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夢のマラソン

カテゴリ:マラソン( 85 )

この辺から少し下腹部が重たくなってきた。スタート前と5キロ過ぎに給水したのが影響したのかもしれない。早くも尿意を覚え始めた。

今までのマラソンで途中にトイレに入ったことはなかったが、まだ先は長いので早めに済ませたほうがよさそうだ。12キロ過ぎの給水所の先に併設されていた仮設トイレへ立ち寄ることにした。約30秒のロスがあったが、からだも気分も軽くなったみたいだ。すぐに元のペースに戻った。

いつの間にか、同じくらいのペースで走るランナーの集団を見つけた。しばらくはこの中でスタミナを温存することにした。

完璧主義はストレスのもとになる、と思われがちだ。そのせいか「完璧主義ですねえ」と揶揄されて複雑な気持ちになる。ほどほどに力をセーブしながら行動する方がよほどストレスフルに思えるのだが。こう書くのは、心療内科医の海原純子さんだ(毎日新聞連載の「新・心のサプリ」から)。

たしかに、マラソンでもほどほどにセーブしながら走るのはそれなりにむずかしく、ストレスフルではある。体調が悪いのなら別だが、むしろ思い切って力の限りを尽くして走るほうがやりやすいかもしれない。

しかし、今は周りのちょうどいいペースに身を委ねるように走っている。だから、ストレスはまったく感じていない。これが、練習で一人時計を意識しながら走るのであればそうはいかないだろう。途中でペースダウンしないかと、気が気ではないはずだ。

このゆったりしたペース感覚が、30キロ過ぎまで続いてほしい。無理をしなければ、これまでのレースのように30キロ過ぎに大きくペースダウンすることはないはずだから。
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この大会は長い直線コースが少ないことと街中と公園が繰り返されて、気分的に走りやすい。公園内の巨木は適当な間隔があけられていて、日本の都市にある公園に比べるとかなりすっきりしている。沿道の応援も熱気がこもっている。太鼓こそないが、鳴り物入りでランナーを勇気付けてくれる。

ところで、心配だった坂は繰り返しあったものの、さほど気にならなかった。五輪コースが厳しすぎたので、市民ランナーのために主催者がはずしてくれたのかもしれない。

結果としては、35キロを過ぎてもペースを落とすことなく、むしろ終盤ペースアップすることができた。とても気持ちよく走れて、次の大会につながるいい走りができた。そう思っている。


(写真)翌日のハイド・パーク。ここを走ったはずだが、大会の賑わいがうそのように静かだった。
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by hasiru123 | 2014-10-13 19:56 | マラソン

シドニーマラソン 号砲

来春のしかるべき大会に向けて、練習のつもりで走る。ついでに、観光も。そんな気楽な気分で走れるマラソン大会はないか。

10月から12月にかけてだと、スケジュール的に難しそうなので、9月に走れる大会があるとうれしい。少し暑いかもしれないが。RUNNETで調べてみたら、国内には一つもなかった。海外ならある。マウイマラソンとシドニーマラソンだ。日本(関東地方)の同時期とほぼ同じ気候のシドニーに決めた。時差も1時間しかないし。

事前に大会要項などでコースを調べてみると、かなり複雑なようだ。折り返し地点は、全部で8ヶ所。何度か同じコースを通る設定になっている。2000年のシドニー五輪の男女マラソンコースとは一部重なるが、かなり異なると聞いていた。五輪のときは終盤起伏が多くて、優勝した高橋尚子さんを始め、選手たちを苦しめた。最近は起伏のあるコースをほとんど走っていないので、少し心配だ。

スタート地点に着いたときは、先にスタートするハーフマラソンを走る選手たちがすでに長い行列を作って並んでいた。前を見たらきりがないが、後ろ向けばこんなにも多くの選手たちが楽しそうに走っている顔が見えてくる--。目が後ろについていると思って走れば、気持ちはかなり軽くなるはずだ。そう自分に言い聞かせてフルマラソンのスタートを待った。

スタートの直前になると小雨が降りだした。気温は12度くらいだろうか。少し肌寒い。ワイシャツ1枚で町を歩いた昨日の日中が嘘のようだ。紫外線を避けるため、ホテルを出る前に顔や腕にたっぷり日焼け止めを塗ってきた。が、その必要はなかったか。

