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チャグチャグ馬コ

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盛岡市で開催された伊藤若冲展を観たついでに市内をいろいろと散策してきた。中でも幸運だったのは、旅行最後の6月8日(土)に盛岡地方の代表的な祭りであるチャグチャグ馬コを見ることができたことだ。現在は毎年6月第2土曜日に行われる「蒼前様」を信仰とする祭りで、約100頭の馬が、岩手県滝沢村の蒼前神社から盛岡市の八幡宮まで約13キロの道のりを行進する。
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岩手県は古くから馬の産地として知られ、平安時代に編纂されたとされる法令集「類聚三代格」には、弘仁6年(815年)に中納言右近衛大将巨勢野足の奏上文として「軍団の用は馬より先なるはなし。面して権貴の使、富豪の民、互に相往来して搜求絶ゆるなし」の記述が見られる。このことから、この時代には馬は軍馬として使われていたことがうかがわれる。後に、農耕や物資運搬の役割を担い、農民と馬は深いつながりを持つようになる。人と馬が同一家屋に住む「南部曲り家」が発達するようになったのはこのような縁からだそうだ。チャグチャグ馬コは、農民による馬体安全を祈願する蒼前詣が起源だったのだ。
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なぜ、「チャグチャグ馬コ」と呼ばれるようになったのか。地元の人に聞いたら、馬のはなやかな衣装とたくさんの鈴を身に付け、歩くたびにチャグチャグと鳴る鈴の音がその由来であると説明を受けた。

宮沢賢治が盛岡方言で書いた短歌にはこうある。

夜明げには
まだ間あるのに
下のはし
ちやんがちゃがうまこ見さ出はたひと。

ほんのぴゃこ
夜明げがゞった雲のいろ
ちゃんがちゃがうまこ 橋渡て來る。

いしょけめに
ちゃがちゃがうまこはせでげば
夜明げの為が
泣くだぁぃよな氣もす。

下のはし
ちゃがちゃがうまこ見さ出はた
みんなのながさ
おどともまざり。


(写真上)石割桜(盛岡市大通)
(写真中)岩手銀行中ノ橋支店前
(写真下)休息する馬コたち(中津川の川原)
by hasiru123 | 2013-06-23 22:24 | その他