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「遊歴雑記」という江戸時代後期の地誌がある。江戸市中、近郊のほか常陸、下総、安房、武蔵、相模、伊豆、駿河、遠江、三河、尾張といった地域を実地踏査したいわばルポルタージュである。この中に川越市の三芳野神社についての記述があることを埼玉大学名誉教授の山野清二郎氏による講演会から教わった。

江戸から何日もかけて参詣にやってきた著者の隠居の僧十方庵大浄敬順は、こう書いている。

「僅かに宮居幅弐間奥行三間余見えたれども 朱塗のいろあざやかに扉を初め惣体の彫りもの美麗にして 金具又今と異也 厚さおのおの三四分づつもあらんかし 内陣の壮厳又きらびやかに 時既に辰の半刻にも及ばん」

来年度から塗装改修工事が行われようとしているその社殿について、江戸時代の様子を伝える記述がここにあった。

また、講演の中では三芳野神社へ奉納した「河越千句」(第壱朝何賦物)という連歌にも触れ、その発句に「梅園に草木をなせる匂いかな」(心敬)というのがあったという。江戸時代の三芳野神社には、「梅園」と呼べるほどの梅ノ木が植林されていたことをうかがわせる記録といえるだろう。実は、社殿の南側にある大木(楠2本と白樫1本)が建物の保護のため伐採されることが決まっている。一部の緑が消失することは残念だが、これを機に社殿に影響を及ぼさない範囲で境内とその周辺に梅の木を植えていってはどうだろうか。天神様には梅がふさわしいように思う。

ところで、この講演会は「学び直そう三芳野神社の今昔」と題して、三芳野神社の氏子総代と地元の3つの自治会が共催したものだ。長く自治会活動に携わっているある役員によると、3つの町は氏子総代として常に活動を共にしてきたが、これらの自治会が協同で事に当たることはなかったという。画期的なことだと思う。


(写真)講演する山野清二郎氏(川越市立博物館で)
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by hasiru123 | 2014-11-09 20:34 | その他

健康寿命

最近、「健康寿命」が話題になることが多い。寿命を伸ばすだけでなく、いかににして健康に生活できる期間を伸ばすか、ということに関心が高まっているからだろう。2000年にWHO(世界保健機関)が健康寿命を提唱したことに端を発したと言われる。

平均寿命は人がなくなるまでの期間をいうが、健康寿命は「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」と定義されている(厚生労働省)。また、平均寿命と健康寿命との差は、日常生活に制限のある「健康ではない期間」を意味する。同省の調査によると、2010年においてこの差が男性9.13年、女性12.68年だった。

今後、平均寿命が延びるにつれてこの差が拡大すれば、健康上の問題だけではなく、医療費や介護費の増加による家計へのさらなる影響も心配だ。反対に、平均寿命の延びよりも健康寿命の延びがが上回るようになれば、医療費や介護費を低く抑えられて、生活の質を高めることが可能となる。

どうしたら健康寿命を延ばすことができるか、に大きな関心が寄せられる所以である。同省のデータを見ると、健康寿命にはかなりの地域格差があることも分かった。最長と最短の差は、男性で2.79年、女性が2.95年となっていて、最も長いのが男性で愛知県、女性が静岡県、もっとも短いのが男性が青森県で、女性が滋賀県となっている。ちなみに、埼玉県は男性が19位で、女性が38位だった。地域格差の要因はよく分かっていないらしい。

私の母は96歳で泉下の客となったが、日常生活に制限のある「健康ではない期間」は女性の平均よりもかなり短かった。よく食べ、よく睡眠をとっていたことは確かだが、特に健康によいことをやっていたとは思えない。家に長いこと一人でいると落ち込むこともあったが、外へ出て人と会ったり話をしたりした時は快活だった。心の持ち方と健康とは大いに関係がありそうだ。

