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夢のマラソン

c0051032_211151.jpg  女子マラソンはラドクリフに凱歌





女子マラソンは、ラドクリフ(英国)のスピードか、それともヌデレバ(ケニア)のレース運びか、そこに日本の5名のランナーがどこまで食い込めるか。五輪後の世界の女子マラソンの行方を占う意味で、大変楽しみな大会でした。結果は、ラドクリフが自分の得意なレース展開に持ち込んで独走して優勝を飾りました。日本選手は、原裕美子(京セラ)の6位が最高で、弘山晴美(資生堂)が8位に入りました。

このレースでも「サプライズ」がありました。それは、大会初日の女子10000mで30分42秒75の9位に入る健闘を見せ、その勢いで大会最終日のマラソンに出場し、金メダルに輝くという快挙を成し遂げたとことです。五輪や世界選手権で長距離種目とマラソンを掛け持ち出場することは珍しいことではありませんが、好結果をもたらすことはきわめてまれのように思います。私が知っている限りでは、「人間機関車」との異名をとったザトペック(チェコ)が、ヘルシンキ五輪(1952年)で5000mと10000mそしてマラソンに同時優勝を果たしたことと、円谷幸吉が東京五輪(1964年)で10000mに6位入賞して、マラソンで銅メダルを獲得したことが想起されるくらいです。マラソンは「スピードの時代」といわれて久しいのですが、長距離種目、マラソンともにそれぞれ専門化してきて、力のある選手でも長距離種目とマラソンを同時に制することは難しくなってきています。そんな中でのラドクリフのマラソンの走りは大変な驚異でした。

ラドクリフのスピードを生かしたマラソンの実力は、2度にわたる世界記録更新で実証済みです。昨年のアテネ五輪の失敗を見ていましたから、独走で自分のレース展開ができる場合は強いけれど、五輪や世界選手権のように勝負を競うサバイバルレースには弱いのではないかと、懸念していました。しかし、それは杞憂であったことがわかりました。彼女は今、世界で一番強いマラソンランナーです。

日本選手は、残念ながらメダルには手が届きませんでしたが、原裕美子の積極果敢な戦いぶりはりっぱでした。16キロまではラドクリフにつき、その後足にきて後退しましたが、最後に踏ん張って6位まで順位を上げました。一度落ちかけたペースや順位をもう一度引き上げることは大変なことですが、マラソンを走りきるうえでとても大切なポイントだと思います。

原選手のレースをはじめて見たのは3年前の実業団ハーフマラソンでした。そのときは川上優子(当時沖電気宮崎)が優勝しましたが、最後まで川上を苦しめたのが原でした。顔をしかめながらよく粘る選手だな、というのが印象に残っています。その粘りが奏功して、初マラソンながら世界選手権選考会を兼ねた05年名古屋国際女子マラソンを制したのは記憶に新しいことと思います。この粘りは、市民ランナーとしても、大いに学びたいものです。

原選手の今後の成長に期待します。
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by hasiru123 | 2005-08-28 21:15 | 話題

c0051032_21135835.jpg   エチオピアはなぜ強い?





2005年世界陸上ヘルシンキ大会が終わりました。北欧のフィンランドで行われることで、長距離・マラソンにはいい気象条件と予想していましたが、今年の天候は荒れに荒れました。強い風雨と寒さの中での闘いは、熾烈を極めました。

そんな中で驚いたのは、長距離種目でのエチオピアの圧倒的な強さでしだ。男子10000mは2人の日本人選手が出るとあって、深夜のライブ中継を観戦しましたが、ケネニサ・ベケレ選手のラストスパートの鮮やかさとエチオピアの選手たちのチームワークのよさに舌を巻きました。下表を見てください。男女の5000mと10000mの4種目でエチオピアが獲得したメダル数は9個です。特に、女子の5000mと10000mは金銀銅を独占しました。このため、全体のメダル獲得数でも米国、ロシアに次いで世界3位にのし上がりました。この強さはどこから来るのでしょうか。

   <5000mと10000mを合わせたエチオピアのメダル数の推移>
         03年パリ世界陸上   04年アテネ五輪   05年ヘルシンキ世界陸上
   男子         4            3            
   女子         3            4            
   合計         7            7            

