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夢のマラソン

世界一安全な戦争とは

昨年末に見た「アイ・イン・ザ・スカイ」という映画には、「世界一安全な戦争」という副題がついていた。戦地とは隔絶された地点から、机上からミサイルやロケット弾などの攻撃を指示することかと思いきや、今の「安全な戦争」はもっと先を行っているのだと気づかされた。

英国軍の諜報機関のパウエル大佐(ヘレン・ミレン)は、米軍と共同で対テロ作戦を指揮する。英米とは比較的友好的なケニアのナイロビで発見したテロリストの隠れ家。そこに潜伏しているテロリストの動向を無人偵察機と鳥型や昆虫型の小型ドローンを使って探り、その映像が米軍基地のスティーブ・ワッツ中尉(アーロン・ポール)らがいる会議室に流れる

ナイロビの隠れ家に英国人テロリストが集結していて、自爆テロの準備が進められていることがわかる。パウエル大佐はドローン攻撃による殺害を米国・ネバダの空軍基地に指示する。しかし、小型ドローンからは隠れ家のすぐそばで現地の少女がパンを売っていることが映し出されていた。攻撃で何人の犠牲者が出るかわからない自爆テロを未然に防ぐか、それとも少女の命が失われるとわかって建物を爆破させる計画を断念するか。果たして、ここで攻撃することは是か否か。

軍人や政治家たちが、ボタンを押すことで発生する被害の責任を巡って決定をたらい回しにする様など、現代の政治をうまくあぶりだしている。 それでいて、スピード感があってスリリングだ。最後まで緊張がの糸を切らさない、うまい映画作りだと思う。

犠牲者の視点から戦争を告発する映画が数多くある中で、武力を行使する側に立ってその是非が議論されていく。どちらに与しても、問題がある。大義名分がない。この矛盾にどう挑むかがテーマである。

「あなたならどうする」と問われて、100年かけても解を出せそうにない。この重たさが「アイ・イン・ザ・スカイ」の魅力でもある。


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by hasiru123 | 2017-01-01 21:10 | 芸術