夢のマラソン

2017年 06月 29日 ( 1 )

日本陸上競技選手権から(下)

陸上競技の短距離走はすぐに勝負がついてしまうのでなじまないが、長距離走、特に10000mはちょうどいい加減の時間である。そして、マラソンは長すぎて時間を持て余してしまう。ここでいう「いい加減」というのは、ビールを飲みながらテレビ観戦するときの時間の長さのことである。この3日間、陸上競技の日本選手権を観戦していてふと思ったのはそんなことだった。

10000mと5000mの決勝は、男女ともみごたえのあるものだった。特に、女子の両種目は勢いを感じさせるレースぶりだった。10000mでは、昨年の優勝者鈴木亜由子(日本郵政グループ)と松田瑞生(ダイハツ)とのマッチレースとなったが、ラスト100mでインコースからスパートした松田が優勝した。1位から3位までの選手が標準記録を超えた。

5000mでは、鍋島莉奈(日本郵政グループ)が標準記録をクリアして初優勝した。両種目とも2位に入った鈴木は本調子ではないながらもレースを引っ張り好記録につなげる役割を果たした。

いずれの種目とも女子は、すでに標準記録をクリアしている選手たちが積極的に前へ出て、競争の中から結果的に好記録に繋げている。まだまだ伸びしろのある選手が多いので、本番前にできるだけ多くの大会に出場してペースの変化に対応できるスピードに磨きをかけてほしい。

それとは反対に、男子は元気がない。男子の出場選手では、両種目とも標準記録をクリアしている選手はなく、競技の中でも記録達成は見られなかった。10000mは、スローペースで展開し、終盤の駆け引きが熱を帯びた。残り600mくらいで大迫傑(Nike ORPJT)が3人の争いから抜け出して、2位に15メートル近い差をつけてゴールした。

5000mもゆったりしたペースで入り、1000m位から鎧坂哲哉(旭化成)や上野裕一郎(DeNA)らが交代で引っ張ったが、最後は松枝博輝(富士通)ら3名の争いとなり、残り50mで松枝が後続を振り切った。

このレースを見て、世界陸上に出場するためのもっとも重要な要件を先送りする男子の戦略に疑問を感じた。いずれのレースも抜きつ抜かれつの激しい戦いとなり、国際大会を見ている気分にさせられた。ただし、記録的には物足りない。世界のトップクラスがそろう大会であったなら、完全に周回遅れのレースになったはずだ。はじめから標準記録超えを放棄しているとしか思えない、消極的な走りだ。

標準記録よりもまず日本選手権で優勝もしくは上位に入賞して、その後の選考対象レースで標準記録を突破すれば世界陸上の代表になれると考えているのかもしれない。たしかに残り1か月強の日程で標準記録を超える選手少なからず出るとは思う。だが、順番が逆ではないだろうか。標準記録をクリアしない限りは日本選手権の成績いかんにかかわらず代表になることはない。

標準記録を持たない選手たちは、なぜ日本選手権で優勝と標準記録の突破を同時に狙わないのだろうか。一人で引っ張っても途中でペースダウンししてしまうのではないかとか、ライバルにつかれて最後にやられてしまうのではないかなどと、不安があるのかもしれない。であれば、同じチームのライバルたちと組んで交代で引っ張ったらどうだろうか。そこへ複数のチームが参戦したなら、さらに高いレベルの競争が生まれるかもしれない。ちなみに、10000mでは旭化成から5名、トヨタ自動車から4名、富士通から2が名出場していた。

そうした激しい競争の中からでないと、好記録は生まれにくい。

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by hasiru123 | 2017-06-29 16:46 | 話題