夢のマラソン

カテゴリ:マラソン( 88 )

苦しまずに42.195キロを走る5ヶ条(4)

今回は、「第4条 本番の数か月前には、起伏の富んだコースを走って脚筋力を高める」について。

ゆっくり長く走れるようになれば、少しずつマラソン向きの体ができてきたと考えてよい。本格的な走り込みの準備段階を迎えたとっていえるだろう。まだマラソン本番まで時間のあるこの時に、身体に少し刺激とゆさぶりをかけてより高いレベルの持久力をつけるのがねらいである。

具体的には、①筋力をつけること、②心肺機能を開発すること、③スピードに慣れることが主な目的である。3つの効果を同時に期待するなんて、少し欲張りではいないだろうか、はたして可能だろうか。そんな疑問が脳裏をよぎるかもしれない。しかし、この3つ力がうまくかみ合ってマラソンランナーの身体が作られることを考えるならば、むしろ同時に行って、相乗効果を発揮できるような練習方法があれば、理想的だ。

そのためには、起伏のあるコースでの練習を取り入れるといい。起伏走とか、クロスカントリー走、ヒルトレーニングなどと言われている。起伏走とクロスカントリー走は比較的小刻みに上りと下りを繰り返し、ヒルトレーニングは比較的長めで1キロ以上の距離の上りと下りの連続するコースを走るイメージである。ヒルトレーニングのほうがよりマラソン向きではあるが、残念ながら日本にはヒルトレーニングにふさわしい緩やかで長めの上り下りのコースはあまりない。日常のトレーニングを行うのに遠方まで遠征していくわけにはいかないから、起伏の規模についてはあまり難しく考えないほうがいいだろう。身近なところにある地形を利用してほしい。

近くに野山や林間コースがなければ、川の土手と利用したり、丘陵地に開発された団地や住宅地であればそれなりに起伏のある道路があると思うので、そういう地形を利用するといい。私の住んでいる地域では町なかに小刻みな坂が多いので、ロードを走るときの練習コースの往き帰りにわざわざ回り道して取り入れている。また、幸いにも周辺に川が多く、土手を使ったサイクリングロードには自動車道や橋を横断するのに自然と起伏ができている。土手に上る道が長めにとられているところがあれば、そこを何回か往復するコースをとってもいい。

ちなみに、私はクロスカントリーコースで行う起伏走の代替として、道路から土手に上る約150mの道と土手の向こう側に下る道の約150mとを合わせたコースを設定して練習を行うことがある。上りをほぼ全力で駆け抜け、下りをジョグでつなぐ。上りを利用したインターバルトレーニングで、相当にハードである。練習開始したころは1回で5往復位(上りを2回走る)から、走り慣れてくると14往復トライすることがある。これを、マラソンレースの半年位前から練習に取り入れている。

上りでは腕を大きく振って、膝を上げて駆け上がる。下りでは膝のばねを使って、転倒に気をつけながらがスピードを抑制する。その運動の連続では、肩から足の指先まで身体の多くの部位にある筋肉を使っている。その証拠に、翌日あるいは翌々日に痛みや疲れを感じる部分が体のどこにあるかを確かめてみるといい。きっと、普段の練習では感じない部位に、痛みや疲労が残っているはずだ。たとえば、背中や腰、上腕二頭筋、腰椎、足の裏など、フラットなコースを走っている限りはあまり発生しないような症状である。これが、①の筋力アップの効果」である。

そして、平地よりも上りの方がさらに大きな負荷がかかることから、心肺機能を高める効果がある。また、上りで大きな負荷がかかり、下りでは休息状態に入って楽な呼吸で走ることができるので、それを繰り返すことによってインターバルトレーニングと同様の半休息状態での走りを体感することができる。これは②の心肺機能の開発効果である。

上りでは呼吸が苦しくなり、追い込まれた状態になるが、ピークを過ぎて下りに入ると負荷を落としてもスピードは自然に上がっていく。下りの力を利用して意図的に速い動きをするという、よく短距離選手が行うような練習の感覚である。平地では出せないスピードに慣らすことができる。少ないエネルギーで、普段は出せないスピードを体感するという意味で、これは③スピードに慣れる効果である。

