ダーウィン展


ランニングをはじめとするスポーツは、「科学」に支えられて進化してきた。技術面だけでなく、体のメカニズムや食生活、メンタルコントロールなどの各分野で科学を総動員して、その結果現在のスポーツの姿があるといえるのではないか。

科学について、一般の市民ランナーが、というよりはむしろ私自身が肝に銘じなければならいのは、科学について専門的な知識を持たないことで、つい丸かじりや鵜呑みに陥りがちなことである。「発掘!あるある大事典Ⅱ」のねつ造番組報道を始めとするいわゆる「とんでも科学」が幅をきかす中で、科学に対して謙虚に向かい合っていく姿勢が大切だと思う。

閑話休題。閉幕2日前に念願の「ダーウィン展」(国立科学博物館で開催)に行ってきた。ダーウィンの73年の生涯と進化論、そしてダーウィンが魅せられた生き物の世界や自然科学について、豊富な資料と映像で紹介したものだ。今年はダーウィンが『種の起源』を公表してからちょうど150年、そして来年がダーウィン生誕200年にあたるそうで、展示を見て知った。

私にとってダーウィンとは、まだ進化論の序の口にもたっていない自分への鼓舞に似たものがあって、楽しみにしていた。かつて、『種の起源』を読まずして今西錦司の『ダーウィン論』を読んで進化論がわかった気がしていたことへの反省もある。

進化論の考え方はダーウィン以前にもあった。しかし、系統という概念で関連づけ、生物学を自然科学として体系にまとめあげた点で、革命的であった。ダーウィンから150年たって、自然選択理論の進化論は、時代から合わなくなるどころか生命科学や情報科学と融合する形でますます「進化」しつつあるように見える。もっと知りたいという気持ちが強い。

5年かけてガラパゴス諸島やオーストラリアを周った「ビーグル号」での世界一周旅行や、著書『種の起源』の出版までにかかった約20年の研究と苦難の日々などを、手紙やノート、動植物の標本・模型などを通して、ダーウィンが進化論の発表に至るまでの経緯の一端を知ることができた。ビーグル号の探検で採集されたおびただしい標本類の中で、たった一つだけ日本の国立科学博物館に所蔵されているものがある。体長5mmそこそこの小さな甲虫(フエゴチビゴミムシ)だ。比較的大型の生物を研究対象にした進化論を築き上げたダーウィンが、このような小さな昆虫類まで目を配っていたということは、彼の研究領域の広さを示す証といえるだろう。

人類は生誕とともに走り続けてきている。私たちのたどってきた道筋を見つめ直す意味で、ダーウィン展はとても興味深く、かつ刺激的だった。
c0051032_22553450.jpg
(写真)国立科学博物館入り口付近のスクリーン
[PR]
by hasiru123 | 2008-07-07 07:33 | その他