夢のマラソン

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『自然治癒力を高める基本指圧の絶大効果』を読む


自然治癒力を高める基本指圧の絶大効果
村岡 曜子 / 文芸社
ISBN : 4286014983
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指圧との出会いは2年前にさかのぼります。足底筋膜炎に加えて外反母趾を発症したときに、整形外科での治療やスポーツマッサージ、鍼、そして電気マッサージ、整体などいろいろな回復方法を試みましたが、思うような改善効果が得られないでいたときです。たまたま配偶者に勧められ、彼女が通っていた指圧専門の治療院の門をたたいたのが指圧と付き合うようになったきっかけです。指圧は筋肉マッサージと違って、圧(お)されて気持ちがいいというものではありませんでしたが、他に効果的な方法を見いだせなかったこともあって、すがるような気持ちで施術を受け、現在も継続しています。

指圧は、法的には正式な医療行為とみなされていないという面があるので、医師が治療の手段として指圧を取り入れたり、患者に指圧を勧めたりすることはまずありません。厚生労働省の衛生行政報告によると、2004年のあん摩、マッサージ及び指圧を行う施術所数は20,532件だそうです。その中で指圧本来の施術を専門に行っている施術所数がどの位あるかについては、残念ながら統計がありません。参考までに日本指圧専門学校に問い合わせてみたのですが、「把握しておりません」との回答でした。厚生労働省の統計にあるように、指圧は「あん摩、マッサージ及び指圧」というカテゴリーにくくられていて、一般の患者の認識も指圧とそれ以外の施術との識別はできていないのではないでしょうか。

実際に指圧を受けて感じたことは、患部を直接圧すことよりも、患部に痛みが出ている根本原因となっている部位を圧すことに注力しているように思われます。例えばハムストリングに痛みが出ているときには、ハムストリングを圧してもらうと気持ちがいいのですが、鼠径(そけい)靭帯を圧したり、前頸部を圧したりします。それらの部位を圧されることは、気持ちがいいどころか苦痛そのものでした。2年間受け続けている現在でも、多少の違和感はあります。

さきごろ、指圧についての理解を深め、圧すことの意味をわかりやすく解説した本が出ました。村岡曜子著『自然治癒力を高める基本指圧の絶大効果』です。本書によると「指圧治療の目的は、必ずしも鎮痛やコリをほぐすばかりではない。痛みを引っぱり出して治す」ことだとあります。「身体が緩んで来る中で、奥深く隠れていた痛みが、まるでビデオの逆回しのように出てくる。身体の防衛機能で覆い隠していただけの痛みが徐々に出てくる」のだそうです。

村岡さんの指圧は、いわゆる「浪越指圧」です。浪越指圧の特長は「前頸部と腹部の治療」にあります。前頸部をきっちり押せる指圧師はなかなかいないといいます。村岡さんは、「前頸部と腹部」という指圧の基本を徹底的に学び、指圧師免許を取得した後もその技術の修得に悪戦苦闘します。「強く圧せる人」=「上手な指圧師」という誤った指圧がもてはやされる中で、「無駄な力を抜いてしっかり圧す」指圧を力説しています。

天才的な指圧師であった故浪越徳治朗氏は、指圧の体系を築くと共に「「指圧の心 母ごころ おせば生命の泉湧く」のフレーズで指圧の知名度を高めましたが、天才肌ゆえに後生の指圧師に伝えるべき指南が十分に残されていないようです。村岡さんは、波越氏から教えを受けた鈴木林三氏を師と仰ぎ、基本指圧研究会というNPOを立ち上げました。「力を抜いて圧すための練習法」に取り組むと同時に、若い指圧師の指導に当られています。

本書では「前頸部四点目」とか「拇指中指節関節」、「鼠径部」などの身体部位についての専門用語がでてきます。それらはいずれも基本指圧の核心的な部分を占めると思われますので、図解して説明いただけるとありがたいです。また、具体的な圧し方についての記述はほとんど見られませんが、おそらく初心者が簡単に手を出すことの危険を考慮して、あえて触れなかったのではないかと思います。もし、初心者でもできる予防的な指圧方法があるのでしたら、ぜひ機会を改めて書いていただければと思っています。

