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『マラソンを走る・見る・学ぶQ&A100』を読む

マラソンを走る・見る・学ぶQ&A100
山地 啓司 / / 大修館書店
ISBN : 4469266485
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東京マラソンには3万人を越えるランナーが出場した。初マラソンという人もかなり含まれているものと思う。ランニングを始めたばかりの人にはもちろんのこと、現役の選手から指導者まで、ランニングに関わる人にはせひ読んでほしいのが本書だ。マラソンを100のテーマに分けて、Q&A形式でまとめている。

全体が八章に分かれている。Chapter1は「マラソンへの誘い」である。マラソンが誕生してから今日までの歩みを辿ることによって、マラソンの魅力を伝えている。他のスポーツと比較して、「マラソンは比較的閉鎖的、内向的、抑制的でありながら、人々の心の中に忘れられないインパクトを与え、興味をひきつけてきた不思議な魅力を持っている」と語る。

 Chapter2は「近代マラソンが歩んできた道」と題し、男子マラソンが2時間40分から2時間5分を切るまでの1世紀間の変遷を語る。マラソンの大衆化に関する記述に多くのページを割いている。これは、著者が長年にわたりランニングの普及に取り組んできた歴史とも重なる。元ランニング学会会長でもある。

アマチアリズムの崩壊については、賞金レースの実態や報奨金制度、高地民族の活躍などに触れながら、具体的に説明してくれる。特に、2度五輪入賞を果たした有森祐子が、それぞれの直後のインタビューに答えた言葉の変化をとらえて、プロ宣言の背景をさぐるなど、とても興味深く、平易に伝えている。

 Chapter3は「マラソンの記録は例証からなる科学」。マラソンは勝負なのか記録なのか、はたまた名誉なのかが、常に問われる。その大会が持つ特性によって変わるが、「記録には、勝負や名誉にはない、科学性とか哲学が隠されている」という。ここでは、マラソンの記録が持つ魅力を探っていく。

 Chapter4「マラソンの記録を決定する要因」。炭水化物(グリコーゲン)と脂肪(脂肪酸)などの燃える物と、酸素という燃やす物の関係。長い時間走り続けるためには、燃える物と燃やす物を絶えず供給し続けることが必要だが、ここでは酸素を取り込む能力について書かれている。最大酸素摂取量や酸素摂取水準、無酸素作業閾値(Anaerobic Thereshold;AT)や乳酸性作業閾値(Lactic Acid Thereshold;LT)といった用語が出てきて、記述やグラフもやや専門的になる。しかし、マラソンを科学的な視点から学ぶ上では避けて通れない事項だ。高校の生物に出てくる「細胞」を復習しながら読んでいくとより理解しやすいかもしれない。

Chapter5は「マラソントレーニング」。代表的なマラソントレーニングとしてあげられるのはフィンランドで生まれたファートレック・トレーニング、次いでフィンランドで生まれてザトペックに受け継がれたインターバル・トレーニングだ。また、高地民族のアベベが1960年のローマ五輪で優勝して注目された高所トレーニングは、最近では、わが国でもトップの選手たちが走り込みに活用するようになっている。

こうした新しいマラソントレーニング方を創ってきたのは、その時代の第一線の選手たちだ。「時代が変わってもスポーツの世界で変わらないことは、“一流ランナーがいてそのトレーニングのよさを実証しなければ、誰もそのよさを認めない”こと」だと書いている。マラソンのトレーニングは「例証からなる科学」によって成り立っている所以(ゆえん)である。

以降、Chapter6は「マラソンランナーの体系」、Chapter7「レースに備えたコンディショニング」、Chapter8「マラソンと気象条件」と続く。

先人たちが獲得したこれらの科学的成果を、一般の市民ランナーはどのように取り入れていったらいいのだろうか。はしがきには、こうある。「平均値から得られた有効な科学的情報を一人ひとりのナンナーに適用するためには、科学的情報の古本的概念を十分に理解し、長年の経験によって養った観察眼と鋭い洞察力を駆使して、各ランナーの体力や技術の特性を考慮しつつ慎重に導入していかなければなりません」。個々のランナーの特性に応じてわかりやすくかつ具体的に書かれている。市民ランナーの場合は、だれもが選手であり、かつコーチでもある。選手に手ほどきするつもりで、マニュアルとして十分に活用したい一書だ。

余談になるが、本書には版元が国語辞典の宣伝を兼ねて作ったしおりが挟まれていた。そこに<この言い方は、間違い?「スポーツには、すべからくルールがある」?>と書かれている。うっかり、「正しい」と答えそうになったが、「すべからく」には「ぜひとも」などの意があって、「すべて」の意はない。知らずに誤用している言葉は多いものだが、ことランニングに関しても誤解に基づいた指導は意外に多い。トレーニング内容を見直す格好の機会だと思う。
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by hasiru123 | 2008-02-24 07:37 |  