実はこの季節(シドニーは春)でも、紫外線対策が欠かせない。何しろ、南極のオゾンホールが近いオーストラリアのことだ。同じ程度の日差しでも、北半球の3倍以上も強い紫外線だそうである。下手をすると日焼けどころか火傷状態になると現地の人から聞かされていた。だから、昨日はセントラル駅近くにあるマーケットシティで急遽サングラスを購入して、大会に備えた。

いよいよ号砲。競技選手のすぐ後に並んで走り出したので、接触で転倒しないために始めの数百メートルはやや速めに出た。以後はゆったりしたマイペースに戻して進んだ。スタート地点では、妻が預けたカメラでシャッターを切っているはずである。果たして、自分の姿が分かる程度に写真に納まっているだろうか。

しまった!流し撮りのやり方を教えておくのだった。シャッタースピードの設定は125分の1だったような気がする。沿道の最前列で構えているので、そのまま押したらランナーにピントが合っていても、人は動いているのでぼやけるはずだ・・・。しかし、そんなことはどうでもいい。今はしっかり走ることだけを考えろ!
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ほどほどにセーブしながら走る。自分にとっては初めての走り方である。汗はまったくかいていない。しかし、5キロ過ぎに早めの給水をした。これは、マラソンの鉄則である。のどの渇きを覚えてからでは遅いからだ。
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10キロ地点を通過した。想定どおりのラップである。呼吸は安定していて、ほとんど疲れを感じない。こんなに余裕があっていいのだろうか。当たり前だ!まだ4分の1も来ていないのだから。

(写真上)スタート5分前(中央が筆者)
(写真下)ハーバーブリッジを走るファミリーランナー
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by hasiru123 | 2014-10-05 20:51 | マラソン

9月21日(日)にシドニーマラソンを走ってきた。なぜこの時期に、ということについては少し説明が要る。最近の自分が抱えているランニングの課題のようなものがここに集約されているからだ。

この数年来、ランニングにとっては1年でもっとも良好の気象条件であるはずの10月に調子が落ちる現象が続いた。「調子が落ちる」とはどういうことかというと、一つは、冷涼で湿度の低い気候に変わることによって、足の指先や踵の皮膚が乾燥してひび割れが生じることだ。数年前まではなかったことである。特に左足の外反母趾を患っている部分がひび割れすると、着地からキックに至る運動に支障をきたす。

また、くるぶし下の部分や第1指、第2指のつけ根に疲労性の痛みが発生することもある。たいていは練習量を落として一定期間休むと自然に消える場合が多いが、長く続くこともある。長く続くと、その年はマラソンをあきらめることになる。

3つ目の落ち込み現象は、春から夏にかけて長距離を走り込んで蓄えた(と思っている)スタミナにスピードを加えて、徐々に本番向けの体質に変えて行こうとしても、体がついていかないことだ。長い距離の走り込みではLSDの超スローペースが中心だったのが、メインの練習日にはLSDよりも少し速めのペース走や少し速めのペース走、本番に近いペース走、本番よりも速いペース走などを取り入れて練習内容にバリエーションをつけて、徐々に早めのペースで距離を伸ばしていき、最終的にはいつでも20キロ程度の距離をレースペースに近いスピードで正確に刻めるようにしていく。また、何回か30キロから40キロの持久走を入れてペース感覚を確認する。そういう練習計画がうまく回らなくなることである。

4つ目の現象は、出場しようと狙いを定めた大会に申し込みそびれて、代替候補を探さざるを得なくなったことである。私にとって、マラソンを一番走りやすい時期は11月である。全国でもっともマラソン大会が集中するのもこの時期なのだ。その11月に選んだ大会が、申込者が急増したため締め切り時期が早まって、結果的にエントリーできなかった。これまでも何度かあったことである。

今年はまた、目標としていて大会の出場要件を満たすことができなくて、申し込みできなかったものもあった。少しメジャーな大会になると、たとえば「日本陸上競技連盟登録競技者及び一般(日本陸上競技連盟未登録者)競技者のうち、マラソン4時間以内もしくはハーフマラソン1時間33分以内で、完走した記録を持つ男女。ただし、平成24年11月1日以降の日本陸連公認コースでの大会の記録《グロスタイムが対象で、ネットタイムは、原則として認めない》 とする」などという参加資格が求められることがある。私の場合には、最近2年間の公認記録を持っていないから、この場合だとアウトだ。

