パソコンを使えない若者たち

9月から10月にかけて実施された国勢調査で、オンライン調査の回収率が36.9%だった。20%を超える予想外の高さだった。このうち、スマートフォン(スマホ)から回答のあった割合は、12.8%となっていて、インターネットで回答した世帯の3世帯に1世帯は、スマホからの回答だったことになる(平成27年国勢調査におけるオンライン調査の実施状況/総務省)。

私もオンライン調査で回答してみたが、思っていた以上に記入しやすく、早く終えることができた。調査員に手渡したり、郵便ポストまで出しに行かなくて済んだ分、負担感も少なかった。

最近は、同調査を実施するごとに回収率が低下する傾向を見せていたが、今回は上昇に転じることができただろうか。かつて調査に携わっていた者として、少し気になるところである。

しかし、インターネットの普及率を考えると、オンライン調査が3分の1を超える回収率というのは不思議ではない。少し古いデータだが、総務省が行った平成26年度通信利用動向白書によると、25年末での人口普及率は82.9%で、スマホは42.4%だった。スマホの回収率はもっと高くてもよかったくらいだ。これからは、国の統計もデジタル機器やネットの後押しがないと回収率を上げられなくなるだろう。

最近、若い世代でパソコンを使えない人が増え、IT企業ですら新入社員が使えず困っているケースがある、と新聞にあった(毎日新聞10月16日)。スマホの普及や、親・学校のパソコンへの理解不足、経済的に苦しい家庭が増えていることなどが原因らしい。

「スマホだけではなく、パソコンも使えないと、グローバル競争が広がる中、社会人として生き抜くのが難しくなる」という研究者の声も載せていた。だが、本当に若者がデジタル機器を使えなくなったのだろうか。

この1年間に切り抜いた記事のスクラップを見ていたら(インターネットの時代に古いね!)、上記の懸念は払しょくされた。デジタル地図を使って原爆の被害を後世に伝えるインターネットサイト「ヒロシマ・アーカイブ」を平和学習に活かそうと、高校生と大学が協力して進めている取り組みがある。また、地図と新聞記事をタブレット端末に取り込み(無線LANの設備がないので)、現場での地理教育に取り組もうと高校教諭がGISを駆使して、修学旅行で活用する挑戦があった。

神奈川県の「高校生が教える情報モラル教育」は、情報モラルやインターネットの活用方法を学んだ高校生が講師になって中学生に教えるという取り組みだ。大阪府では、「高校生が教える!オトナのためのコミュニケーションアプリ白熱教室」で、スマートフォンの無料通話アプリなどの使い方を高校生が保護者や大人たちに教える取り組みを行っている。また、私の住んでいる埼玉県の高校でもそれに近い取り組みがある。

教えるために高校生は自発的により深く学習するとともに、中学生や大人たちと対話することで自らの意識を高める効果が期待できるとのことだ。これらは、高校生たちが学校の現場でインターネットを活用して、他の世代の人たちの生活に役立てようという取り組みの一部にすぎない。

パソコンやネットワークの進化は速い。数年後には、スマホよりさらに利便性の高いデジタル機器が登場してくるかもしれない。最低限、就職に困らない程度にパソコンに習熟することは必要だが、学生時代に上記のような現場(社会)に適用させる経験を積むことの方が、若い世代の情報リテラシーを向上させる近道のような気がする。
[PR]

by hasiru123 | 2015-11-05 07:06 | その他  

<< 休養 収穫の秋 >>