日野原重明さんや三浦敬三さんのようなスーパー老人を引き合いに出すまでもなく、「男性9.13年、女性12.68年」という差を少しでも縮めることは不可能ではないような気がする。あくまでも私見だが、健康寿命を長くするためには食事のバランスや適度な運動を行うなど健康管理面に気をつけることに加えて、楽しいことを考えたり、楽しいことをしたり、そしてそういうことを続けることが大切なのではないか。

もっともこれは理想であって、本当は苦痛で泣きたいことや健康への不安、対人関係の悩みなど笑えないことばかりが人生かもしれないが、「つとめて」楽しいことを考える自覚は持ち続けたいものだ。母の三回忌に、ふとそんなことを考えた。
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by hasiru123 | 2014-11-01 22:49 | その他

川越祭り2014

小江戸・川越の恒例の秋の祭りである「川越まつり」が昨日(10月18日)から、川越市内で始まった。

この川越祭りは慶安元年(1649)に当時の川越城主の松平信綱が氷川神社へ神輿や獅子頭を寄進し、祭礼を奨励したのが起源といわれている※。現在では、江戸の天下祭りを引き継いだ祭りとされ、市を挙げてのビッグイベントとして定着している。
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川越祭りの二重鉾台型の山車(だし)による行列はじつに華麗で、勇壮である。高さが8メートルにも及ぶ豪華な山車がずらりと並ぶ「山車ぞろい」や山車同士が祭りばやしを奏でる「曳(ひ)っかわせ」などがあり、多くの観光客を呼ぶようになった。

ところで、現在の川越祭りは江戸時代の氷川祭礼とはかなり様子が違っているようである。江戸時代の山車は、四角形の箱を台にして4人で担ぐ程度の大きさで、箱に竿を立てて上には大黒の人形が取り付けられていた。その後ろに盆栽を載せた花駕籠と飾り立てた母衣(ほう)武者が続く。きわめてシンブルな姿である。
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このことを伝える絵図はニューヨークにあった。ニューヨーク・パブリック・ライブラリーに保存されていたのである。このことを教えていただいたのは、平成9年に川越市立博物館で開催された「川越氷川祭礼の展開」という企画展の折に講演をされた東京大学史料編纂所所長(当時)の黒田日出男先生からであった。

川越氷川祭礼についてこれまでに知られていた絵図で最も古いものは氷川神社蔵「文政9年(1826)氷川祭礼絵巻」だった。なぜニューヨークにあったのか。絵巻の構成と内容はどんなものか。そして、絵巻はいつ描かれたものか。謎の解明に興味は尽きない。歴史的にも、氷川祭礼の成立期を考える上では貴重な史料である。当時同博物館の学芸員だった田中敦子氏の「新発見の氷川祭礼絵巻」(「博物館だより」20号)と「川越氷川祭礼の展開」(同23号)、企画展の図録等で詳しく解説されている。川越祭りが開かれているこの時期に、ぜひあたってみることをお勧めしたい。
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※ 「榎本弥左衛門覚書」の「万之覚」で知ることができる。

(写真上)幸町の山車
(写真中)六軒町の山車
(写真下)元町一丁目の山車
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by hasiru123 | 2014-10-19 20:14 | その他

ビール工場見学

ビールを注がれたときに、ついグラスを傾けてしまう。注いだ勢いで泡が立ちすぎないために、思わずそうしてしまう。その方がよりたくさんのビール(黄金色の部分)が入るからということもあるかもしれない。この注ぎ方(注がれ方)は、正しいだろうか。

結論から言うと、「ビールと泡が7対3」が理想だそうである。そのためには、始めにグラスをまっすぐに立て、グラスの底の中央部に向けて徐々にビールを高い位置に上げながら注いで、きめ細かい泡をつくる。グラスの半分くらいまで泡をつくり、上のほうの大きな泡が落ち着いたら、2回目はグラスを45度くらいに傾けて、グラスの側面を伝わらせて注ぐ。泡をグラスの縁から約1.5センチ盛り上げたら完成。
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なお、使用するグラスはよく洗い、自然乾燥させたものを、とのことだった。