このように、起伏の富んだコースを走ることは、筋力トレーニングとインターバルトレーニング、スピードトレーニングを合わせたような多面的で多様的性を持った練習効果がある。さらに、LSDのような超長距離のランニングの合間に起伏走を織り交ぜると、身体的にいっそうの大きな成長を期待することができる。「1+1+1=3」という足し算の効果ではなくて、5にも10にもなるいわば掛け算の効果が期待できるのだ。

ただし、注意しないといけないのは、このような負荷の高い練習は連続して行うとからだが悲鳴を上げてしまうので、疲労が残っている状態では、絶対に行わないことだ。1週間に1回とか2週間に1回といった緩やかな頻度で計画的に実施してほしい。この疲労を回復させるときも、LSDを使うことは言うまでもない。
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by hasiru123 | 2014-01-14 07:24 | マラソン

苦しまずに42.195キロを走る5ヶ条(3)

さて、「第3条 毎日10キロずつ走る月間300キロよりも、5キロの日もあれば30キロの日もある月間300キロの方が効果が高い」について。

長い距離をくり返し走っていくと、少しずつ走る距離を伸ばしていくこができる。しかし、どこかで「体が重くなり、走ることがいやになってくる」という障害に出会う。この障害が、練習ごとに先へと伸びていけばいいが、いつか毅然と立ちはだかって、乗り越えられないことが出てくるだろう。そうなると、次の練習が負担に感じ、取り組む意欲がなくなってしまう。

そんな時には、気分転換をしてみるとよい。マラソン練習といっても、毎回のように持久的なトレーニングを行う必要はない。短いジョグを入れたり、徐々にスピードを高めていくビルドアップ走をやってみたりと、内容を変えてみる。緩急、距離の長短、強弱、練習頻度の多少、など様々な変化をつけてみる。さらに、発想の転換も必要である。これまで長い距離を走るときにいつも「距離」を意識してきたのであれば、今度は「時間」を意識して走る。

普通の持久的な練習では、公園の周回コースであれば何周しようとか、ロードであればどこまで行って帰ってこようとか、何キロのコースを何往復しようなど、目標を決めてから走るだろう。マラソンは42.195キロという長丁場だから、どうしてもマラソンの距離の半分を走ったとか、3分の2まで走れたとか、「距離」の感覚が頭から離れないのはやむを得ないことかもしれない。しかし、このやり方には「何キロ走った」という距離で満足してしまう限界が潜んでいる。これは、「距離」の発想である。

一方で、トラックの外周を1キロ何分ペースで60分走ろうとか、公園の中をゆっくり2時間は走ろうというのは、「時間」の発想である。同じ60分走でも、歩くよりも少し早いくらいのゆったりペースで走るのと、ペースの変化を入れて走るのと、終盤に追い込むようなペースに上げて終わるのと、ペースを上げたり落としたりしながら全体として徐々に上げていくスピードプレイのような走り方とでは、その練習効果はかなり違う。日頃から練習内容に変化をつけていると、ストップウオッチで正確にペースを計るわけでなくてもペース感覚は自然に身についてくる。ゆっくり走る時間を伸ばしていけば、知らないうちに長い距離が踏めるようになる。

実を言うと、「時間」で走るというのは、ゆったりペースであっても、結構大変なのである。長い時間が経過してくると、ウォッチを見ながら「あと1時間走る」「あと30分走る」などという時間の感覚が負担に感じられることがある。もっと早く走って、あと何周して早く練習を終わらせたいという気持ちになりがちである。単調で退屈かもしれないが、「速く走らない」練習だと思って、ここは我慢のしどころだ。

ある意味で大変ではあるが、「距離」を忘れて長い時間かけてゆっくり走ることは疲労を抜くいい練習になる。この練習を意識的に取り入れて、疲労を蓄積させないようにする。これは、長い目で見るとおおきな効果を発揮する。このプロセスをスキップして距離を伸ばすことはできないからだ。

速く走るためにゆっくり走る。長い距離を踏むために、短い距離の練習も無駄にしない。体のためなると思って、練習に変化をつけるときは「時間」を意識して取り組んでいただきたい。