指圧を受ける人には、病院や医院に通っている人が多いと思います。現在進められている医療制度改革は「治療優先の医療から、疾病の予防を重視した保健医療へ」と転換を図ろうとしています。指圧は疾病の予防におおいに活かされるるべきだと思うのですが、残念ながら今のところは、西洋医学と東洋医学との接点が見えていません。それでも、施術を受ける人はいやがうえにも両方の医学と付き合っていかざるを得ないという現実があります。どちらの医学がいいかという問題ではなく、それぞれの長所を補い合うのが患者にとっては幸せなことだと思います。大変重い課題ではありますが、今後は西洋医学と指圧との融合についても指圧師の立場から発信していただきたいと思っています。

冒頭で書いた私の通っている指圧治療院とは、村岡さんの開業している村岡曜子治療院のことで、特に病院のお世話になっていない私にとっては、ホームドクターのような存在です。村岡さんが高校時代には、陸上競技の短距離選手をされていて、膝の故障でやむなく実業団での競技生活をあきらめたという経歴をお持ちです。それだけに、私のようなスポーツ傷害についても、強い関心をもって接していただき、示唆に富むアドバイスをいただいています。身体から発するいろいろな痛みを体調の変化に伴うシグナルと捉え、これからも身体との対話を続けていきたいと思います。指圧に「絶大な効果」とはいいませんが、“Slow and steady wins the race“、ゆっくりでも着実な効果が現れることを期待して。
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by hasiru123 | 2006-10-08 12:13 |

しっかり走るための栄養とは何か(2) 

   まずは、普通の人がとる栄養を

マラソンというスポーツは、大量のエネルギーと使うだけでなくからだの細胞そのものを消耗する、大変過激なものです。したがって、健康を保ちながらマラソンを走るということはそもそも矛盾する行為なのです。それでも、楽しみながら走りたいというのであれば、それなりの「備え」をしなくてはなりません。

「備え」とはすなわちトレーニングであり、食事であり、睡眠であるわけです。これらの日常生活上の行為が、マラソンを走るためのからだ作りにつなげていく必要があります。栄養についても、マラソンを意識した食事を心がけなければなりません。

ところが、建前では上記のとおりなのですが、ランナーのための特別な食事メニューがあるわけではありません。基本は、普通の人にとって必要な栄養はランナーにとっても欠かすことができません。普通の人が摂るべき栄養の土台があって、マラソンのための栄養があると考えるべきでしょう。この土台が作れない人は、マラソンを走ろうとは考えないでいただきたいと申し上げます。したがって、しばらくは走る人に限らず誰もが心がける必要がある栄養について書いていきます。

  日常生活のエネルギー源は糖質と脂質だが・・

たんぱく質と糖質(炭水化物)、脂肪は3大栄養素といわれます。マラソンに限らず、日常生活を維持していくエネルギー源だからです。ところが、たんぱく質は糖質と脂肪が十分に摂取されていればエネルギー源として使われることはありません。したがって、エネルギー源という意味からは、糖質と脂質であるといえるでしょう。しかし、脂肪は単独ではエネルギー源として燃えません。ビタミンB1とビタミンB2という栄養素の力を借りないと効果を発揮しないのです。また、脂質の代謝にはパントテン酸というビタミンの一種である栄養素が使われます。

ビタミンB1は、胚芽や豆類、豚肉などから摂ることができ、ビタミンB2は牛乳や卵、緑黄色野菜などから採ることができます。また、パントテン酸は穀類や豆類、魚介類などから補給することができます。

このように、各栄養素はそれぞれお互いに影響を及ぼしあって効果を発揮しています。したがって、栄養効果を発揮するためにはバランスのとれた食事がとても重要なのです。
 
(注) 橋本勲「グッドコンディションのための「食」」(学習研究社『最新ランニング技術百科』改訂版)を参考にしました。
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by hasiru123 | 2006-10-01 20:59 | その他