2014年 11月 01日
健康寿命
平均寿命は人がなくなるまでの期間をいうが、健康寿命は「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」と定義されている(厚生労働省)。また、平均寿命と健康寿命との差は、日常生活に制限のある「健康ではない期間」を意味する。同省の調査によると、2010年においてこの差が男性9.13年、女性12.68年だった。
今後、平均寿命が延びるにつれてこの差が拡大すれば、健康上の問題だけではなく、医療費や介護費の増加による家計へのさらなる影響も心配だ。反対に、平均寿命の延びよりも健康寿命の延びがが上回るようになれば、医療費や介護費を低く抑えられて、生活の質を高めることが可能となる。
どうしたら健康寿命を延ばすことができるか、に大きな関心が寄せられる所以である。同省のデータを見ると、健康寿命にはかなりの地域格差があることも分かった。最長と最短の差は、男性で2.79年、女性が2.95年となっていて、最も長いのが男性で愛知県、女性が静岡県、もっとも短いのが男性が青森県で、女性が滋賀県となっている。ちなみに、埼玉県は男性が19位で、女性が38位だった。地域格差の要因はよく分かっていないらしい。
私の母は96歳で泉下の客となったが、日常生活に制限のある「健康ではない期間」は女性の平均よりもかなり短かった。よく食べ、よく睡眠をとっていたことは確かだが、特に健康によいことをやっていたとは思えない。家に長いこと一人でいると落ち込むこともあったが、外へ出て人と会ったり話をしたりした時は快活だった。心の持ち方と健康とは大いに関係がありそうだ。
日野原重明さんや三浦敬三さんのようなスーパー老人を引き合いに出すまでもなく、「男性9.13年、女性12.68年」という差を少しでも縮めることは不可能ではないような気がする。あくまでも私見だが、健康寿命を長くするためには食事のバランスや適度な運動を行うなど健康管理面に気をつけることに加えて、楽しいことを考えたり、楽しいことをしたり、そしてそういうことを続けることが大切なのではないか。
もっともこれは理想であって、本当は苦痛で泣きたいことや健康への不安、対人関係の悩みなど笑えないことばかりが人生かもしれないが、「つとめて」楽しいことを考える自覚は持ち続けたいものだ。母の三回忌に、ふとそんなことを考えた。