夢のマラソン

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フルマラソンのタイム予測をするには(1)


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 私の所属しているランニングクラブのIさんからメールでこんな質問をいただきました。「3月の10Kロードレースでは47分56秒で走れました。4月にはボストンマラソンに出場する予定ですが、この調子でいくとどのくらいの記録が望めますか」。Iさんは走歴15年以上の男性ランナーです。
          
 一般論としての予測をしてもあまり参考にならないと思い、もう少し情報を集めるためにこんな質問をしてみました。「ここ数ヶ月間の練習内容と、今回の記録の評価(ここ数年の10キロレースの実績比較)を教えていただけますか。それから、体調についても教えてください。それらの情報から、自分なりの予測を試みてみたいと思います」と。Iさんからは早速次のような返信が寄せられました。

1回の練習時間  約2時間
練習場所      高麗川から鳩山電大横の石坂ゴルフ横の坂道~物見山~地球観測所
            ~鳩山ゴルフ脇~農村公園~高麗川へ帰る、という約20キロが定番練
            習コース(登り坂は8カ所位ある)
走行距離(K)   10月 162 11月 136 12月 137 1月 145 2月 171 
参加レース     04年小川和紙 1:47:50 前半より後半が2分ほどよくうまく走れた
            05年青梅30K ほぼイーブンで走れた (15Kで1:20:00)
            05年鶴ヶ島10K 47:56 前日練習 10kのビルドアップのとき、少し重
            かった。体重が54.5キロでベストと比べて1キロほど重い感じ

 1回約2時間の練習とありますので、月間走行距離から推測すると週2回位の頻度で練習されているようです。また、コンスタントに月間150キロ程度をこなしていて、故障はなさそうでした。そのような情報を基に私は以下の方法で予測を試みました。

<予測方法(1) - 10Kと30Kの結果を使用>

ステップ1
 直近の10K、20K、30Kレースの記録を計算しやすいように秒表示にします(ハーフマラソンは20Kに換算)

ステップ2
 10Kの記録に対して20Kの記録は何倍かかっているかという「対10Kタイム比」を計算します。この「対10Kタイム比」を基に40K地点での「対10Kタイム比」を予測します。これは、10Kレースと30Kレースとでペースの落ち方を比較し、40Kレースでも同様な傾向を示すというのが前提です。
    
ステップ3
 40Kでの「対10Kタイム比」を使ってタイムを40Kでのタイムを計算します。さらに、同じペースいったときの42.195Kでのタイムを予測します。
   2,876×4.49×42.195/40=13,622(3時間47分2秒)

ステップ4
 長い距離練習を踏んできた人でも、どうしても30K以降はグリーコーゲンの枯渇現象が生じてペースが落ちてきます。脚が動かなくなったり、力が出なくなったりといういわゆる「ガス欠」現象です。計算通りにはいかない落ち込みをどう見るかがタイム予測の最大のポイントです。ここは「経験」と「読み」というきわめてファジーな部分に頼らざるをえません。Iさんは継続的に距離をこなしていて、フルマラソンの経験がありますので、そこでのプラスアルファーを5分とみました。

       距離(キロ)   実績     実績(秒表示)  対10キロタイム比  予測タイム
鶴ヶ島GR   10     47分56秒     2,876  
小川和紙   20    1時間47分50秒  6,133      2.13
青梅      30    2時間41分31秒  9,691      3.37
40K予測                                 4.49      12,913秒
42.195K                                         13,622秒  

 計算に基づく最終的な予測は上表のように13,622秒(3時間47分2秒)に5分を加えた「3時間52分」となります。ただし、タイム予測で一番大切な「気象(気温や風)」と「コース(特に起伏の有無)」、「体調」という3大要素を考慮していません。レースの直前に、これらの情報を加味してより確実な予測を行ってほしいと思います。
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by hasiru123 | 2005-03-26 23:02 | 練習

フルマラソンのタイム予測をするには(2)

 <予測方法(2) ― 10Kとハーフの結果を使用>

 ステップ2までは同じです。小川和紙ハーフのタイム(1時間47分50秒=6,470秒)に「対10Kタイム比」(2.13)を掛けて、5分のプラスアルファーを加えました。こちらだと<予測方法(1)>より3分ほど悪くなります。「対10Kタイム比」(2.13)が少し大きすぎるのかもしれません。                                                                                    
    6,470×2.13+5分=3時間55分                                                             