先ごろ、ある消費者団体の定例会で都内のビール工場を見学した際に教わったものである。難しい顔をつき合わせた会議から抜け出して、「たまには街に出て、ものつくりの現場を見よう」という試みである。
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飲んでみると、たしかにうまい。細かい泡がほどよく口のまわりに触れ、ソフトクリームのような滑らかさだった。さすがはプロフェッショナルに注いでいただいたビールだけのことはある。
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試飲の前に、このビール工場で稼働中の製造現場を見せていただいた。製麦から、仕込、発酵、貯酒、ろ過、缶・樽詰の6つの工程である。
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ビールに仕込まれる水はすべて天然水で、水はビールの90%を占めると伺った。自然の地層によってろ過されたきれいな深層地下水。日本は自然に恵まれた森林の国だ。とはいっても、深層水には限りがあろう。いつまで、いい水でビールを作り続けることができるのだろうかと、何世代か先のことを遠目で眺めてみる。
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by hasiru123 | 2014-08-26 21:20 | その他

中止には高い志が

毎朝のように、走っている。暑い日も雨模様の日も、そして冷たい季節風が吹きつける日も、走る。果たして、これはモチベーションのなせる業なのか、それともただの惰性なのか。ふと、そんな疑念が脳裏をよぎった。

何事かをなしうるには、モチベーションが大事である。これは、これまでに一貫して言われ続けてきた言葉である。学生時代には教師から、会社では先輩諸氏から。そして、陸上競技のトレーニングにおいては、私自身も時々言ったりする。

学習を開始したばかりのビギナーならともかく、一定の経験を踏んだ者には、なくてもいい言辞ではないかと思うようになった。というのは、私自身の習慣的なランニングがモチベーションによって支えられているとは思えないからである。やる気があるかないかにかかわらず、多少の悪天候でも走れたりする。ちなみに、一昨日の大型台風11号の大雨の中でも、何とかジョグを行うことができた。もちろん、秋に控えたマラソン大会という目標があって、「それに向けて持久力をつけなくては」というのが練習の動機づけになっていることは事実だが、それだけではないような気がする。

つまり、30年間走り続けてきた中で知らず知らずのうちに身についた”習性”というか、”慣性”のようなものが、たしかにある。そのためか、「今日は天候が荒れているので、中止しよう」とか、「連日の暑さによる疲労が感じられるので、少し抑えておこう」といったブレーキが利きにくくなっている。

走り出すには、初動のためのエネルギーが必要である。一方、いったん走り出して、リズムに乗ったときに中止する場合にも、相当のエネルギーが要る。初動が”習性”のような力に支えられているとしたら、中止のほうがより質の高いモチベーションや管理能力、判断力が求められるのではないだろうか。止めることを決断することのほうが難しいのである。

話は変わるが、終戦直前の昭和20年4月に本土決戦の作戦準備がまとめられていたことをノンフィクション作家の保阪正康さんが書いている(毎日新聞8月9日夕刊)。作戦の要綱には「絶体絶命の一戦」に際して「特攻」作戦で臨むべきだという主張がある。保阪さんは、ポツダム宣言が発せられてからもなお、本土決戦に血筋をあげる軍部があったことにも言及している。著しいモチベーションの欠如としか言いようがない。

戦争を止める時期を逸して、泥沼に陥るのは数多の歴史が語っているところだろう。「中止するには高い志が必要である」と気づかされた8月である。
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by hasiru123 | 2014-08-12 18:01 | その他

ごみ出しで気づいたこと

環境省の調べによると、ごみの年間排出量は昭和61年度には4,296万トンだったものが、平成10年度には5,160万トンになっている。ごみが増えた原因はいろいろ考えられるが、耐久消費財の頻繁な買換え、使い捨て型の商品や容器の普及、あるいはオフィスのOA化に伴う紙ごみやプラスティックごみなどの増加などがあげられよう。

