マラソンの集団

トップクラスが出場するマラソン・レースでは、競争であるにもかかわらずランナーが集団を形成することが多い。それはなぜか。集団は「無益な競争を避け共同することによって、合目的的に目標に到達する一手段」だからだそうである。そして、その最も特徴的な行動は「集団を作ること」、というのは『マラソン・ウォッチング』を書いた山地啓司氏だ。集団にはプラス効果があればマイナス効果もある。

まず、プラス効果。「群れの中にいることで空気抵抗を削減できる」「戦闘意欲を高いレベルで維持できる」「ペース配分の不安解消」「相互干渉」などがある。反面マイナス効果もあって、「ランニング・リズムの乱れ」「呼吸リズムの乱れ」「ランニング・ペースの乱れ」「それらに伴うランニング効率の低下」などがあげられる。同書は集団形成や集団の構造・機能などにどのような定型的行動があるか、集団内の個々のランナー間に相互依存あるいは社会性が存在するか、などについて詳細な分析を加えている。

さて、今日行われた名古屋国際女子マラソンは、まれに見る大集団でレースが進んだ。男子マラソンではよくあることだが、女子マラソンではあまり見たことがない。女子の場合は男子に比べて選手層が薄く、レースの早い段階から走力の差が表れるからではないだろうか。前半から独走態勢に入ってそのままゴールということは最近は少なくなったが、男子よりも集団の規模は小さく、崩れるのも早い。

今回の集団の数は概ね以下のとおりである(テレビ中継で表示された数字と筆者のカウントを含む)。
10キロ 26人
15キロ 24人
20キロ 17人
25キロ 14人
30キロ 8人?
35キロ 集団なし(優勝した中村友梨香(天満屋)を先頭に縦長)

力の差が接近し、競合がそろったということで、互いに牽制し合ったためと思う。牽制とはいえ、25キロ以降は出入りが激しくなって、こう着状態というわけではなく、見ていてはらはらさせるものがあった。この接戦を勝ち抜いた中村は、初マラソンながらねばりと勝負勘を兼ね備えたすばらしい選手だと思う。五輪代表に選考されたならば、ぜひ2度目の大輪を咲かせてほしいと期待している。
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by hasiru123 | 2008-03-09 23:55 | その他