世界陸上後を考える

陸上競技のトップアスリートで自分のサイトを持って情報を発信している選手はどのくらいいるのでしょうか。世界陸上大阪大会に出場した男女76名の選手名をGoogleで検索して調べてみたところ、以下のことがわかりました。
  男子  5名(45)
  女子  5名(36)  
  合計 10名(76)  ( )内は出場者数
ただし、男子の5名のうち2名は、所属チームの支援よるサイトと思われるので、事実上は3名と見た方がいいかもしれません。

日記風に出場したレースの感想やトライする大会予定、自己紹介、実績などが写真とともに綴られています。中でも目を引くのは400m障害の為末大さんです。為末さんは、自身のホームページ「侍ハードラー」の中で、陸上競技をメジャーにするという使命のもとに行ってきたさまざまな活動について触れ、発言し続けています。8月30日には世界陸上の同種目で予選敗退した原因について書いていました。それによると、今年3月に右ふくらはぎを傷め、順調に練習を進めることができなかったようです。中身は大変濃く、これまで世界陸上に取り組んできた総括にもなっています。

同日の記事ではつぎのように結んでいました。「世の中に、子供たちに、夢を与えたい、と言っておきながら、自分の結果が悪かったらすぐ撤回するなんてのは信念に反します。そんなことよりももう一回立ち上がって見せることの方が大事だと思いました」。「もう一回」というのは北京五輪を指してのことだと思います。

総括といえば、真っ先に出さなくてはいけないのは日本陸連であり、その組織下にある強化委員会ではないでしょうか。総括がないことには、1年後の北京五輪はありません。陸上競技の専門誌『月刊陸上競技』(10月号)には記者座談会としての総括はありましたが陸連によるものは見当たりませんでした。もうひとつの専門誌『陸上競技マガジン』(10月号)の方は、菅原勲氏(指導者育成委員会委員長)による前半戦のまとめはあるものの陸連としてのものは出されていません。

日本陸連にはオフィシャルサイトがあって、組織やスケジュールを始めさまざまな情報が提供されています。世界陸上における日本チームの問題点や今後の方向についても、関係者間だけでなく、サイトなどを通して一般にも広く公開してほしいものです。この問題は、今回参加した選手やコーチ関係者だけでなく、今後の日本をリードするであろう若い選手たちに伝え、活かされなくてはならないからです。できれば、全国各地で陸連の強化委員と地元の指導者、選手たちを交えたフォーラムを開催するなどして、積極的なコミュニケーションを図ってほしいと思います。

話は古くなりますが、90年代前半には日本陸連主催・朝日新聞社後援で「マラソンセミナー」というイベントがありました。日本選手権が終わった翌日に開催され、主だった長距離選手と一般ランナーが肩を並べて講演やディスカッションに耳を傾けていました。私も一市民ランナーとして参加したことがあります。会場は陸連本部のある岸記念体育館でしたが、満員で熱気に包まれていたのを記憶しています。なぜ熱気があったかというと、そのころの日本の男子マラソンが世界をリードしていたということだけでなく、トレーニングに必要な重要情報が広く開示され、問題を共有しようという雰囲気があったからだと思っています。

世界陸上の敗因は、本番に臨んだ人が一番よく知っているはずです。出場した選手たちとコーチ陣の声をよく聞きながら、問題を分析することから次の戦いが始まるのではないでしょうか。まずは、きちんとした総括を行い(もちろん行っていると思いますが)、その内容を多くの陸上ファンにもできる限りオープンたうえで前へ進んでいただきたいと願っています。
[PR]

by hasiru123 | 2007-09-30 21:19  

<< 表銀座縦走 外反母趾と登山靴 >>