最近ある会報に、ごみ出しで気づいたことについて書かせていただいた小文があるので、採録する。

* * * * *

家庭ごみの回収で、ときどきルール違反のごみに出会うことがある。可燃ごみの日なのに不燃ごみが出してあったり、薬品など出してはいけないごみが出ていたりするいわゆる「うっかりミス」だ。

実は、私も失敗したことがある。あと出しごみ以外のルール違反に対してはごみに「違反シール」を貼られる。正しく分別するなどして、後日出し直す必要がある。

ところで、最近悪質なルール違反を目撃した。夜、車で乗り付けてタバコの吸殻や不燃ごみなどを家庭ごみの集積所へ捨てていくのだ。いわゆる不法投棄である。この場合には、個人で対応することは危険なので、自治体のごみ収集部門へ相談してほしい。

そして、もう一つ。ルール違反ごみには、うっかりミスと不法投棄以外に、見守りを必要としている人のシグナルにもなることに気がついた。一人暮らしの高齢者には、ごみの分別が難しかったり、日程を勘違いしたり、集積所までの持ち運びが大変だったりする。異変に気がついたら、速やかに自治会役員や民生委員、行政などにつなげることが大切だ。

また、一人暮らし高齢者・身体障害者のうち、自分でごみ等を集積所に持ち出すことが困難で、身近な人の協力を得られない方を対象に、自宅に直接出向いてごみ等を回収するサービスがある。自治体によって運用内容が異なるので、問い合わせ先や相談は、これも自治体のごみ収集部門へ。
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by hasiru123 | 2014-07-20 23:43 | その他

1年の折り返し地点

夏越の大祓が埼玉県川越市の三芳野神社神社で行われた。境内へ向かう通称「とおりゃんせのほそみち」にある鳥居には、茅で作られた大きな輪が飾られた。1年のちょうど真ん中に当たる6月30日は、これまでの半年間を無事に過ごせたことへの感謝とあと半年の無病息災を祈って、全国各地の神社で同種の行事が開催される。

大雨が続く関東地方。昨日の茅の輪作りと今日の大祓では、何とか天気が持ってほしいと茅の輪に祈るような気持だったが、幸運なことに、一雨も遭うことがなかった。

今年は、5月から新しい神職が就き、境内は見違えるようにきれいになった。また、お札やおみくじなども社務所で頒布できるようになった。地元住民の神社への関心も高まってきたように思う。あとは、観光客にもっと関心を持っていただいて、神社に立ち寄っていただけるとうれしい。

地元のケーブルテレビでは、18時のニュース番組で茅の輪くぐりの模様が放映され、生放送でインタビューも受けた。その中では、上記のことをお話しさせていただいた。

1年の折り返し地点に立ってみると、もうそんなにたったのかという思いがする。それでも、学校のステージでいえば、まだ1学期の終盤だ。会社などの期間区分では第1四半期が終わったところ。暦年と年度の併用は不便だと感じる一方で、この3ヶ月のずれはモチベーションを持続させるのにはうまくできた仕組みだと感心させられる。

今シーズンの私のマラソン練習もまだ序盤戦だ。ただ、ここ数年は暑い夏を乗り切った後がいけない。本来なら走りやすいはずの気温の下がる頃になると、いろいろな故障に見舞われて、目標の大会をキャンセルすることが多くなった。夏越の大祓では、半年間の無事に感謝するとともに、残りの半年間を故障なしに乗り切れることを祈った。

木天蓼の風のまぶしき夏越かな(山尾玉藻)

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by hasiru123 | 2014-06-30 22:50 | その他

これもまた英国のカレッジの話。

ある朝、礼拝堂の美しい塔の頂点に白い便器が懸けられていた。地上何十メートルもあるところに誰がどうやって運んだものか。群衆はそれを見上げ、笑い、怪しむ。学校当局には取り除く方法を諮ったが、危険を恐れてだれも応じない。面白半分に新聞が書き立て、下院でも緊急質問が出た。

