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夢のマラソン

レースをメチャクチャに

日本のマラソンは、長いトンネルから抜け出せないでいる。男子は14年間、女子は11年間日本記録が更新されていない。五輪でも、男子は1992年(森下広一が2位)、女子は2004年(野口みずきが優勝)以来3位以内から遠ざかっている。

そんな中で、少しだけ出口が見えてきそうな兆しがある。先の大阪国際女子マラソンで重友梨佐(天満屋)が、別府毎日マラソンでは中本健太(安川電機)が優勝を飾ったからだ。両選手とも2017年世界陸上の派遣設定記録には届かなかったが、まずはトップでゴールテープが切れたことを喜びたい。

1月15日の日経新聞に掲載された瀬古利彦氏(DeNAランニングクラブ総監督)と高岡寿成氏(カネボウ陸上競技部監督)へのインタビュー記事「マラソン日本 復活させるには」を読んだ。そこには、日本のマラソンの復活はあながち夢ではないと感じさるものがあった。

瀬古氏は「東京五輪の開催が決まったことでマラソンをやりたいという学生が増えた」、「マラソン強化のいいきっかけになった」と最近の動きに前向きの評価をし、高岡氏も「2時間11分でもいいレースをしたといえるものはある」語っていた。ただし、いまのマラソンの現状や選手の問題点については「選手の練習量が極端に落ちている」(瀬古氏)」、「ペースメーカーが30キロまで引っ張ってくれるので、そこからいかに落ちずに粘るかだけのレースをしている」(高岡氏)と手厳しい。

たしかに、最近の国内の主要マラソン大会にはペースメーカーがつくので、選手たちは安心して前半をカバーすることができる。一方では、選手の創意工夫や戦略性が見られず、面白みに欠ける。これだと、駆け引きをしながら競う五輪や世界選手権などには対応できそうにない。

しかし、四半世紀前に世界の高みを目指してマラソンに取り組む選手がいたことに気がついた。日本記録を更新したことのある中山竹通氏である。「自分にみたいに能力のない選手が勝つにはレースをメチャクチャにして他の選手にパニックを起こさせるしかない」。ノンフィクションライターの折山淑美氏が書いた『日本のマラソンはなぜダメになったのか』(文芸春秋)にあった。

所属先のダイエーが目指すのは1番で、2番や3番はいらないという会社だったから、2時間テレビ画面を独占することがマラソンで生きていく方法だった、と。

30キロくらいまでは集団のできるだけ目立たない位置で省エネに徹し、勝負所で初めてサバイバルレースに参加するというのが、これまでのマラソンのセオリーだった。高い身体能力を持った東アフリカ勢ならこのセオリーが最適だと思う。しかし、挑戦者の立場にある日本選手に求められるのは、中山氏のような高いモチベーションと大胆な戦略性ではないか。

面白いレースを見せてくれる選手の出現が待たれるところだ。

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by hasiru123 | 2017-02-16 17:40 | マラソン