マラソンをベストコンディションで走れるにこしたことはないが、ベストコンディションになる日を待っていたら、いつのことになるのやら・・・。そのうちに、マラソンを走れなくなってしまうだろう。そんな足踏み状態から早く抜け出さないといけない。まずは出場要件を満たせる程度のほどほどの記録を作って、申込書に書けるようにしないと話しにならない。そのことに、遅まきながら気がついた。
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by hasiru123 | 2014-09-28 18:45 | マラソン

擬制のランニング

この日の練習は1キロのペースを5分20秒から30秒に設定してスタートした。40キロ走である。ジョグよりは速いけど、マラソンのレースペースに比べたら相当に遅い。

今年初めての40キロ走になる。最後まで走りきることはもちろんだが、それも途中で苦しむことなく練習を終えること。これが、今日の練習の目標だ。そのためには、ゆめゆめ早く練習を終えようなどというはやる気持ちを持ってはいけない。そう、心に決めて早朝の入間川へ向けて走り出した。

長距離レースは、可能な限り早いペースで走って、より速くゴールにたどり着くことを競うものだ。したがって、練習とはいえ本番の距離を視野に入れて練習する40キロ走は、時間の速さ(ラップ、タイムなど)を意識して当然だろう。ところが、持久力をつける超長距離走(30キロ以上の走り込み)では、「時間」は意識しても、「速さ」を意識してはいけない。

そこで、クエスチョン。、「速さを意識してはいけないのは、なぜか -- 」。

たとえばマラソンの場合、初めての参加だったり、経験はあっても直近の大会時期から遠ざかっていたとしよう。マラソン本番で走る時間(ベストタイムが4時間だったら、その時間)を練習の中で体験することが持続力につながると考えるからだ。せっかくマラソンを完走しても、その感覚はすぐに忘れてしまう。人間は忘れる動物だから。本番のように速いペースでなくてもいいから(というよりも、速く走る必要はない!)、練習でスタートからゴールまでの時間を思い出す。

このように練習でマラソンの時間を体験することを、私は「擬制のランニング」と呼んでいる。この練習を本番までに数回繰り返すと、かなりスタミナがついてきたと実感できるのではないかと思う。これが、マラソンを成功に導く第1段階だ。

マラソンの経験が十分にある人は、次の段階として「擬制のランニング」よりもさらに長い距離を体験する練習に入っていくことができる。たとえば、40キロとか42キロといって本番を想定したより長距離の練習である。この場合の時間は、当然本番よりも長くなる。本番より長い時間を練習の中で体験して、距離に対する不安を払拭することがこの練習の目的である。「42キロ、何するものぞ」という気持ちがわいてきたらしめたものだ。

この2つの段階に共通していることは、いずれも「速さ」を意識しないで練習にマラソンの時間感覚を取り込むことである。「距離」を追うのではなく、「時間」を追う。これが、マラソン上達の近道だと考える。


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by hasiru123 | 2014-09-16 07:13 | マラソン

猛暑と冬のマラソン

昨年の夏は全国的に高温となり、気象庁が1946年の統計開始以来、最も高い記録を更新した。太平洋高気圧の勢力が日本の南海上から西日本にかけて強く、また北日本まで暖かい空気が流れ込んだためだ。特に西日本では、平均気温の平年差が+1.2℃で、江川崎(高知県四万十市)では日最高気温が歴代全国1位となる41.0℃を記録し、アメダスも含めた125地点で日最高気温の高い記録を更新した(気象庁の「平成25年報道発表資料」による)。

私の住む川越市でも、連日の35度超えの熱い記憶は鮮烈だった。だから日中のランニングは控えて、早朝の練習だけで秋のマラソンへの走り込みを続けた。

「きっと、今シーズンのマラソンの記録は例年よりも落ちるのではないか--」

そんな懸念が脳裏をよぎったのだが、実際には故障でスタートラインに立つことができなかったので、その心配は不要だった。それはさておき、私は日ごろから「猛暑が与えるのマラソンランナーへの記録的な影響はあるのではないか」と思っていた。