掲示が出た。犯人のユーモアに敬意を払いつつ、「時間的限度があり、これを超えるとあくどい悪ふざけに堕する恐れがある。盟友は部隊を退く潮時に配慮するものであることを記憶されたい」と。しかし、何の進展もなかった。

再度の掲示で、「今夜中、陶器が取り除かれない場合、当局は校僕に命じてそれを行わせるであろう。その校僕は家族系累のないものから選ばれるであろうが、この高塔に登る技術をもつものがいるかどうか疑問とされる。ケムブリッジ大学が貴下のスポーツマンシップに呼びかける所以である」。翌朝、塔から白い鳩が飛び去って行ったという、ただそれだけの話。

以上、池田潔著『自由と規律』(岩波新書)からの孫引きである。ここでもスポーツマンシップに触れている。「相手が生活のため校僕を業としているものであれば忽ちこれに譲るのも、要するにこの精神に外ならないのである」と池田は書いている。英国人の生活には切っても切り離せない深い関係を持っているようだ。人はその香に気がつかないかもしれないが、「一旦その社会を離れてみると、なんとその香の強烈なことか」とも記している。

その「香」がまったく感じられないのが、東京都議会である。本会議で下村文夏議員が女性蔑視のヤジを浴びせられた問題で自民党の鈴木章浩議員が「早く結婚したほうがいい」と発言したことを認め、謝罪したことが報じられている。

問題のヤジがあってから5日目のことだ。鈴木氏は名乗り出なかった理由を聞かれて「話す機会を逸した」。3日目には「寝耳に水でびっくりした」とヤジへの関与を否定していた。ヤジの真意について報道陣から聞かれると、「少子化、晩婚化の中で、早く結婚をしていただきたいという思いがあった」。「あくどい悪ふざけ」ではないだろうか。

人は突然個人のプライバシーを傷つけたり、弱い立場の人を攻撃したりする議員になったりはしない。日頃から都議会の中に誹謗や中傷を空気のように投げ合う風土があったのではないか。鈴木氏だけの問題ではなく、家庭が、学校が、地域が、こうした女性の声が届かない風土を変えていくしかない。
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by hasiru123 | 2014-06-25 19:44 | その他

スポーツマンシップ

かの英国には、こんなエピソードがある。

パリのオリムピックの100米に優勝したハロード・エーブラハムスが、10碼(ヤード 約9.1メートル)ほど逃げてブルドッグに捕ったことがあった。しかも、ブルドッグの頭上のシルクハットは微動もしなかったという。「次回オリンピックにはこのブルを送れ。」翌週の学生雑誌の社説である。隠密には忍び歩かない捕り手と、足が早いからこそ校僕の立場に花をもたせてムキには走らない犯人と・・・。

これは、英国のパブリック・スクールの教育システムについて描いた池田潔著『自由と規律』(岩波新書)からの引用だ。「スポーツの真の精神を身につけた人間の間にのみ娯しまれる遊戯であろう」と書いている。ここでいう「ブルドッグ」とは、イギリスのケンブリッジ・カレッジで学生を監視する職員の後に控える校僕のことだ。

また、こんな話もある。ケンブリッジの学生は日没後外出するとき、房のついた角帽と黒ガウンを着なければならず、ガウンを着てタバコを喫うことは許されない。職員が辻々を巡回して違反者の所属や姓名をとり、翌朝その不心得者は職員の部屋に出頭してコーヒーとタバコをご馳走になった後、6シリング8ペンスの罰金を支払うことになっている。封建的非民主的学校当局に対し、非難のビラがべたべた貼られることはなかったという。

池田は、これをケンブリッジだけでなく、英国人に広く形成された精神ととらえている。「彼我の立場を比べて、何かの事情によって得た、不当に有利な立場を利用して勝負することを拒否する精神、すなわち対等の条件でのみ勝負に臨む心掛」が、スポーツマンシップだと。

