しっかり走るための栄養とは何か(4) 

    炭水化物

炭水化物は、脂肪、たんぱく質とともに3大栄養素の一つで、体内で消化吸収されるとグリコーゲンに転換されます。グリコーゲンは肝臓と筋肉に貯えられていて、走るために最も基本的な燃料となるものです。フルマラソンの30K以降で突然力が抜けて走れなくなる現象に見舞われるのは、このグリコーゲンが枯渇してしまうことによります。

また、フルマラソンの走りこみを開始した当初は、ゆっくりでも40K以上の距離を走りとおせるスタミナがないため、25Kあたりを過ぎると空腹感を覚えて、次第に走る力がなくなってしまうことがよくありました。長い距離の練習と繰り返していく過程で、空腹を感じる地点が少しずつ先になり、マラソンのレースが近くなるころには40キロを過ぎても苦しまずに走れるようになるのです。これは練習効果で、グリコーゲンが枯渇状態になる地点が、徐々に後へ移動していくからだと理解すればいいと思います。

ランニングを行うと、体外から吸収した酸素を使ってグリコーゲンを燃やし、走るためのエネルギーに変えます。すなわち、
「走るためのエネルギー=グリコーゲン+酸素」
です。「脂肪も走りのエネルギーになるが、脂肪には脳へのエネルギー回路がなく、グリコーゲンしか脳に入らない。フルマラソンで足が前へ出なくなるのは、足の筋肉疲労ではなく、脳内のグリコーゲン不足で筋肉への神経回路が乱れてしまったためだ」と新赤坂クリニック院長の松木康夫さんは説明しています(『最新ランニング技術百科』学習研究社から)。脂肪はふつう、フルマラソンを完走した後もお釣りがくるくらいの十分な体脂肪として貯えられています。したがって、食事の中で意識して摂る必要はありません。ところが、グリコーゲンの基となる炭水化物は貯蔵に限界があるので、レースだけでなくふだんの練習の中でも、しっかり補給しておく必要があります。

それでは、炭水化物をうまく摂るどんな食事がいいのでしょうか。レースの直前とふだんの食生活とでは多少異なります。レースの前日や当日であれば、米やバナナ、パスタなど消化のいい炭水化物が必要です。ふだんの生活では、米を中心にいろいろな炭水化物を組み合わせて摂るのがいいと思います。そして、走りが生活の一部となっているランナーであれば、ぜひ栄養的に優れた炭水化物を多く摂ってほしいものです。

例えば、米はできることなら、というよりもぜひ精製された白米ではなく「玄米」や「胚芽米」を摂ってほしいと松木さんは言います。「白米ですと、玄米から種皮や胚芽を取り除いてしまったものですから、お米が本来もっている貴重な栄養は失われているのです」。このエネルギー源に注目して実践している日本のトップランナーも多いと聞きます。

ちなみに、胚芽米に含まれている栄養素には粗たんぱく、粗米ぬか油、ビタミンB1・B2・B6・E、ニコチン酸、パントテン酸、葉酸などがあります。特にビタミンB1は白米にはほとんど含まれていなくて、しかもグリコーゲンをエネルギーに変える酵素を多く含んでいます。このような貴重な栄養素をみすみす捨てる手はないと思います。

日本人はもともと炭水化物を多く摂っています。平成15年の国民健康栄養調査によると、エネルギーの栄養素別摂取構成比は「たんぱく質15,脂肪25、炭水化物60」と報告されています。ランナーの栄養摂取の理想は、「たんぱく質10,脂肪20、炭水化物70」といわれていますので、日本人の平均的な食生活にかなり近いといえます。それに対して、欧米諸国では脂肪が4割を超える脂質過多の状況です。日本はマラソンにふさわしい食生活環境にあるといえるでしょう。
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by hasiru123 | 2006-12-28 07:37 | その他  

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