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燃え尽きても

先の全国高校駅伝の男子を優勝に導いた倉敷(岡山)監督の勝又雅弘さんは、こう言っている。

今の指導のモットーは「腹八分目」で、早いペースで走らず、練習も1日2時間まで。「選手は高校で終わりではない」と。12月26日の毎日新聞の「ひと」欄が伝えている。

この記事によると、日大3年時に大会前の故障で箱根駅伝を逃した経験があり、実業団に入って監督だった佐々木功さんのゆっくり走る練習に衝撃を受けたという。

スピードのある長距離ランナーになるためには速く走る練習をすればいいと考えるのが普通かもしれない。ところが、「長い距離をゆっくり走ることで、結果として長距離走のスピードをつける」ことができるというのが佐々木さんの練習方法だった。それを実践して、苦手な5000mの自己記録を更新したマラソンランナーもいる。マラソン練習のパラドックスである。

高校時代に過度な練習を積んで実績を残した選手が、その後の故障や燃え尽き症候群などから伸び悩むケースは少なくない。走り過ぎをいかに抑えるかも、指導者の手腕の一つだろう。そんな中で、倉敷のように、佐々木さんの練習方法を高校生のうちから教え込まれた選手の将来は、魅力的であり、そして楽しみでもある。

一方で、全国高校駅伝を最後に陸上競技生活に区切りをつける選手も少なくない。もっと広く言えば、全国には高校で陸上競技が終わりという選手が圧倒的に多い。そういう高校生たちに、どう向き合ったらいいか。これも指導者の大きな役割だろう。

選手たちは、燃え尽き症候群を恐れることなく、日々の練習を大切にし、果敢に挑戦してもらいたい。精一杯やり切った思い出が、のちに市民ランナーとして再び走り出すきっかけになるかもしれないからだ。


by hasiru123 | 2016-12-29 15:55 | 駅伝