レース後にやるべきこととやってはいけないこと(疲労回復法)

c0051032_130879.jpg

マラソンを走り終えたときは疲労困憊で、すぐにでも倒れこみたいところです。箱根駅伝でも、タスキをつなぎ終えた選手が大の字になって倒れ、抱え込まれるシーンをよく見かけます。気持ちはわかりますが、このような終わり方は体のケアという点からはあまり感心できません。身体の動きを完全に止めることによって、運動中に筋肉に向かって流れていた血液の循環をさえぎってしまうからです。ゴールしたら、しばらくはそのままジョグをしましょう。ゴール地点が混雑していてジョグができなければ、ゆっくり歩くか足踏みをしましょう。

<疲労を除く3つのポイント>

マラソンレースは、これ1本で終わりということはまずないと思います。今回出場したレースの反省に立って、次のレースがあるはずです。以下にあげた3つのポイントを念頭において、疲労回復に努めてください。
①レース後の疲労回復は、レース直後のクーリングダウンから始まる
②疲労回復は早期対策が効果的
③何もしないよりは身体を動かした方が疲労は取れる
疲労を回復させる手段はいろいろありますが、できるだけ多様な方法を組み合わせて行うとより効果的です。次のような方法があります。
・ジョグ、ウィンドスプリント(ごく軽めに)
・ストレッチ
・マッサージ、鍼、指圧など
・アイシング
・栄養補給
・睡眠
・ランニング以外の運動
・入浴

<疲労回復のステップ>

これらの方法を繰り返し、かつ複合的に行うことが重要です。時間の経過とともに行う疲労回復のステップの一例をあげました。

①レース当日
疲労の拡大を防ぐのが当面の目標です。
・ゴール直後:ジョグ&ウォーキング10~15分、ストレッチ15分。ゴールして、すぐに宿泊先の風呂場へ直行するのは心臓への負荷を考えると、お勧めでない。1時間くらいの間をおくとよい
・帰宅後または宿舎で:局部へアイシング(氷水または水、アイシングシートなど)10~20分、ゆっくり入浴
・就寝前:ストレッチ(特に、戸外では行いにくい仰向けやうつ伏せ状態で)10~20分
・十分な睡眠:もうレース前夜のような興奮はないでしょうから、ゆっくり休みましょう。

②レース翌日
筋肉痛を始めとする疲労が自覚される時期にあたります。
・ストレッチ+ジョグ(またはウォーキング)30分+ストレッチ。何もしないよりは、ジョグなどで軽い刺激を加える方が、疲労を逃がす効果がある
・入浴、就寝前のストレッチ、マッサージ

③レースの翌々日~7日目
オーバートレーニングに注意して、走りながら疲労を抜いていきます。
・ストレッチ:時間を変えて、いろいろな場面で行う(例えば、昼休みや駅のホーム、風呂場など)。マラソンの場合には、筋肉だけでなく骨盤や腰椎などが正常な状態にないこともあるので、骨体操(注)を取り入れるとより効果が大きい
・ジョグ:4日目ころから徐々に疲労や筋肉痛が抜けていくのが実感できる。少しずつ時間や距離を伸ばしていく。ただし、筋肉痛が激しいときや疲労が大きいときは行わず、ウォーキングや自転車、エアロバイクなどに切り替える。この時期は、スピードをつけたジョグは控える(特にマラソンの場合)
・入浴:ややぬるめの湯に長めにつかるのも効果がある
・マッサージ:自分で行うマッサージだけでなく、日頃通っているスポーツマッサージや指圧の施設があれば、状態を詳しく伝えた上で、受けるのもよい

④2週目以降
表面的な疲労が抜けて、深い疲労が実感できる時期です。深い疲労が自覚できればいいのですが、隠れた疲労が残ってその後に障害の引き金になったりすることもあるので、要注意です。このころは、練習も徐々に質量とも上げていく時期ですが、隠れた疲労を刺激しないよう、自分の身体と対話しながら進めてください。この辺の手加減のし方は、疲労の状態や競技力の違い、体質など個人差があります。期間は数週間から数ヶ月まで、幅があります。

繰り返しになりますが、レース後の処置は早期回復にかぎります。その理由はつぎのようなことからです。
・筋肉痛を最小限に抑え、疲労回復を促進できる
・トレーニングを早期に再開できる
・故障防止に役立つとともに病気の予防になる
・筋力低下を防ぐ
それはちょうど、火傷をしたときにすぐに冷やしたり、捻挫をしたときにすぐアイシングをしたりするのと同じです。

<食事で気をつけたいこと>

それから、もう一つ大切なことがあります。それは「食事」による栄養補給です。あまり難しく考えることはありあません。まずは、次の5つを心がけましょう。

①消化のよいものを摂る(特にレース直後は注意)
よく噛むことにも気を配りましょう。よく噛むと唾液による消化が行われ、糖質などが胃の中でよく吸収されます。

②糖質とたんぱく質、ビタミンをバランスよく摂る
糖質だったらごはんやパン、たんぱく質は魚肉、卵、乳製品、豆類、穀類など、ビタミンは上記の食物の他、野菜、果物などです。これらを偏らないように、できるだけ多くの種類から摂ります。

③水分の補給(複数回に分けて少しずつ)
汗といっしょに失ったナトリウムも同時に摂る必要があります。水の中に0.1~0.2%程度の食塩を加えるか、市販のスポーツドリンクを使うといいでしょう。

④甘いものは、摂りすぎに注意する
疲労していると、つい多めに摂ってしまいます。取りすぎは、食欲低下を招き、グリコーゲンの増加を妨げやすいためです。

⑤レース直後のアルコール類は控える
ゴールしたあとのビールは格別にうまいので、つい溜飲が上がりがちです。ここは、先憂後楽。ちょっと我慢して楽しみを後にとっておく。乾杯だけにしておきましょう。もしそのビールが美酒であるなら、なおさらたやすいことではないかと思うのですが。というのは、レースで枯渇したグリコーゲンを早く増やすことは、疲労回復ためには欠かせないからです。アルコール類はグリコーゲン増加にマイナスに働きます。また、酷使した肝臓をさらに刺激することにもなります。

極度に疲労したとき、レース後の食事がのどを通らないことがあります。激しい運動によるストレスが、筋肉だけでなく内臓(特に消化器)にもきます。本当は空腹なのに、実感できない状態です。こんなときは、無理してごはんを食べずに、暖かいお茶などの水分を少しずつ飲みましょう。少し落ち着いてきたら、果物やヨーグルトのようにおなかにやさしいものを少しずつ食べてみます。このような状態のときに、飲みやすいからといってアルコール類を入れては行けません。大変危険です。

(注)ナンバ式骨体操のことで、日本古来の「捻らない」「うねらない」「踏ん張らない」動きを取り入れたもの。講を改めて書く予定です。

この記事を作成するにあったて、以下の著作物を参考にさせていただきました。
  山地啓司ほか共著『マラソントレーニング』
  青木高著『ランナーズバイブル』
  雑誌「ランナーズ」1997.12から「完全疲労回復法」
[PR]
by hasiru123 | 2007-09-16 13:01 | 練習