ブログトップ

夢のマラソン

川嶋伸次さんの講演から

c0051032_2212126.jpg川嶋伸次さん(シドニー五輪マラソン日本代表、東洋大学陸上部監督)の講演を聴きました。会場には川越市内の中学生が多く集まり、中学生を意識した講演内容でしたが、大人の聴衆にとっても大変参考になる話だったと思います。

話題は、東洋大学に招聘されてからの箱根駅伝の取り組みや学生に接する中で気づいたことから始まり、かつて所属していた旭化成での目標管理に言及するなど多岐にわたりました。題して「スポーツを通して学んだもの」。

東洋大学で学生を指導するようになって気になったこととして、次の4つをあげていました。

ひとつは「自己満足」で、「自分はがんばっている」という言葉が目につくというのです。「がんばっている」というのは本来第三者が評価するもので、自ら発する言葉ではないでしょう、と。

さらに「責任転嫁」も目立つといっています。失敗を環境のせいにする。食事をとりすぎたとか、シューズが合わなかったからだとか。だから、簡単にあきらめてしまうのではないでしょうか。

そして、精神的な問題。プレッシャーに弱い。今年の箱根駅伝の復路ではめまぐるしく順位が変動したが、選手たちの不調は脱水症状だけではない。選手の家族や周りの人たちが注目している中で、いい結果を出したいとつい焦ってしまう。日本テレビ(の中継)が選手をあおっている面もあるかもしれない、とも言います。

もうひとつ、目標の立て方。「私はがんばってオリンピックに出ます」といとも簡単にいう学生がいるが、次の試合など短期的な目標の方が大切で、また実行も難しい。何年も先の目標は聞いた人も忘れやすいが、すぐ先のことは忘れないので軽々しく言うことができないからだというのです。だから、選手たちにはできるだけ近い将来の目標を語らせるようにしているそうです。これは、仕事の場面でもいえることで、われわれサラリーマンにとっても大変頭が痛い!

川嶋さんのプロフェッショナルとしての片鱗を覗かせたのは次の指摘でした。選手たちに失敗を指摘すると「それならおまえやって見ろ」のような反論を受けることがあるそうです。川嶋さんも学生時代にはその経験があっただけにその気持ちはよくわかるが、それはちがう。かつて、びわ湖毎日で川嶋さんが失敗したときに、自宅に戻って妻から「なぜあのときスパートをしなかったの」と指摘されたときは、素人の指摘だけに頭に来た。しかし、あとでよく考えてみたらその通りに思えたという。人からの指摘を自分のものにする素直さとしたたかさが大切ではないか。プロが素人から学ぶことがあるのだ。また、プロは人がやって成功したことをまねしたら恥ずかしいなどとはけっして思わないで、どん欲に盗むものだ、と締めくくっていました。

大学の監督を引き受けて4年たつそうですが、今年の箱根駅伝はシード校(本大会で10位)に入りました。強いチームを育てるというミッションを受けて、指導者としての闘いが続きます。世界に通用する人材が輩出することを期待しています。
[PR]
by hasiru123 | 2006-02-19 22:00 | その他