先ごろ、雑誌「ランナーズ」は全日本マラソンランキングを発表した。これは、大会別、都道府県別等でシーズン毎の国内フルマラソン完走者の動向を1歳刻みでランキングにしたものだ。これによると、13年度の男性の平均タイムは4時間37分32秒で、前年度に比べて2分1秒遅くなった。一方、比較的涼しかった12年度は2分57秒速くなっている。

気象庁の説明ように統計的な裏づけがあるわけではないが、夏の暑さと冬のマラソンの記録との間には何らかの相関関係がありそうだ。その理由は、暑さのために走り込みが不足すると、マラソンに大切な持久力を養成が手薄になり、しいては秋以降の走力の向上に支障をきたすからだ。そのことを、このデータは示しているような気がする。

ところで、女性の場合には13年度の平均タイムは前年度とさほど変わらない。これも持久力に関係があるのか、ないのか。これについては、もう少し長い時系列で追ってみないと何ともいえない。
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by hasiru123 | 2014-06-07 20:57 | マラソン

計画を立てる

「パブリッシュ・オア・ペリッシュ」と言う言葉がある。「論文を発表するか、消え去るか」という意味だそうである。SATAP細胞の論文騒動に触れて、海原純子さんが毎日新聞のコラムに書いていた。

研究者は論文を次々と発表していかないと評価されず、予算はカットされる。論文を世に問わない研究者は、業績を上げられないことと同義で、消え去るしかない、ということだ。研究者ならずとも、仕事に携わる者には覚えがあるだろう。よく言われる、成果主義である。

この「パブリッシュ・オア・ペリッシュ」と言う言葉。専門の競技者ではない私にも、チクリと刺激を感じる言葉である。それは、こういうことだ。

私が末席をけがしているランニングクラブのホームページに会員が近況を書き込む掲示板がある。マラソンシーズンが幕を閉じる季節になると、大会参加の記事や記録でにぎやかになる。ところが、私にはこの1年間のレースに出場できなかったため、掲示板を飾る記録がなかった。「消え去るか」とは考えないが、ちょっぴり由々しき事態である。

妙薬は一つ。成果は上げられなくても、できるだけ多くの大会に参加して、ランナーとしての存在感を示さなければ・・・。そんなプレッシャーを気持ちよく受け止めたい。

故障続きのふがいない1年だったが、最近行われたクラブや陸協の総会で恒例の計画が披露されたことに背中を押されて、自分の計画を立ててみた。今年は、夏に調子がいいことを生かして、夏のレースに挑んでみたいと思っている。比較的涼しい環境で走れる林間のマラソンはないだろうか。あるいは、陸協登録者部門がある8月の北海道マラソンはどうだろうか、と。

まだ早いかもしれないが、北海道マラソンの要項を確認しようと主催者のサイトをのぞいてみた。ところが・・・。4月7日に募集を開始し、その日のうちに定員に達し、エントリーは締め切られたことが分かった。この大会に限ったことではないが、マラソン希望者数と大会の受け入れ能力とにミスマッチが生じているようだ。

出鼻をくじかれたが、気にしないことだ。まずは、計画作りを楽しみたい。


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(写真)川越市伊佐沼で。沼の周辺には、1周約2.2キロのランニングができるコースがある。
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by hasiru123 | 2014-04-15 22:07 | マラソン

何に励まされて走るのか

埼玉県にマラソン連続52日間完走のギネス世界記録(当時)を作った男性がいる、という新聞の記事に触れたのは、昨年11月だった。「事業に失敗して莫大な借金を抱え、死も考えて男性が「走ること」で立ち直り、そして大記録を打ち立てた」と。

この男性は、昨年古希(70歳)を迎えた方だ。「できそうにないこともやってみればできる」との談話が紹介されていた。その志の高さに頭が下がる思いだ。この挑戦を決意させたものは何か。何に励まされたのか。

やってみようというきっかけは、イタリア人の男性が持つ51日間連続でフルマラソンを完走した内容の新聞記事を目にしたことだったという。「この状態から脱出するために走るしかない」。フルマラソンを完走したいという希望と、続けて走るという記録に支えられながら、あることを発見したのではないだろうか。その発見とは、「苦しいことを楽しいことに切り替えること」。