 残念ならが、10Kと20K、30Kを同時に使用して予測する方法が見つかりません。統計的な手法を用いて3点を結ぶ傾向線から予測値を試算することは可能だと思いますが、本末転倒になるのでやめます。この記事をご覧になった方が、それぞれの経験をインプットしてシミュレーションされるとよいでしょう。そうすることによって、自分に適したより精度の高い予測が行えると思います。5000Mから10000Mを予測したり、10Kからハーフマラソンを予測したりする際にも応用が可能でしょう。間違っても、マラソンのテレビ中継で見られるような途中経過を距離数で単純計算した予測は行わないでください(注)。

 初めてのボストンマラソンで、どのような結果が出るか楽しみにしています。

    * * * * * * * * * *

 (注)余談になりますが、東京国際マラソンのように前半が下りで後半が上り、しかもその高低差がきついコースにもかかわらず、20キロの通過タイムが世界記録のペースを超えていたりすると「このままのペースでいけばゴールタイムは○時間○分の世界記録が期待されます」などと無知なアナウンサーの予測が横行しています。このようなことは1度ならず何度も聞かされましたから、特定のアナウンサーの問題ではなさそうです。専門の競技者ではないIさんでも、単純計算ではない精度の高い予測を求めているのです。報道にあたる人はもっと勉強してほしいと思います。視聴率を上げるために、意図的に単純予想タイムを強調している、とは思いたくありません。  
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by hasiru123 | 2005-03-26 23:01 | 練習

『高橋尚子 失われた夏』を読む


高橋尚子 失われた夏
黒井 克行 / 新潮社
ISBN : 4104489034


 「こんなはずでは・・・」と誰もが疑ったあの03年東京国際女子マラソンでの失速。そこからこのルポルタージュは始まる。アテネ五輪の女子マラソン代表選手を決める国内最初の選考レース。思いを果たせなかった高橋尚子選手の苦悶を追っていく。著者の黒井克行氏は、4年前にシドニー五輪で高橋選手とリディア・シモン選手との熾烈なデッドヒートを活写した『駆け引き』という一書を物している。

 選考レースは、「カミソリのように研ぎ澄まされた」高橋選手の体が計算を狂わせた。本書では「体が動いたということもあって、はやる気持ちを抑えられなかった・・・・・」「最初のハイペースで一気にエネルギーを使ってしまったために血糖値を下げてしまい、後半に大きな影響を及ぼした」「『久々』が暴走に火をつけスタミナを消耗させ、よかれと絞り込んだ『ウエイト』がガス欠におい込んだ」と、調整ミスと前半のハイペースを失敗の要因に挙げている。ベスト体重から4キロも落ちていたそうだ。レースの2ヶ月前にボルダーで行ったインタビューでは「ベストの45キロを切ると故障につながる。過去3回、45キロを下回って3回とも故障している」とのコメントもあった。

 「04年3月15日」のことは今でもはっきり記憶している。シドニーに続く五輪2連勝が期待されていた高橋選手のまさかの失速で、代表選考会はもめにもめた。03年世界選手権で銀メダルの野口みずき選手がすでに内定していて、残る2つの代表枠は事実上、大阪国際で優勝した坂本直子選手と名古屋国際でねばりの逆転劇を演じた土佐礼子選手、そしてフルマラソン8戦して6回の優勝実績のある高橋選手の3名で争われた。結果は高橋選手の落選。「ここまで大規模な落選の記者会見は前代未聞である」と書いているように、その日の日本中が日本陸連の本部がある岸記念体育館と高橋選手の待機する赤坂プリンスホテルに注目が集まった――。

 アテネ五輪という夏を失った高橋選手は何と葛藤し、何を思い、何と闘ったのか。雌伏から再始動へ。その間に野口選手はアテネ五輪で日本人としての連続金メダルを勝ち取り、9月のベルリンマラソンでは渋井陽子選手が高橋選手の持つ日本記録を塗り替えた。本書は、挫折と栄光のくり返しの中で、高橋選手はこれからも「地の果てまで生ある限り走り続けている」ことへの期待と応援歌になっている。

 代表選考会からちょうど1年後の05年3月15日、高橋尚子選手は体調が万全の状態ではないことを理由に今春のマラソン出場を見合わせると発表した。「失った夏」の闘いはまだ続く。
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by hasiru123 | 2005-03-21 19:32 |

2005年東京・荒川市民マラソンに出場するみなさんへ

 いよいよ、3月20日(日)は待ちに待った東京・荒川市民マラソンの号砲が鳴ります。19日(土)午前9時現在の熊谷地方気象台発表の予報では、スタート時(9時)の気象コンディションは、「晴れ・8度・弱い東風・湿度30%、日最高気温は14度」(昨年は、晴れ・3.9度・北風2m)と報じられています。高気圧にすっぽり覆われそうなので風の心配はなさそうです。マラソン向きの気象コンディションといえるでしょう。参考までに、昨年に走った経験からひとこと申し上げます。