ニッポンランナーズの理事長で日本陸連強化委員の金哲彦さんは、エチオピア選手の強さの秘密を10項目挙げています(7月22日発売「ランナーズ9月号」のエチオピア取材報告で)。参考までに、その10項目を以下にあげると・・・。

   1.空(高地)を駆けるトレーニング!?
   2.ランニングは大富豪への道
   3.選手層が厚い
   4.コーチの力量が優れている
   5.クロカンコースを走る選手はまるで野生動物!?
   6.充実したスピード練習
   7.まじめな国民性
   8.主食の「インジェラ」はランナーにぴたりの食材
   9.エチオピア人は姿勢がいい
   10.トレーニングに適した寄稿

また、金さんは8月5日の朝日新聞にエチオピアの驚異の揺さぶりについて、男子は400mを50~53秒で繰り返す強烈なインターバルトレーニングの存在に着目していました。日本選手が弱いのは、この絶対的なスピードが欠けているからだとも。

しかし、それだけでは長距離王国といわれたケニヤとの実力の開きについての説明がつかないような気がします。なぜならば、エチオピアとケニヤは、長距離種目の選手層が厚く、選手たちの素質も高く、気候や地形的な特徴においても共通するからです。とくに、ケニヤは800mから10000mまでの中長距離種目で多くの実績を残しています。私は、金さんの挙げた10項目に加えて「エチオピアの厳しい経済情勢」を挙げたいと思います。次の表をごらんください。6つの経済指標について、両国を比較してみたものです。

               (エチオピア)    (ケニア)
   経済成長率      -4%       1.8%
   物価上昇率       14%       9.8%
   輸入超過額     11.93億ドル  11.53億ドル
   1人当たりGDP    100米ドル   390米ドル 
   人口          8,430万人   3,190万人
   国土面積      109.7万k㎡   58.3万k㎡
           * 2003年世界銀行の統計などを参考にしました
           
人口および面積ではエチオピアがほぼ2倍。先進国から多額の援助を受けていると言う点では共通しています。しかし、経済成長率や物価上昇率を見ると人々の暮らしぶりはエチオピアのほうがかなり厳しそうです。GDPでも4倍の格差があります。

本大会で見せたずば抜けた勝負強さとチームワークの背景には、得意な長距離種目でしか夢を実現することのできない貧困な経済環境があるような気がします。エチオピアとケニアの選手たちとの力の差はほとんどないと思います。生活が厳しい分だけ、長距離ランナーのモチベーションに差が生じて、勝敗を分けた、と考えるのですが。
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by hasiru123 | 2005-08-26 07:52 | 話題

合同練習会について

ロードリレー方式(5K×5区間)で、20年間にわたって続けてきたランニングの練習会があります。坂戸走友会(坂戸市)と鳩山NT.RC(鳩山町)が共催で、埼玉県西武地区の近隣で活動するランニングクラブが集ってランニングに汗を流すイベントです。
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同会が産声を上げたのは、私が若葉グリーンメイトで走り始めた年の翌年でしたから、しっかり記憶しています。若葉グリーンメイトも毎年参加させていただいています。コースは何度か変えながら、現在の農村公園の集会コースになりました。実施時期は、毎年6月第3日曜日。梅雨のシーズンではありますが、幸いにしてこれまで天候には恵まれてきたように思います。

このコースの特徴は、起伏が多いことです。鳩山町は山間部に属していますから、どこをとっても坂ばかり。走力をつけるにはもってこいの環境といえるでしょう。初期は階段のある林間コースでしたが、現在のコースは、農村と森林の中のクロカンコースといった趣です。すべて舗装路ですが、車が少なく、信号がひとつもありません。走るために作ったのではないかと思うほどの理想的なコースです。ちなみに、同町内にある県立鳩山高校は、県内でも有数の駅伝の強豪校でもあります。

若葉グリーンメイトからは3チーム参加し、若手の活躍でレースを面白くしました。私は、これまで2度走ることが多かったのですが、今年は皆さんに迷惑のかからないようゆっくり派のチームで、最終区をジョギングで走らせてもらいました。
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今年は6月19日に行われ、11団体で、のべ37チームが参加しました。最近の特徴としては、「レース指向」よりも練習会本来の目的である「楽しみながら走り、応援する」という傾向が強くなっているように思います。家族連れでの参加も多くなりました。主催者からの報告を見ないと正確なところはわかりませんが、私の記憶ではおそらくこれまでで最も多かったのではないかと思います。

