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夢のマラソン

駅伝からは世界が見えない

3月4日(日)のびわ湖毎日マラソンは大変なレースでした。何が大変だったかというと、20度を超える高温の中でのレースになったことと、日本選手の最高が6位で世界選手権代表内定基準よりも3分以上回ってしまったことです。これで、世界選手権男子マラソン代表選考会はすべて終了しましたが、いずれの候補者も決め手を欠き、代表枠5名をめぐる選考が難しくなりました。

暑さの影響で記録が悪くなるのはやむをえないと思います。その場合には、レースの焦点は記録よりも優勝争いになります。それはそれで、見る人をひきつけるものがあるのですが、上位5名が海外選手というのはいただけませんね。1ヶ月ほど前に行われた別大毎日マラソンでは久しぶりに藤田敦史が優勝して気を吐きましたが、それ以外の最近の国内マラソンでは日本人の優勝がありません。優勝どころか、優勝争いに絡むことすらできなくなっています。とても残念なことです。

長距離ランナーには比較的短い距離で力を発揮できるトラック中心の人と、長い距離を得意とするマラソン型の人とに大別されます。一般的に前者はスプリント力を始めとする潜在的な能力が重視されるのに対して、後者は長い時間をかけて実力を磨く粘り強さが求められるようです。日本の男子は、そのどちらも世界から大きく遅れをとっています。特に若い学生選手はトラックの一流をめざすのではなく、かといって時間をかけてマラソンに取り組むというわけでもなく、箱根駅伝という1区間20キロちょっとという距離のレースに4年間を賭けて日々の練習に取り組んでいると言っても過言ではないでしょう。

この20キロちょっとという距離がいいのか悪いのか。箱根駅伝というわが国の大イベントが長距離選手の育成に貢献しているのかどうか、疑問なしとはいえないように思えます。世界から離れたところでの競走に終始している学生生活、中距離的なトレーニングを避けて20キロのロードレース重視、トラック競技と駅伝の繰り返しでマラソンに取り組む余裕をもてない、などといった箱根駅伝の弊害が目立ってくるのです。というのも、この四半世紀に行われた過去6回の五輪長距離種目で、日本がメダルもしくは入賞した選手で箱根駅伝を走った選手は1人もいないという事実があります。中山選手や宗猛選手、森下選手などは高校から実業団に入っていましたし、高岡選手は関西の大学出身です。

大学は箱根駅伝で結果を出せる選手を求め、学生はチームの中で10人以内の正選手になることを目指す。このような環境では、選手たちの眼を世界に向けることは難しいのではないでしょうか。選手育成という一点にこだわるならば、短期間で結果を求める大学よりも、実業団チームで長期計画のもとに個々の選手の持ち味を活かしてチャレンジさせる方が得られる果実は大きいように思うのですが・・・。

マラソン中継の視聴率も女子マラソンが上昇傾向にあるのに対し、男子マラソンはジリ貧傾向にあるようです(注)。箱根駅伝では30%を超える視聴率を稼ぎ出すのですから、かつての瀬古選手や中山選手のように強い選手が出現すれば、人気は必ず取り戻せるはずです。実力の実業団、人気の学生などといわれる中で、学生でも実業団でもいいですから、駅伝だけでなく本格的にマラソンで力を発揮してくれる大器の出現を期待したいですね。

(注) 東京国際マラソン:16.4%(04年)→12.3%(05年)→11.7%(06年)
   東京国際女子マラソン:15.8%(04年)→23.8%(05年)→24.1%06年)
                    (ビデオリサーチ調べ)
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by hasiru123 | 2007-03-10 22:10 | 駅伝