成年後見制度を活用しよう

私たちは、申込みと承諾が一致することにより成立する「契約」を前提とした社会に生きている。コンビニで弁当や飲み物を買ったり、インターネットで家電製品を買ったりする行為も契約である。

契約を行うには、自分の行為の結果がどうなるのかについて判断できる能力が必要となる。9年前の埼玉県富士見市で発覚したリフォーム詐欺事件をきっかけにして、高齢者や障害者の権利擁護として「成年後見制度」が注目されるようになった。

たとえば、ある高齢の女性が「よくわからないけど70万円もする布団を買ってしまった」というケース。このように判断力が不十分な場合に、そのことによって不利益をこうむってしまう恐れがある。そうならないように、法律面や生活面で支援するしくみが成年後見制度だ。

その他に、以下のようときにも利用できる。

・ 認知症の母を悪質商法から守りたい
・ 知的障害のある息子の将来が心配だ
・ 自分が将来、判断能力が衰えたときのことを考えて、今のうちから信頼のおける後見人を選んでおきたい。
・ 母親が最近物忘れがひどくなり、買い物をするにも支障をきたすようになった。
・ 認知症の父が所有している不動産を売却して入院費に充てた
・ 寝たきりの父の世話をしているが、別に住む他の兄弟から財産管理について疑われている
・ 夫婦二人で暮らしているが、生活が困難になったときに子供や孫たちに面倒をかけたくない

制度が施行された2000年当初は、この成年後見人等に選任される人は、約90%が親や子、兄弟姉妹や配偶者などの親族だった。しかし、少子高齢化や単身世帯の増加などの影響により、成年後見人等の担い手の割合は徐々に変化してきた。2010年の親族後見人の割合は約59%まで減少した。弁護士や司法書士、社会福祉士などのプロフェッショナルな後見人が選任される割合が約41%と増加している。また、私が参加しているある消費者団体でも、この制度の中身や活用するための方策を学んでいこうと、動き出している。詳しいことは今この項で触れることはできないが、最近地元の広報紙に載せていただいた小文があるので、参考まで採録したい。

 * * * * *

病気や高齢で判断力の衰えた人でも、残された能力に応じ、本人がやることと他人に委ねることを柔軟に切り分けする。そうやってハンディを負う人も自分のことはなるべく自分で決め、ふつうの生活を送れる社会にする。それが、高齢期に達した人の生活の基本だと思います。

しかし、認知症や精神障害、知的障害があるような人は、金銭や不動産などを管理、処分したり、介護や福祉のサービスを契約したりするのが難しい場合があります。そんな人に適した支援者をつけて権利を守る仕組みが「成年後見制度」です。

成年後見には、2種類あります。本人の能力がなくなり、保護を必要とする状況になってから、関係者の申し立てによって後見人・保佐人・補助人が選任されるのが「法定後見」です。一方、意思能力があるときに自分の希望を表明し、能力がなくなった後も本人の意思を尊重して支援に当たるのが「任意後見」です。この二つに支えられつつも、「自己決定権の尊重」を重視する意味からいえば、「任意後見制度」の積極的活用を図りたいところです。

また、このような制度によって高齢者に対する見守りがしっかり行われていれば、消費者被害の防止策としても安心です。

成年後見制度は2000年4月にスタートしました。最高裁判所などによると、推計200万人とされる国内の認知症高齢者数に対し、利用件数は10年間で計約17万件にとどまっています。残念ながら対象者の間で十分に活用が進んでいないのが実情です。

そんな中で、私たちの自治体では市民が成年後見業務の新たな担い手として活動できるよう仕組み作りに動き出しています。国や法曹関係者、NPO法人などと連携して、同じ地域の住民同士で守り合う仕組みが整うことを期待します。

「成年後見制度」のあらましをお知りになりたい方は、自治体の高齢者福祉部門または地域包括支援センター等におたずねください。


c0051032_1025884.jpg
                  不忍池(上野恩賜公園内 東京都台東区)
[PR]

by hasiru123 | 2014-03-03 00:01 | その他  

<< 金メダルの向こうに突き抜けて 見えないはずの色、ないはずの物語 >>