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by hasiru123 | 2013-12-29 19:22 | マラソン

苦しまずに42.195キロを走る5ヶ条(2)

今回は、「第2条 練習で、エネルギーが枯渇する体験を踏む」について。

前回、「10キロくらいの練習を何回繰り返しても、マラソンに必要な超持久力はなかなかつかない」と書いた。たとえ、1回の走行距離が10キロくらいだったとしても、それを繰り返し行なっていけば、スピード力や持久力がついてきて、10キロどころか15キロや20キロと少しずつ長く走れるようになるのではないか。そう考える方は多いのではないか。

たしかに、トライアル回数を増やしていくと、超回復機能が働いて、10キロ以上の距離を楽に走れるようになっていくことは、多くのランナーが経験的に知っていることだと思う。10キロがしっかり走れるようになれば、1時間以上楽に走れるようになる。しかし、フルマラソンは、10キロの4倍以上の距離がある。3時間から4時間、あるいは5時間以上も走る超長距離の世界だ。

10キロ前後を走るだけでは、その4倍以上の距離を走り続ける力は生まれない。エネルギーの限界を超える苦しさを体験することでマラソンに必要な超持久力が身につく。これを、1度でもいいから経験して本番に臨む必要がある。練習でこの苦しさを体験しておけば、本番への自信につながるし、オーバーペースを防ぐのに大いに役立つ。

マラソンは短距離走と違って、後天的な要素が大きい競技だ。初めから、42.195キロよりも先にエネルギーが枯渇する地点があればいいが、ふつうはそれよりも前の地点に障害として立ちはだかっていることが多い。練習で、障害物を超える体験をしておくことはとても大切なことだ。そして、その地点を少しでも先に持っていく。

ただし、決してスピードを負わないことである。マラソンに必要な持久力は、スピードからは生まれないだからだ。ゆっくり、長い時間をかけて、長距離を踏むことである。

それでは、その障害はどの辺にあるのか。長い距離を走った経験のない人にはどの地点を指すのか見当がつかないかもしれない。ある人はマラソンのおよそ半分、すなわちハーフ(約21キロ)の地点だったり、ある人はハーフを少し過ぎた25キロあたりだったりと、人によって様々だ。

初めて、障害となる地点を捜すにはこんな方法がある。友達とおしゃべりしながら走れるくらいのペースでゆっくり走り出してみよう。歩くよりも少し速いくらいのペースだ。徐々に体が暖かくなり、うっすらと汗がにじんでくる。それでも、まだ話しながら走り続けることができる。もしかしたら、このペースならいつまでも走り続けられるのではないか・・・。そんな気分にさせる、ゆったりしたペース。よく言われる「ランニングハイ」だ。

しかし、そんな幸せな気分もいつまでも続かない。だんだん、発汗量が増えて、友達との会話が少なくなる。そのうち、互いに黙ってしまう。徐々に、体が重くなり、走ることがいやになってくる。呼吸が苦しいわけではないが、空腹を感じて、力がなくなってくる。そんな地点が、この障害である。

それでは、この地点を先延ばしするにはどうしたらいいだろうか。先延ばしすることは、走力の向上につながる。それを、これから考えてみたい。


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by hasiru123 | 2013-12-23 20:22 | マラソン

苦しまずに42.195キロを走る5ヶ条(1)

10月から12月にかけて、全国各地でフルマラソン大会が開催された。年末年始は大きなマラソン大会がないため、ちょうどこの時期(12月)は冬のマラソンシーズンの折り返し点といえるだろう。持久力にまだ自信を持てない人のために、マラソンの終盤の苦しみを少しでも取り除く方法はないものだろうか。この秋に少しずつマラソンを走る準備を進め、年明けにはマラソンに挑戦しようという人。また、この秋にマラソンを走って、今シーズンにもう一度走ってみようという人。そんなランナーのために、30キロ以降に失速しないためにはどのような工夫があれば有効か。自戒の念もこめて、頭の中を整理してみた。

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それが、以下に挙げる「苦しまずに42.195キロを走る5ヶ条」だ。