サッカーW杯が始まった。国内で見られる親善試合とは異質の、ピリピリした雰囲気が伝わってくる。何試合か見ていたら、手を使ってはいけないはずの手で、相手選手の手や身体を捕まえたり、押したりするシーンが随所に見られた。たいていは危険行為とみなされないためか、反則(ファウル)をとられることはない。サッカーのルールでは、「プッシング」(手などをつかって相手を押す)や「ホールディング」(相手の手やユニフォームを掴んだりして相手の動きを抑える)、「ハンドリング」(GK以外のプレーヤーが手を使う、もしくはGKがペナルティーエリア外で手を使う)などは反則とされている。

審判に見破られない範囲で手は使ってもよいと、ルールの変更解釈が行われたのか思いたくなる試合振りだ。とうてい「スポーツの真の精神を身につけた人間の間にのみ娯しまれる遊戯」とは言い難い。不正行為を行わない勇気が、スポーツを楽しいものにする、そう思いませんか。
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by hasiru123 | 2014-06-17 11:36 | その他

3つのR

5月25日(日)は、川越市で春のごみゼロ運動が行われ、私の住んでいる地域でも、近くの神社に集まって清掃とごみの収集に汗を流した。5月らしいすがすがしい朝を迎え、多くの町民が参加した。親子で、あるいは孫子で参加した人も多かった。

少しでもごみを出さない世の中にするには、子どもたちの世代が小さいときから環境のしくみについて考え、行動することが大切だと常々思っている。その意味では、幅広い世代の人たちが一堂に会して行うごみゼロ運動はよい機会である。

せっかくだから、集まった子どもたちには、環境について話題を提供するつもりでいた。ところが、今日のイベントには清掃活動に加えて、防災訓練としての炊き出しや、新しく神社に出向することになった神職の紹介など、ToDoリストに書き出した項目がたくさんあった。したがって、それはつぎの機会に譲ることにして、ここでは話そうと思っていたことについて書いてみたい。

   ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ 

「持続可能な社会」とよくいわれる。将来にわたって、環境問題だけでなく経済や社会の総合的な発展がバランスほどよく保たれた社会のことを指す。そのような社会を根本で支えるのは、個人の環境に対する意識や、知識に基づいた行動だ。環境を守るための活動や教育は、その意識と行動を後押しするためのものである。

つい10数年前までの20世紀は「大量生産・大量消費・大量廃棄の社会」だった。それに対して21世紀は、少し難しい言葉になるが、「循環する社会」と言われるようになった。私たちの豊かで便利な生活は、大量の資源やエネルギーを消費し、いろいろな製品を大量に生産して使用し、その後不要となったものを大量に廃棄するという一方通行のしくみによって成り立っている。

その結果、地球温暖化や酸性雨、オゾン層破壊、廃棄物問題、資源の枯渇などさまざまな環境問題が生じ、地球社会が壊れかかっている。これらの問題を解決するには、これまでの大量生産・大量消費・大量廃棄の「一方通行の社会」から、廃棄物を抑え、天然資源の消費を抑え、環境に負荷をかけないような「循環する社会」へ変えていかななければならない。この「循環する社会」に変える考え方が「3R」と呼ばれているものだ。

一つ目のRは、ごみを出さない(リデュースReduse)。二つ目は、使えるものは繰り返し使う(リユースReuse)。そして3つ目は、再使用できないものは原材料として利用する(リサイクルRecycle)。今日はぜひこの「3つのR」を覚えてほしい。そして、この3つのRを実現するにはどうしたらいいか、について考えてほしい。家に帰って調べたり、また学校に行って先生や友達に聞いたりして、自分で解決方法を探すことだ。3つのR。

   ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ 

清掃が終わった後には、自治会の役員さんが作ったけんちん汁が振る舞われ、舌鼓を打った。

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by hasiru123 | 2014-05-28 23:16 | その他