歌人の佐佐木幸綱さんは問うている。「私は、何に励まされて<にもかかわらず><ねばならぬ>との情熱をかきたてて、<走る>のか?」と。佐々木さんの著作『人間の声 - 私説現代短歌原論』の一節がしばらく前にある大学の入学試験問題として出題されていた。その資料によると、答はこうである。

「人間の全体の実現、モラヴィア風に言えば、手段としての人間を、目的としての人間にとりもどしたい欲望に支えられて、<にもかかわらず><ねばならぬ>とみずからを励ましつつ、<走る>のである」。また、こうも書いている。「短歌は方法ではない。志である。<走る>志である」と。現代において短歌を創作し続けることは、短歌という形式との闘いであり、千三百年の伝統に圧倒されることなく人々とのつながりを信じながら、自己実現に向かって走り続けるマラソンランナーのような志を持たなければならない、という意味らしい。

私は、何度か佐々木さんの短歌論を読み返してみたが、このくだりがなかなか理解できなかった。ところが、先の記事に触れたとき、するすると組紐が解けたように納得できた(ちょっと怪しいが)。それにしても、これを出題されて素早く文意を読み解かなくてはならない受験生には、脱帽である。
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by hasiru123 | 2014-01-19 23:01 | マラソン

今回は、「第4条 本番の数か月前には、起伏の富んだコースを走って脚筋力を高める」について。

ゆっくり長く走れるようになれば、少しずつマラソン向きの体ができてきたと考えてよい。本格的な走り込みの準備段階を迎えたとっていえるだろう。まだマラソン本番まで時間のあるこの時に、身体に少し刺激とゆさぶりをかけてより高いレベルの持久力をつけるのがねらいである。

具体的には、①筋力をつけること、②心肺機能を開発すること、③スピードに慣れることが主な目的である。3つの効果を同時に期待するなんて、少し欲張りではいないだろうか、はたして可能だろうか。そんな疑問が脳裏をよぎるかもしれない。しかし、この3つ力がうまくかみ合ってマラソンランナーの身体が作られることを考えるならば、むしろ同時に行って、相乗効果を発揮できるような練習方法があれば、理想的だ。

そのためには、起伏のあるコースでの練習を取り入れるといい。起伏走とか、クロスカントリー走、ヒルトレーニングなどと言われている。起伏走とクロスカントリー走は比較的小刻みに上りと下りを繰り返し、ヒルトレーニングは比較的長めで1キロ以上の距離の上りと下りの連続するコースを走るイメージである。ヒルトレーニングのほうがよりマラソン向きではあるが、残念ながら日本にはヒルトレーニングにふさわしい緩やかで長めの上り下りのコースはあまりない。日常のトレーニングを行うのに遠方まで遠征していくわけにはいかないから、起伏の規模についてはあまり難しく考えないほうがいいだろう。身近なところにある地形を利用してほしい。

近くに野山や林間コースがなければ、川の土手と利用したり、丘陵地に開発された団地や住宅地であればそれなりに起伏のある道路があると思うので、そういう地形を利用するといい。私の住んでいる地域では町なかに小刻みな坂が多いので、ロードを走るときの練習コースの往き帰りにわざわざ回り道して取り入れている。また、幸いにも周辺に川が多く、土手を使ったサイクリングロードには自動車道や橋を横断するのに自然と起伏ができている。土手に上る道が長めにとられているところがあれば、そこを何回か往復するコースをとってもいい。

ちなみに、私はクロスカントリーコースで行う起伏走の代替として、道路から土手に上る約150mの道と土手の向こう側に下る道の約150mとを合わせたコースを設定して練習を行うことがある。上りをほぼ全力で駆け抜け、下りをジョグでつなぐ。上りを利用したインターバルトレーニングで、相当にハードである。練習開始したころは1回で5往復位(上りを2回走る)から、走り慣れてくると14往復トライすることがある。これを、マラソンレースの半年位前から練習に取り入れている。

