チームで挑む

世界トップの長距離陣はさすがだな、と思わせたのは、世界陸上ロンドン大会の男子10000m決勝だった。

優勝したのはモハメド・ファラー(英国)で、今季世界最高の26分49秒51でフィニッシュした。この種目で世界選手権3連覇という偉業を達成した。大試合での26分台という記録もすごい。

1000mごとのラップタイムが2分40秒前後というハイペースで推移した。それにもかかわらず、長い先頭グループを形成し、トップが目まぐるしく入れ替わった。しかも、同じ国の選手が交代でトップを引き、他の国の選手たちに受け継がれる。

どの選手もラストに強いファラーをマークしているにもかかわらず、意識的に速いペースを刻もうとしているように見えた。終盤の勝負に持ち込ませないためだろう。

選手のユニフォームから、ケニアとエチオピア、ウガンダ、米国、エリトリアがそれぞれ3名いるのが分かった。英国はファラー1人である。これらの国の選手たちが、いまの世界の長距離界をリードしているのだ。その選手たちが、まるで国ごとの対抗戦に挑んでいるかのようにしのぎを削っている。

ケニアやエチオピアといった長距離王国の選手たちが、ある意味でプライドをかなぐり捨てるとも思える作戦に出たのである。それは、なぜか。

ファラーの連覇を阻止するためだろう。それしか考えられない。自分の国のだれが優勝してもいい。何としてもファラーを超えるのだ、と。

それくらいファラーは強かった。そして、他の選手のファラーへの対抗意識も人一倍強かった、ということだろう。その気持ちがグループ全体のペースを上げ、結果的として素晴らしい記録につながったのだ。この大会で、最も記憶に残るレースだった。


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by hasiru123 | 2017-08-15 20:43 | 話題