第1条 30キロを走ったら35キロ、そして40キロと段階を踏んでに走り込みの距離を伸ばす
第2条 練習で、エネルギーが枯渇する体験を踏む
第3条 毎日10キロずつ走る月間300キロよりも、5キロの日もあれば30キロの日もある月間300キロの方が効果が高い
第4条 本番の数か月前には、起伏の富んだコースを走って脚筋力を高める
第5条 ペースの変化に対応する力を身につける

まず、「第1条 30キロを走ったら35キロ、そして40キロと段階を踏んでに走り込みの距離を伸ばす」について。

「10キロくらいの練習を何回繰り返しても、マラソンに必要な超持久力はなかなかつかない。10キロの練習では、10キロまでしか走れない。1回でハーフ以上の長距離走を何回か繰り返すことで、徐々に持久係数が上がってくる。今日25キロを一人でゆっくり走ることができたら、1週間後は少し距離を伸ばして28キロ位に挑戦してみる。次は30キロを走ってみる。さらに、33キロ、36キロ、・・・という具合に少しずつ距離を伸ばしていく。そうすると、練習の過程で、きっと空腹感やガス欠を経験するに違いない。お腹がすいて走る力がなくなってくるのである。言い換えると、その距離までの持久力しか持ち合わせていなかったということだ。

例えば、30キロ走をやった時に27キロ地点あたりで急に空腹を感じたとしよう。しかし、いつも27キロ地点に来ると空腹を感じるのかというと、そんなことはない。次に走ったときは、30キロまで大丈夫だったとか、その次は32キロまで持ったとか、少しずつ空腹になる地点が先に伸びてくる。これが、すなわち持久力がついてきたということである。

これを繰り返していくうちに、40キロまで走っても空腹を感じなくなるだろう。そこまでくれば、しめたものである。ゆっくりであれば「いつでも40キロくらいは走れる」という感覚がマラソンへの自信につながる。

こういった練習の繰り返しと持久係数のアップは相関関係がとても深い。そして、ステップアップが緩やかであるほど、楽に距離を伸ばすことができる。先を急がないことである。


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by hasiru123 | 2013-12-16 21:08 | マラソン

旅の途中に

数々の警句で知られるサミュエル・ジョンソが残した言葉に「幸福とは旅の終わりに行き着くものではない。むしろ、旅の途中のことである」と言うのがある。これを読んだ私はこう言い換えてみた。「走る喜びとはレースの結果に行き着くものではない。むしろ、日々走る途中のことである」と。プロとアマとを問わず、走った結果にから生まれた記録よりも、結果を生み出した過程に意味があり、振り返えったときにわくわくするのはこちらの方である。

記録の満足は一時的で、他者の記録と比較することによって簡単に陳腐化してしまう。しかし、過程(旅の途中)の満足は持続性があり、想像力を働かせることによって拡大再生産される可能性も十分にある。そして何よりも、どんな過程であっても一人ひとり違う満足がある。日ごろ走り続けることができるのは、このような満足に支えられているからではないだろうか。

走ることはとの過程を楽しむこと。そう、何か、人生と似ていないだろうか。

昨日と今日は、全国で多くのランニング大会が開かれた。RUNNETから集計したみたら、この2日間で41大会あって、そのうちフルマラソン(リレー方式を含む)は12大会あった。来週の12月1日も34大会あって、フルマラソンが4大会。

 

私の住む川越市でも、今日は第4回川越小江戸マラソン大会が開かれ、1万人のランナーが蔵造りの街並みを走り抜けた。いつもなら、大会運営のお手伝いをさせていただくところだが、23日に福知山マラソン(今年は中止)への出場を予定していたため、今回は失礼させていただいた。旅の途中に、少し寄り道。 

秋たけなわ、大会ラッシュの季節でもある。


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by hasiru123 | 2013-11-24 23:45 | マラソン

市民マラソンの活用

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11月17日(日)に、第13回坂戸市民チャリティマラソン大会が坂戸市市民総合運動公園を発着点として行われた。この日の気温は約15度、無風に近く、ランニングには絶好のコンディションとなった。10キロをはじめとする5種目で合わせて約2600名のランナーたちが汗を流した。