上りでは腕を大きく振って、膝を上げて駆け上がる。下りでは膝のばねを使って、転倒に気をつけながらがスピードを抑制する。その運動の連続では、肩から足の指先まで身体の多くの部位にある筋肉を使っている。その証拠に、翌日あるいは翌々日に痛みや疲れを感じる部分が体のどこにあるかを確かめてみるといい。きっと、普段の練習では感じない部位に、痛みや疲労が残っているはずだ。たとえば、背中や腰、上腕二頭筋、腰椎、足の裏など、フラットなコースを走っている限りはあまり発生しないような症状である。これが、①の筋力アップの効果」である。

そして、平地よりも上りの方がさらに大きな負荷がかかることから、心肺機能を高める効果がある。また、上りで大きな負荷がかかり、下りでは休息状態に入って楽な呼吸で走ることができるので、それを繰り返すことによってインターバルトレーニングと同様の半休息状態での走りを体感することができる。これは②の心肺機能の開発効果である。

上りでは呼吸が苦しくなり、追い込まれた状態になるが、ピークを過ぎて下りに入ると負荷を落としてもスピードは自然に上がっていく。下りの力を利用して意図的に速い動きをするという、よく短距離選手が行うような練習の感覚である。平地では出せないスピードに慣らすことができる。少ないエネルギーで、普段は出せないスピードを体感するという意味で、これは③スピードに慣れる効果である。

このように、起伏の富んだコースを走ることは、筋力トレーニングとインターバルトレーニング、スピードトレーニングを合わせたような多面的で多様的性を持った練習効果がある。さらに、LSDのような超長距離のランニングの合間に起伏走を織り交ぜると、身体的にいっそうの大きな成長を期待することができる。「1+1+1=3」という足し算の効果ではなくて、5にも10にもなるいわば掛け算の効果が期待できるのだ。

ただし、注意しないといけないのは、このような負荷の高い練習は連続して行うとからだが悲鳴を上げてしまうので、疲労が残っている状態では、絶対に行わないことだ。1週間に1回とか2週間に1回といった緩やかな頻度で計画的に実施してほしい。この疲労を回復させるときも、LSDを使うことは言うまでもない。
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by hasiru123 | 2014-01-14 07:24 | マラソン

さて、「第3条 毎日10キロずつ走る月間300キロよりも、5キロの日もあれば30キロの日もある月間300キロの方が効果が高い」について。

長い距離をくり返し走っていくと、少しずつ走る距離を伸ばしていくこができる。しかし、どこかで「体が重くなり、走ることがいやになってくる」という障害に出会う。この障害が、練習ごとに先へと伸びていけばいいが、いつか毅然と立ちはだかって、乗り越えられないことが出てくるだろう。そうなると、次の練習が負担に感じ、取り組む意欲がなくなってしまう。

そんな時には、気分転換をしてみるとよい。マラソン練習といっても、毎回のように持久的なトレーニングを行う必要はない。短いジョグを入れたり、徐々にスピードを高めていくビルドアップ走をやってみたりと、内容を変えてみる。緩急、距離の長短、強弱、練習頻度の多少、など様々な変化をつけてみる。さらに、発想の転換も必要である。これまで長い距離を走るときにいつも「距離」を意識してきたのであれば、今度は「時間」を意識して走る。

普通の持久的な練習では、公園の周回コースであれば何周しようとか、ロードであればどこまで行って帰ってこようとか、何キロのコースを何往復しようなど、目標を決めてから走るだろう。マラソンは42.195キロという長丁場だから、どうしてもマラソンの距離の半分を走ったとか、3分の2まで走れたとか、「距離」の感覚が頭から離れないのはやむを得ないことかもしれない。しかし、このやり方には「何キロ走った」という距離で満足してしまう限界が潜んでいる。これは、「距離」の発想である。

一方で、トラックの外周を1キロ何分ペースで60分走ろうとか、公園の中をゆっくり2時間は走ろうというのは、「時間」の発想である。同じ60分走でも、歩くよりも少し早いくらいのゆったりペースで走るのと、ペースの変化を入れて走るのと、終盤に追い込むようなペースに上げて終わるのと、ペースを上げたり落としたりしながら全体として徐々に上げていくスピードプレイのような走り方とでは、その練習効果はかなり違う。日頃から練習内容に変化をつけていると、ストップウオッチで正確にペースを計るわけでなくてもペース感覚は自然に身についてくる。ゆっくり走る時間を伸ばしていけば、知らないうちに長い距離が踏めるようになる。

