お施餓鬼会

「かがやく真夏の日が領内をくまなく照らし、風もないので肺に入る空気まで熱くふくらんで感じられる日だった」

海坂藩を舞台に繰り広げられる物語『蝉しぐれ』(藤沢周平)の最後の章に出てくる一節である。菩提寺のお施餓鬼会に行くといつも思い出すのが、このくだりだ。

この時期は例年厳しい残暑が続いて、本堂で大汗をかきながら僧侶たちの法要に聞き入っていたのものだ。打って変わって、今年はとても涼しく、境内から聞こえる蝉の声は不思議なくらい静かで、心地よい1時間余りであった。

お盆が過ぎたある日、久しぶりに菩提寺のお施餓鬼会(せがきえ)に行ってきた。これまでは妻にまかせることが多かったが、祖先の供養を行うのと併せて今回は初めて法要の様子を写真に収めさせていただいた。

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お施餓鬼会で唱えるお経は「甘露門(かんろもん)」というのだそうだ。お経を唱えながら多数の僧侶たちが動き回る光景は無伴奏の男声合唱を聴いているようで、心に強く迫るものがある。生死を越えて生き続けることに改めて思いをいたした今年の夏であった。

(写真)広済寺(埼玉県川越市喜多町)


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by hasiru123 | 2017-08-22 17:41