私の所属している若葉グリーンメイトや坂戸陸協の選手たちも多くこれに参加し、中には優勝した選手もおられた。今年の特徴は、多くの大会記録が生まれたことだ。ロードレースシーズンンは開幕したばかりである。来年の4月上旬位までは、各地で市民マラソン大会や駅伝大会が開催される。楽しく、そして安全にこの半年間を乗り切っていただきたい。

例年この大会は役員として参加しているが、今回は決勝審判員を務めさせていただいた。同じ決勝審判員としてご一緒したある役員は、地元の高校で教鞭をとっておられる方だった。その学校では、毎年校内ロードレース大会としてこの大会を利用しているそうだ。なかなかうまい方法だと思う。

町なかの学校は、交通事情で独自のロードレース大会を行うのが難しくなっている。道路を使用するからには警察の協力を仰がなくてはならないし、先生たちも準備や安全対応に追われ、大変である。既存の大会を利用できれば、交通の安全問題は解消できる。そして、校外のランナーと一緒に走ることにより、日頃走っていない生徒にとっては、長距離レースに親しむいい機会となるだろう。長距離を専門にやっている生徒にとっては、力試しにもなる。

何千人ものランナーが一斉にスタートするビッグな大会は、この趣旨に応えることは難しいと思うが、坂戸マラソン程度の中小規模の大会は好都合だ。これをきっかけに走る楽しさを発見し、生活の一部になってもらえればうれしい。

町のロードレース大会は、たいてい5キロ前後の比較的短い距離の部門を設けていることが多い。大いに活用して、マラソンの雰囲気を満喫してもらいたい。


(写真)10キロ部門のゴール
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by hasiru123 | 2013-11-19 07:09 | マラソン

新谷の走りは日本の長距離界に光をあてた

8月18日でモスクワの世界陸上が終わった。暑い日があり、肌寒い日がありで、選手たちにとってはコンディション作りに相当苦労したのではないかと思う。寒暖の差が大きく影響するマラソンは、女子が30度を超える猛暑だったし、男子は22度ではあったが直接日差しを受けた選手たちには、これまた暑いレースだったようだ。

日本の選手たちの活躍ぶりは毎日のテレビを通して見させてもらった。全体としては、女子マラソンで福士加代子が銅メダルを獲得し、木崎良子が4位に入り、女子1万メートルで新谷仁美が5位入賞したのが光った。男子マラソンも、女子の活躍に刺激を受けてか、中本健太郎が5位入賞を果たした。

女子マラソンは、昨年のロンドン五輪で入賞者ゼロという大惨敗を喫したことを受けて、今大会では復活を期すべく、参加可能出場枠である5枠を使わず、「入賞を狙える精鋭」3人が選ばれた。女子1万メートルの方は、選考会である日本選手権で新谷の圧勝で、それに続く選手が見当たらず、これも参加可能出場枠の3枠を使えなかった。それがどんな結果をもたらすのかと期待もし、不安な点でもあった。

フタを開けてみれば、不安を晴らす活躍ぶりだった。福士はこれまでトラックで五輪3回、世界選手権も4回出場しているが、2009年世界選手権1万メートルの9位が最高だった。5000メートル、ハーフマラソンの日本記録保持者だが、国内のマラソンではなかなか結果を出すことができなかった。世界のマラソンに初めて挑戦し、念願の初メダルをつかんだ。

女子1万メートルの新谷の走りは、見事だった。ラスト500メートまで集団を引っ張り続けるレース展開には、これまでの日本人選手にはなかった積極さにあふれるものがあった。東アフリカ勢の選手に追いつくにはこれしかないというお手本を見せてもらったような気がする。4人のアフリカ勢にはかわされはしたが、新谷に振り落とされた選手が14人いたということだ(出場者数が19名だったので)。

日本人選手はスピードやスプリントにおいて、世界のトップとは大きな開きがあるのは歴然とした事実である。その土俵で戦うには、ついて行けるところまでつくしかない。そこから先は、つけるようになった段階で戦術を考えればいいことだ。今回の結果から、がんばり次第でラスト500メートまではつけることが分かった。これもまた事実である。

