地域が育てる

のっけから上から目線の言い方で恐縮だが、スポーツには人と人とを結びつけ、社会の質を変える力がある。戦後まもなく産声をあげ、以降コツコツとがんばり続けてきて一気に花が開いた。その後低迷もあったが、ようやく復活の兆しが見えてきた。スポーツを基盤に、地域社会の復活もに一役買った……。何のことだかお分かりだろうか。

広島カープが16年ぶりにAクラスを確定させて、初めてクライマックスシリーズに進出したことである。長期にわたってBクラスが続き、美酒の味を忘れかけたカープファンも多かったことだろう。実は、私もその1人である。

2007年からクライマックスシリーズなるものが開始されて、ペナントレースで2位または3位になったチームでも、同シリーズの結果いかんによっては日本シリーズに進出できることになった。下位のチームには必要とする勝数にハンディを持たせるが、ペナントレースを制したチームが日本シリーズに出られない(こともある)なんて、許せない!。一時的には集客力が増えたとしても、本末転倒ではないか。プロ野球の将来を危うくする自殺行為だ。箱根駅伝で言えば、往路優勝チームと復路優勝チームとで決戦をやるようなものではないか、などと思っていた。

でも、今年の両リーグの熾烈な上位争いを見ていると、優勝チームが見えてきた9月になっても、もう一つの戦いを見られるのは、皮肉なことだがクライマックスシリーズがあるお陰なのだ。クライマックスシリーズがなかったなら、広島が3位以内に入ったことが、これほど話題になっただろうか。きっと、喜びもほどほどだったに違いない。クライマックスシリーズも悪くないなァ……。

その二日後、広島の前田智徳外野手が引退を表明した。24年間、広島一筋で活躍し、落合博満やイチローをして「うまい」と言わしめた「孤高の天才」である。まだやれる、と思っていただけに寂しい。広島には、前田のように「○○一筋」と言われた選手が意外に多い。

広島の選手の平均年俸は、12球団のうちで下から数えた方が早い清貧チームだ。誇れるのは、地域が育て、地域と共に成長してきたいわゆるフランチャイズ制度を取り入れた先駆的なチームであることだ。今では、この方式で成果を上げたチームが数多くあり、特にサッカーのJリーグでは常識になっている。地域の力を存分に借りて、残り試合は少なくなったが、早く借金をゼロにして、打倒阪神へと、階段を駆け上がっていってほしい。
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by hasiru123 | 2013-09-29 22:47 | その他  

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