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しっかり走るための栄養とは何か(5)

3大栄養素の1つに脂肪があります。摂取エネルギー量の20~25%は脂肪だといわれます。不足すると、月経不順や皮膚のつやがなくなったり、疲労回復が遅れたりします。また、炭水化物とならんで、ランニングの主なエネルギー源でもあります。走行距離の多いシリアルランナーは、脂肪を抑えすぎないように注意し、生活習慣病の予防が目的のランナーの場合はやや控えめがいいでしょう。というのは、脂肪は他の栄養素に比べて発生エネルギーが高いからです。

例えば、炭水化物の発生エネルギー量が約4kcal/1gであるのに対して、脂肪は9kcal/1gあります。摂取した脂肪はエネルギー源賭して消費されるだけでなく、過剰分は体内の脂肪組織に蓄積されます。さらに、過剰の炭水化物やたんぱく質も、細胞内で脂質に変換されてエネルギー貯蔵物として蓄積されます。肥満の原因となるゆえんです。

摂取された脂肪は、大部分がグリセリンと脂肪酸に分解され、吸収されます。したがって、脂肪の性質や栄養価は構成する脂肪酸の種類によって決まります。

脂肪酸は飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸に分けられます。この二つの脂肪酸は、それぞれの分子の中での炭素原子と水素原子の結合の仕方が違います。飽和脂肪酸は、すべての炭素原子に結びつけられるだけの水素原子が結びついている脂肪酸のことで、すなわち水素原子で飽和された脂肪酸という意味でそのように呼ばれるのです。これに対して水素原子で炭素原子が飽和されていないのを不飽和脂肪酸と呼び、水素原子で飽和されていない個所では隣り合わせの2つの炭素原子が二重結合(不飽和結合ともいう)という結びつきをしています。

多価不飽和脂肪酸とは不飽和の個所、つまり炭素原子同士の二重結合が2個所以上ある脂肪酸のことをいいます。炭素原子同士の二重結合を2つ持っているリノール酸は、食物中に含まれている最も一般的な多価不飽和脂肪酸です。最初から数えて6番目の炭素の個所から水素の不飽和な個所が始まっている脂肪酸であることから、n-6系脂肪酸(またはオメガ-6脂肪酸)とも呼ばれます。それに対して、最初から数えて3番目の炭素の個所から水素の不飽和な個所が始まっている脂肪酸を、n-3系脂肪酸(またはオメガ-3脂肪酸)と呼び、αリノレン酸エイコサペンタエン酸(EPA)ドコサヘキサエン酸(DHA)などがあります。

EPAやDHAは、不飽和脂肪酸の中でも炭素数が多く、二重結合を4個以上持っていて、高度不飽和脂肪酸ともいわれます。抗血栓作用などさまざまな生理効果あることがわかっています。

また、不飽和脂肪酸は体内で合成できないために食品として摂取しなければなりません。そのため不飽和脂肪酸は必須脂肪酸ともいわれ、健康食として推薦される理由はここにあります。 

下記の表は主な油脂の脂肪酸組成(%)を示したものですが、牛脂や豚脂には飽和脂肪酸が多く、大豆油などの植物油には不飽和脂肪酸が多く含まれていることがわかります。
  → 主な食用油の脂肪酸組成(%)

EPAとDHAについて少し説明を加えます。EPAはさば、いわし、あじ、ぶりなどに多く含まれ、DHAは魚類全般に含まれています。これらの脂肪酸を摂取する上で難しいのは、酸化されやすいというデメリットがあることです。品質劣化に注意するとともに、体内での酸化防止のためにβ-カロチンビタミンCEなどの豊富な食品を組み合せてとる必要があります。どの栄養素についてもいえることですが、単独での摂取や摂りすぎは逆効果を招きます。どの程度摂ったらよいかについては栄養の専門家にゆだねるとして、いろいろな食品との組み合わせで摂ることが大切です。前にも紹介しましたが、厚生労働省と農林水産省が作成した「食事バランスガイド」くらいのいい加減さ(といっては失礼かもしれませんが)でいいと思います。
by hasiru123 | 2007-02-25 21:57 | その他