(1)スタート時には東よりの風であっても、途中で北よりの風に変わると、折り返してから向かい風を受けることになります。コース周辺にはあまり風を遮蔽するものがありませんので、往路は十分に余裕をもってペースを刻んでください。そうすれば、復路は栄光のビクトリーロードとなることでしょう。

(2)コースは2003年から大きく変わりました。不整地の多い折り返しコース(2回あり)から、舗装路のみの折り返し(1回)コースへ。これまでより走りやすくなり、起伏が少ないので好記録が生まれやすいのが特徴です。ちなみに、日本陸連公認コースです。

(3)参加者が13,000人ということもあって、会場最寄り駅のJR埼京線浮間舟渡駅は、早朝大変な混雑が予想されます。覚悟してください。また、受付は前日行っておくと安心です。

(4)晴れると、かなり強い日差しを浴び続けることになります。日差しの強さでは、9月20日ころと同じです。きっと、ランパン&ランシャツで走る方が多いでしょう。この季節は皮膚が強い日射に馴れていませんので、以外と紫外線にやられやすいのです。ご注意を。

 これまでの練習がよい結果に結びつくことを期待しております。
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by hasiru123 | 2005-03-19 12:20 | その他

LSDとは何か(4)

 マラソンの素質とは何か、ということがよく言われます。筋持久力や最大酸素摂取量などはその代表的な物差しといえるでしょう。

 マラソンの場合は、水泳や短距離走と違ってトレーニングや技術による後天的な要因が大きく作用します。ラストスパートでのスピードやレース展開のセンスのように天性の部分もありますが、そのウエイトはあまり大きくないと思います。筋持久力や最大酸素摂取量は、日頃のトレーニングによって高めるものだからです。しかしながら、それらのすべてがマラソンの素質である、と同時に、それらをすべてあわせてもマラソンの素質について言い尽くしていないように思います。

 話題を変えます。自動車にどんなに優秀なエンジンを搭載しても、燃料を貯えるタンクが小さければすぐに燃料が尽きてしまいます。バケツに水を入れるときに、バケツの容量サイズが小さければすぐに満タンになって、それ以上入れようとするとこぼれてしまいます。それと同じように、強い練習を反復していくと、どこかで壁に突き当たり、さらに練習を継続すると故障が発生、ということになります。その壁を突き破って、さらに走力を身につけるためにはどうしたらよいのでしょうか。

 自動車で言えば燃料タンクを、バケツで言えば容量サイズを大きくすることです。トレーニングで言えば、強度の高い練習を行ってもオーバーフローしない「器の大きな身体」を作ることです。ここでいう「器」とは必ずしもパワー的な意味に限定されません。「器の大きな身体」はすなわち「故障しない身体」でもあります。「器の大きな身体」こそが、マラソンの素質であると考えます。

 マラソンでは多くのエネルギーを使いますが、エネルギーを燃焼させるには筋肉に血液中の酸素が十分に送り込まれることが必要です。身体の隅々まで血液(酸素)を送り出せる機能(抹消毛細血管)が発達していることが大切です。発達した抹消毛細血管を備えていることが、マラソンでいうところの「器の大きな身体」です。

 それでは、マラソンの素質である「器の大きな身体」を作るにはどうしたらいいでしょうか。そこで、ゆっくり長く走るLSDが大きな役割を果たします。
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by hasiru123 | 2005-03-13 18:36 | 練習

ランニング学会について

<ランニング学会とは>       
 ランニング、ジョギング、ウォーキングを実践し、人文・社会・自然科学的立場から広く総合的に研究することを目的とした学術団体です。ランニングの指導方法を深め、安全に、あるいはより速く走ることに遠回りせずに辿る道筋をつけることやそのための情報を発信することを重要な使命と考えています。
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<どんな人が会員となっているか>
 ランニングに関心を持つ大学等の研究者・医者、競技の立場からは監督・コーチ、ランニングを指導する立場の指導員や市民ランナーなど実に多彩です。また、自己のランニングに文化を花咲かそうとする市民ランナーなど、皆ランニングに繋がる人が会員となっています。会員数は、2000年2月末現在で540名です。

<ランニング学会の活動内容>
 最大のイベントは毎年3月下旬に開催される「学会大会」です。東京近辺で開催し、会員による研究発表、特別講演シンポジューム、キーノートレクチャー等毎回メインテーマを設定し、多彩な形式で問題の核心に迫っています。出版関係では、「ランニング学研究」という学術雑誌を年1回発刊し、情報紙として、「会報」を年2回発刊しています。
 