新谷へのインタビューで「メダルが取れなければ、この世界にいる必要がない」というコメントが紹介されていたが(8月12日付毎日新聞)、悲観するには当たらない。出口はまだ先かもしれないが、新谷の走りは将来の日本の長距離界に光をあてたという意味で、その功績は大きい。
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by hasiru123 | 2013-08-19 18:58 | マラソン

留学生の背中を見て走ること

7月末にある研修会に参加したときのこと。となりの席に、はるばる大分市から参加した女性がいた。ちょうど大分県を始めとする北九州地域でインターハイが始まったばかりだったので、町の雰囲気はどうかと聞いてみた。
 - 昨日も隣近所で飾りつけなど歓迎の準備で大忙しでした -
大分市では、4種目が開催されるそうで、まるでお祭り気分のようだと、その人は話してくれた。

さて、そのインターハイ。私は、2日目と3日目の決勝種目をビデオで見た。いずれも桐生祥秀選手の出場する種目があったので、放映されたのかもしれない。でも、4日目の男子5000m決勝や女子3000mの決勝などの長距離種目も中継で見せてほしかった。戦前の予想では、いずれの種目もケニア人留学生が上位を占めるだろうと報じられていた。そんな中で、日本の高校生たちはどこまで粘り強く食い下がることができるか、そこに注目していたので。

結果は、男子が1位の留学生と日本人トップの選手とでは約30秒の開きが、女子も同様に約18秒の開きがあった。男子の30秒は距離でいうと160mくらいだろうか。トップの選手がゴールしたときに、まだ第4コーナーにさしかかろうかというところである。この種目は、5年前の埼玉インターハイで見たときよりも、さらに水が開いたように思える。これが現実で、日本と世界の力の差だ。

実力差が大きい留学生と、果たしてインターハイという同じ土俵で戦う意味はあるのか。私は、大いにある、と答えたい。というのは、若いときから世界を見ながら走れたという経験は、後の成長に与える影響は計り知れないと考えるからだ。日本選手権で優勝したり、五輪代表になったからといってそれだけで満足したり、舞い上がったりしない高い意識と謙虚な姿勢を身につけることが可能な気がする。

世界を追うモチベーションがないと、今年の日本選手権男子1500mのようなレースになってしまいそうだ。2日目の男女1500mを見て、ニッポンランナーズ代表の金哲彦さんが毎日新聞のコラム欄にこんなことを書いていた。「入賞者のすべての記録と実力、はっきり言えば、全国高校総体の方が日本選手権よりも明らかに競技レベルが勝っていた--」。激しいラストスパートの勝負は見ていて面白いが、記録のレベルが伴わない戦いはどこか物足りない。きっと、走る選手も燃えきれない虚しさのような感覚を持ったかもしれない。

ケニア人留学生の背中を見ながら走ることで、目標を高く持てたとしたら、こんな素晴らしいコーチはいない。日本の高校生は、国内にいながら世界のトップの力を借りることができることの幸運を感じるべきではないか。
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by hasiru123 | 2013-08-07 23:55 | マラソン

私の合宿総括

恒例の若葉グリーンメイトの夏季合宿に行ってきた。場所は、新潟県越後湯沢町。雨模様を知らせる天気予報が出ていたので、昨年のような荒天が心配されたが、大丈夫だった。1泊2日で4度走ったが、いずれも練習中は雨に遭うことがなく、この時期としては涼しい中を走ることができたのは幸運だった。
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天候が幸いしてか、自分としてはいい練習がやれたと思っている。
 - 合宿は何のために走るのだろう -
これはいつも参加するときに考えることである。
 - ふだんから走っているのに -

参加の目的は人ぞれぞれだろう。昨今、小クラブの合宿参加者数が伸び悩んでいる。そこで、事務局の提案で合宿の看板からいつもの「強化」という2文字を外して「懇親」に置き換えた。だから、今回は「強化」を目的としない人も少なからず、というか相当数含まれているはずである。残念ながら、参加者数は昨年を下回ってしまったが、この方向は間違っていないと思う。
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さて、こここらは私ごとになるが、
 - 私は、何のために参加したのか -
と考えると、これは昨年の、そして一昨年の夢の続きを見るためであるということになりそうだ。2年連続でマラソン大会を欠場してしまったので、今年こそスタートラインに立って、目標の記録をクリアしたい。

