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擬制のランニング

この日の練習は1キロのペースを5分20秒から30秒に設定してスタートした。40キロ走である。ジョグよりは速いけど、マラソンのレースペースに比べたら相当に遅い。

今年初めての40キロ走になる。最後まで走りきることはもちろんだが、それも途中で苦しむことなく練習を終えること。これが、今日の練習の目標だ。そのためには、ゆめゆめ早く練習を終えようなどというはやる気持ちを持ってはいけない。そう、心に決めて早朝の入間川へ向けて走り出した。

長距離レースは、可能な限り早いペースで走って、より速くゴールにたどり着くことを競うものだ。したがって、練習とはいえ本番の距離を視野に入れて練習する40キロ走は、時間の速さ(ラップ、タイムなど)を意識して当然だろう。ところが、持久力をつける超長距離走(30キロ以上の走り込み)では、「時間」は意識しても、「速さ」を意識してはいけない。

そこで、クエスチョン。、「速さを意識してはいけないのは、なぜか -- 」。

たとえばマラソンの場合、初めての参加だったり、経験はあっても直近の大会時期から遠ざかっていたとしよう。マラソン本番で走る時間(ベストタイムが4時間だったら、その時間)を練習の中で体験することが持続力につながると考えるからだ。せっかくマラソンを完走しても、その感覚はすぐに忘れてしまう。人間は忘れる動物だから。本番のように速いペースでなくてもいいから(というよりも、速く走る必要はない!)、練習でスタートからゴールまでの時間を思い出す。

このように練習でマラソンの時間を体験することを、私は「擬制のランニング」と呼んでいる。この練習を本番までに数回繰り返すと、かなりスタミナがついてきたと実感できるのではないかと思う。これが、マラソンを成功に導く第1段階だ。

マラソンの経験が十分にある人は、次の段階として「擬制のランニング」よりもさらに長い距離を体験する練習に入っていくことができる。たとえば、40キロとか42キロといって本番を想定したより長距離の練習である。この場合の時間は、当然本番よりも長くなる。本番より長い時間を練習の中で体験して、距離に対する不安を払拭することがこの練習の目的である。「42キロ、何するものぞ」という気持ちがわいてきたらしめたものだ。

この2つの段階に共通していることは、いずれも「速さ」を意識しないで練習にマラソンの時間感覚を取り込むことである。「距離」を追うのではなく、「時間」を追う。これが、マラソン上達の近道だと考える。


by hasiru123 | 2014-09-16 07:13 | マラソン