実を言うと、「時間」で走るというのは、ゆったりペースであっても、結構大変なのである。長い時間が経過してくると、ウォッチを見ながら「あと1時間走る」「あと30分走る」などという時間の感覚が負担に感じられることがある。もっと早く走って、あと何周して早く練習を終わらせたいという気持ちになりがちである。単調で退屈かもしれないが、「速く走らない」練習だと思って、ここは我慢のしどころだ。

ある意味で大変ではあるが、「距離」を忘れて長い時間かけてゆっくり走ることは疲労を抜くいい練習になる。この練習を意識的に取り入れて、疲労を蓄積させないようにする。これは、長い目で見るとおおきな効果を発揮する。このプロセスをスキップして距離を伸ばすことはできないからだ。

速く走るためにゆっくり走る。長い距離を踏むために、短い距離の練習も無駄にしない。体のためなると思って、練習に変化をつけるときは「時間」を意識して取り組んでいただきたい。


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by hasiru123 | 2013-12-29 19:22 | マラソン

今回は、「第2条 練習で、エネルギーが枯渇する体験を踏む」について。

前回、「10キロくらいの練習を何回繰り返しても、マラソンに必要な超持久力はなかなかつかない」と書いた。たとえ、1回の走行距離が10キロくらいだったとしても、それを繰り返し行なっていけば、スピード力や持久力がついてきて、10キロどころか15キロや20キロと少しずつ長く走れるようになるのではないか。そう考える方は多いのではないか。

たしかに、トライアル回数を増やしていくと、超回復機能が働いて、10キロ以上の距離を楽に走れるようになっていくことは、多くのランナーが経験的に知っていることだと思う。10キロがしっかり走れるようになれば、1時間以上楽に走れるようになる。しかし、フルマラソンは、10キロの4倍以上の距離がある。3時間から4時間、あるいは5時間以上も走る超長距離の世界だ。

10キロ前後を走るだけでは、その4倍以上の距離を走り続ける力は生まれない。エネルギーの限界を超える苦しさを体験することでマラソンに必要な超持久力が身につく。これを、1度でもいいから経験して本番に臨む必要がある。練習でこの苦しさを体験しておけば、本番への自信につながるし、オーバーペースを防ぐのに大いに役立つ。

マラソンは短距離走と違って、後天的な要素が大きい競技だ。初めから、42.195キロよりも先にエネルギーが枯渇する地点があればいいが、ふつうはそれよりも前の地点に障害として立ちはだかっていることが多い。練習で、障害物を超える体験をしておくことはとても大切なことだ。そして、その地点を少しでも先に持っていく。

ただし、決してスピードを負わないことである。マラソンに必要な持久力は、スピードからは生まれないだからだ。ゆっくり、長い時間をかけて、長距離を踏むことである。

それでは、その障害はどの辺にあるのか。長い距離を走った経験のない人にはどの地点を指すのか見当がつかないかもしれない。ある人はマラソンのおよそ半分、すなわちハーフ(約21キロ)の地点だったり、ある人はハーフを少し過ぎた25キロあたりだったりと、人によって様々だ。

初めて、障害となる地点を捜すにはこんな方法がある。友達とおしゃべりしながら走れるくらいのペースでゆっくり走り出してみよう。歩くよりも少し速いくらいのペースだ。徐々に体が暖かくなり、うっすらと汗がにじんでくる。それでも、まだ話しながら走り続けることができる。もしかしたら、このペースならいつまでも走り続けられるのではないか・・・。そんな気分にさせる、ゆったりしたペース。よく言われる「ランニングハイ」だ。

しかし、そんな幸せな気分もいつまでも続かない。だんだん、発汗量が増えて、友達との会話が少なくなる。そのうち、互いに黙ってしまう。徐々に、体が重くなり、走ることがいやになってくる。呼吸が苦しいわけではないが、空腹を感じて、力がなくなってくる。そんな地点が、この障害である。

それでは、この地点を先延ばしするにはどうしたらいいだろうか。先延ばしすることは、走力の向上につながる。それを、これから考えてみたい。


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by hasiru123 | 2013-12-23 20:22 | マラソン