5月から、少しネジを巻いて練習するようになった。現在の基本的な走力がどの程度までついてきたのか、そして「弱み」というか「課題」は何かを発見すること。この2つを押さえたかった。

越後湯沢の地は起伏に富んでいて、マラソンに必須の脚筋力と持久力をつけるのに格好のコースが揃っている。例年とほぼ同じコースで、2日間で合計63キロを走った。苦手の下りをリラックスして走り、上りで体幹を前面に押し出して走ることができた。
 - スタミナがついてきたな -
と実感できたことは大きな収穫だった。
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それでは、これでよかったのかというと、そうではない。先にも書いたように「弱み」や「課題」が見えていないことに気づくべきでなのだ。このまま夏を乗り切り、秋の走り込み期を迎えたら、必ずといっていいくらい故障が待っている。今の私が、マラソンの30キロ以降に大きく崩れる原因は、秋の走り込み期にしっかり走れていないことだと考えている。故障しない体を作ること。これが、喫緊のテーマである。

合宿の内容をよく点検して、課題を見つけたい。


(写真上)宿泊所の高野屋さん
(写真中)夕食に出た高野屋さん特性のナスとキウリの塩漬け
(写真下)朝食(これに味噌汁がつく)
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by hasiru123 | 2013-07-08 22:48 | マラソン

トラック競技への挑戦

数年ぶりの5000m走だった。6月1日(土)に東松山陸上競技場で開かれた東松山市長距離記録会のことである。

坂戸陸協から出場した2名の応援のつもりで参加したものである。エントリーしていた一般・高校男子の1組のスタートは12時40分。大会本部発表によると、正午の気温は30度まで上がっていた。まだ暑さに慣れていないため、控えめなスタートになった。中盤でペースが落ちることなく、かといって終盤伸びるでもなく、結果としてはほぼイーブンペースで走り切ることができた。

イーブンで行けたのならうまく走れたのかというと、そうではない。実は、最近はイーブンペースで走るのが一番楽なのである。ペースの変化に弱くなった、というか臆病になったと言った方が的確かもしれない。だから、どうしてもペースの上げ下げを嫌うようになってきた。レースでも、練習でも。

この日は、「大台を越えないで走る」ことが目標だったので、まずまずの結果である。「大台」の中身については、ここでは書かないが、キリのいいタイムという程度の意味である。しかし、今秋に予定しているマラソンのことを考えると、大台云々に満足していてはいけない。5000mの走力が上がれば、マラソンのラップを刻む上で、その分余裕が生まれ、後半のねばりにつながって、記録に大きく影響してくる。これは、マラソンの教科書に書かれているセオリーでもある。したがって、5000mをしっかり走ることはシリアスなランナーだけでなく、一般市民ランナーにとっても走力の確認ができるという点で、意味のあるエクササイズなのである。
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そのためには、苦手なことにもチャレンジしなくてはいけない。私にとっての苦手といえば、下りを走ること、そして近頃は上りも必ずしも得意科目とはいえなくなってきた。スピードに変化をつけて走ることも億劫である。それでも、マラソンのゴールで微笑むためには、そういった多少のつらい練習を行うことも必要だ。5000mを走って確認できたことは、こういうことだった。
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市民ランナーには、トラックの競技にはあまりなじみがないと思うが、陸協登録をしておくと、都道府県陸協などが主催する競技会に接する機会が増えて、出場すれば公認記録を取得するという楽しみもある。春から秋にかけては、トラック競技が盛んに行われている。この日の5000mのレースのように、速い組からゆっくり走る人のための組まで用意されていることが多い。トラック競技は、決して専門の競技者のためだけの大会ではない。ぜひ、練習のつもりでチャレンジしてみてはいかがだろうか。


(写真上)3組のトップ集団
(写真下)最終4組の1周目
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by hasiru123 | 2013-06-02 21:20 | マラソン