 このブログを通してランニング学会の活動状況をお伝えしていきます。また、ランニング学会に対しては一市民ランナーとしての情報発信を積極的に行っていきたいと思っております。
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by hasiru123 | 2005-03-12 08:03 | その他

05年鶴ヶ島グリーンロードマラソンで後口さんが優勝

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 3月6日(日)に行われた鶴ヶ島グリーンロードマラソン大会の10キロ(35-49歳)の部で、後口洋史さん(後口RC)が32分13秒で優勝した。後口さんは、若葉グリーンメイトのメンバーと一緒に練習を行っている走友で、2月13日の東京国際マラソンを2時間29分44秒で走ったばかり。

<ひとこと>
 同部門の2位にはかつて若葉グリーンメイトで活躍していた福田健さん(東松山市)が入った。福田さんは長らくレースから遠ざかっていたが、見事に復活を果たした。現在は、一人で練習に取り組んでいるとのことだが、競技者のころとはちがう楽しみの世界を見つけたのではないかと思う。

 若葉グリーンメイトからは15名が参加し、全員が完走した。

後口さんのラストスパート                  表彰式の後口さん(右側)と福田さん
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by hasiru123 | 2005-03-06 20:58 | 話題

最終刺激練習の効果

 競技者の多くが、レース直前のスピード的な刺激練習(最終刺激練習)の一環として、1000m程度のペース走を取り入れています。目的は、レースまでに培ったトレーニングの成果を十分に発揮するための調子の引き上げです。私の所属している若葉グリーンメイトの練習仲間であるKさんは、実業団チームをもつ会社に勤務する社員ですが、同社の選手たちがレース直前に行っているのを見て、自らもレース前には必ず取り入れているそうです。

 若葉グリーンメイトでは、試みに3月6日(日)に地元で開催される鶴ヶ島グリーンロードマラソンに備えて、東洋大学のトラックを借りて実施することになりました。果たしてその効果はいかがなものか。

 レース直前のスピード的な刺激練習とはおよそ次のようなものです。
  ●目的:レースのためのスピード的な刺激を与える
  ●練習方法の一例:
  1)ウォーミングアップ(ストレッチ&ジョッグを30~50分)
  2)ウインドスプリント(慣性走あるいは流しとも言う) 100~130m×3本
  3)呼吸を整え汗をとってから、1000m×1~2本(90%程度の力で)。レースペースが
目安。
  4)呼吸を整え汗をとってから、ジョッグを10~20分
  5)ストレッチを入念に行う

 基本は、気持ちよく練習を終わり、明日への鋭気を養うことです。速すぎたり、本数が多すぎたりしないようにコントロールすることがポイント。

 ここに、その練習効果を調べた報告があります。2000年に発行された「ランニング学研究」で発表された「レース前の最終刺激練習の実際」(山内武、卯田一平)という論文です。大阪学院大学の陸上競技部の長距離ランナーを対象に、最終刺激練習を行う前後における血中乳酸値(*)や心拍数を測定したうえで、10000mのベスト記録と競技会の記録とを比較し、その記録の低下率で競技成績を評価しました。その結果、次のようなことがわかりました。記録低下率【100-(大会の記録/ベスト記録×100)】は、「2日前に最終刺激練習を行った競技者」「1日前に最終刺激練習を行った競技者」「最終刺激練習をやらなかった競技者」「3日前に最終刺激練習を行った競技者」の順で低くなっています。また、最終刺激練習において、血中乳酸値が低い競技者ほど、記録低下率が低い傾向もわかりました。血中乳酸値が低いということは、長距離種目に向いた身体資源を保有していることの証でもあります。

 この測定結果はあくまで競技者を対象にしたものなので、初心者が取り入れるのは控えた方がいいでしょう。また、練習不足でレースに臨む場合も同様です。最終刺激練習を行って、本番に筋肉疲労を残してしまうようでは逆効果となるからです。
    
 *血中乳酸値については、下記URLを参考にしてください。
    <<http://www.club-arkraysp.net/health/report/01.html>>
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by hasiru123 | 2005-03-05 19:08 | 練習

奥日光パークマラソン大会が廃止に

 日光市役所は、毎年6月下旬に開催されていた奥日光パークマラソンを、2004年に行われた第10回大会をもって廃止とすることが、大会関係者宛の文書でわかった。廃止の理由は「昨年の第10回大会を一つの節目として」というだけで、詳細は不明。

<ひとこと>
 大自然の中を走れるレースとして、毎年2000名以上の参加者を得ていた大会だけに残念なことだ。大会の雰囲気については、昨年6月に若葉グリーンメイトのホームページに書かせていただいたので、そちらをごらんいただきたい。
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by hasiru123 | 2005-03-01 22:35 | 話題