同会の功績は、競技指向に走らずに「楽しむ」ことを優先することによって定着させ、また近隣の走るクラブ間のしっかりしたネットワークの基礎になったことだと考えます。これからも、合同練習会によってランナーの輪がさらに拡がり、発展することを願うとともに、できる限りのお手伝いをしていきたいと思います。
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by hasiru123 | 2005-08-14 18:32 | 練習

LSDとは何か(12)

  力を抜いて走ることが、走力アップにつながる

<早く、かっこよく走らない>

スピードが加わるとどうしても肩や腕に力が入ってしまいます。また、きれいにかっこよく走ろうとすると、かえってぎこちなくなり、フォームが崩れてしまうものです。
力が入ったりフォームが崩れたりするということは、無駄なエネルギーを発生させることになり、早く消耗し、練習効果を奪うことになりかねません。「早く走る」ことに集中するとかえって「早く走る」ことを阻害する悪循環にはまってしまうような気がします。

「早く走る」ということは、どこか無理をしています。つまり、自然ではない、リラックスしていないということです。スピードはしばらく片隅においといて、LSDで、ゆっくり走り続けてみてください。それも、ゆっくりすぎるくらいのスピードで。

<自分の姿を見つめる>

1時間なり、2時間をほとんど苦痛を感じずに走れるようになってきたら、ぜひ自分の走りに「耳」と「目」を傾けてください。「耳」というのは走る足音、「目」というのは町中を走るときなどにサイドのガラス越しに映し出された自分の走る姿です。走っていて「ズッズッズッ」とかペタペタといった足音が聞こえませんか。また、ガラス越しに自分の姿をみたときに、左右の腕がバランスよく前後に振れているでしょうか。腕が左右に振れていませんか。腰が後ろに引けていたり、落ちていたりしていませんか。腰や肩の上下動が大きくありませんか。へそがしっかり前へ出ていて、体の重心にきていますか。

ゆっくり走るからこそ、心とからだにゆとりが生まれて、自分のフォームを見つめることができるのです。まず、自分のフォームをしっかりと見つめることから始めましょう。

<バランスに注意>

「無駄な動き」を言い換えますと、バランスの崩れたフォームと言うことができます。登山ではありませんから、荷重によるアンバランスは考えらないのですが、ランニングでは地面から受ける力のアンバランスは十分に考えられます。一つは路肩の傾斜です。路面は内側から歩道にかけて傾斜しています。同じ側だけを走っているとからだのバランスを崩し、故障の原因となります。したがって、往路と復路とでを走る方向を変えるなどの工夫が必要です。もう一つは、トラックなどのようにカーブが多いコースを走るときにも、同一方向だけで走っているとバランスに影響します。内回りと外回りの両方を併用するように心がけましょう。

ゆっくり走れば、無駄な動きをなくすことができます。無駄な動きが解消されれば、使うエネルギーのほとんどをスピードに振り向けることができるのです。無駄なエネルギーを使わなくてすむわけです。スピードの効率が上がります。このような走り方を身につけることができれば、いざスピードを上げて走る場合に、少ないエネルギーでスピードを獲得できますから、結果として好記録を得られるという理屈です。

<リラックス=スピード>

参考までに、リラックスして走ることによって無駄をなくし、スピードに磨きがかかった選手の走りをご紹介します(「連続写真で見る陸上競技の技術/月刊陸上競技」から)。フォームの見た目や美しさよりも、無理のない自然な走りという視点から選びました。尾方選手は05年世界陸上男子マラソンの代表で、活躍が期待されます。小林選手は先ごろ行われた千葉インターハイで女子800メートルと1500メートルの2冠を獲得しました。また、05年日本選手権1500メートルのチャンピオンでもあります。

尾方 剛(中国電力)
  http://getsuriku.jp/GRK/2003/02/ogatan.gif(実速) 
  http://getsuriku.jp/GRK/2003/02/ogatas.gif(スロー)
小林祐梨子(須磨学園高校2年)
  http://61.121.100.103/rikujyokyogi/kobayasin.gif(実速)  
  http://61.121.100.100/rikujyokyogi/kobayasis.gif(スロー)
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by hasiru123 | 2005-08-06 17:29 | 練習