスが豊富になり、レースが終了すると動物のマスコットを身につけた子供たちが選手を祝福するシーンも見られた。

この会場は、多目的スタジアムである。当初は主に球技会場として使用されていたが、現在は陸上競技場としても利用されるようになった。したがって、トラックと観客席が接近した設計になっている。できれば、トラックと観客席の距離をもっと縮めて、9レーンの選手を目の前で見られるくらいにしてほしいと思っている。選手と観客が近く感じられるという心理的な効果に加えて、長距離種目ではスタンドが接近しているとトラックが狭く感られじるという視覚的な効果が働くからだ。ヨーロッパの競技場は意識的にそういう設計を施しているところが多いと聞く。

選手のモチベーションを上げるには、成績や記録などの結果だけではなく、会場まで足を運んでくれる観客の応援という後押しも大切だ。一方で、観戦する側からすると、もっと応援したくなるような熱い戦いをしてほしいと思う。選手と観客の双方がうまく噛み合えば、Jリーグを凌ぐ日が来ることも夢ではない。
by hasiru123 | 2013-06-11 07:19 | その他