東京マラソン、明日号砲

東京マラソンが明日行われる。昨年の人気もあってか、今年の一般参加者の抽選による競争率は約5倍だったそうである。読売新聞の報道によると、「今大会は前回より6万968人も多い15万6012人が応募」とあった。フルマラソンを走るランナーがそんなにいるのかと、驚いた。もちろん、この数字の中には今回が初マラソンというランナーも多いと思う。

16日17時現在の天気予報では、東京の明日は晴れ、最高気温7度、最低気温1度。少し寒いかもしれないが、この時期としてはまずまずの気象条件だ。制限時間は7時間なので、無理をしなければだれにも完走のチャンスがある。十分な寒さ対策をして、気持ちよくゴールしてほしいと願っている。

レースを見て、来年は自分も走ってみようと心に決める人も多いことだろう。今回抽選に漏れた人はもちろんのこと、これから走り始めたいという人もいるにちがいない。そういう私も、来年こそスタートラインに立ちたいと密かに闘志を燃やしているところだ。これを機に、見るマラソンから走るマラソンに切り替えるという人も増えるのではないか。

今年の東京マラソンは、男子の北京オリンピックの代表選考会を兼ねている。最近の国際マラソンでは、日本人選手が優勝争いに絡むことが少なくなった。ここは、若い一般参加選手の走りに注目したい。

無名のランナーがいきなり飛び出して優勝するのも、ある意味では強さの証明である。日本がかつて厚い選手層を誇っていた80年代に、福岡国際で無名の中山竹通選手が優勝をさらったように。米国の大統領選でいえば、本命のヒラリー・クリントン上院議員を激しく追い上げているバラク・オバマ上院議員のような存在だ。東京を制する者は北京を制す、といきたい。
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by hasiru123 | 2008-02-16 20:09 | その他  

ワーク・ライフ・バランスとランニング

仕事と生活のバランスをどう図るかは、働く人々が常に直面している難題です。

これまでは、「ワーク・ライフ・バランス」を、従業員の福祉施策としてとらえる傾向が強く、組織の効率性をそぎ、追加コストがかかると考えられがちでした。しかし、最近は「企業にとっての意義」という視点からとらえ直そうとするようになってきました。

背景には以下の2つが考えられます。まず、働く人の生活や意識が変化し、仕事も重要だが自分の生活を大切にしたいと考える人が増え、企業もそうした変化に対応しなければ、人材が流出するという危機意識が生まれたこと。もう一つは、経済の発展やITの進展が労働時間の短縮に向かわずに、労働が強化される事態になっているという社会の変化です。

最近の働く人々の意識を見ると、仕事優先になっている(特に正社員の)状況を見直して、もっと生活に軸足をおいた働き方をしたいと考えるようになってきました。

内閣府が行った「男女共同参画に関する市民意識調査」(平成18年度)では、生活の中で「仕事・家事・プライベートの両立」を望む人が32%に上ったのに対し、「仕事優先」としたのは2%にすぎません。仕事優先の現実に直面して、希望と現実の間に大きな乖離を生んでいることが見てとれます。

また神戸新聞の社説では、男女を問わず現役世代の多くが、ボランティアや地域活動への参加意欲を持ちながら、「時間がない」との理由で参加していないという結果を伝えています。

そこで本題ですが、働くランナーの場合には、「ワーク・ライフ・バランス」の「ワーク」と「ライフ」に加えて、「ラン」があります。市民ランナーは専門の競技者と違って、もちろん「ラン」は「ライフ」の一部でです。しかし、走ることに多くの時間を割いているランナーにとっては(特にフルマラソンを目指すような場合は)、この3つを独立させて考えた方がいいのではないかと、私は考えます。すなわち、「ワーク・ライフ&ラン・バランス」です。

限られた生活時間の中で走る時間を捻出することは、何かをあきらめるとか、無駄に過ごしている(と思われる)時間を有効に使うかなどの、生活時間の取り方の見直しが必要です。「ワーク」と「ライフ」に支障をきたさないようにうまく調整しないといけません。これらのバランスのとり方は個人によって多様であると同時に、おかれた状況やライフステージによっても異なるでしょう。生活時間とどう向き合うかということでもあります。そして、当然のことながら、自分と家族の健康が前提となります。

仕事と生活のバランスを図ることだけでも難しいところに、走ることを加えるのはもっと難しそうです。生活の一部を犠牲にして走る時間を作り出す、と考えるとそういう難題に突き当たります。荷が重くて、肩が凝りそうですね。

少し視点を変えてみてはどうでしょうか。「ワーク」や「ライフ」に支障をきたさないようにと考えるのではなく、「ワーク」や「ライフ」を充実させるために走る、という方向に発想を転換させることです。すなわち、生活の中にランニングを取り入れることによって、プラス効果をもたらすことです。たとえば、休日にテレビのながら視聴がなくなったとか、ちょっとした移動には車を使わずに歩いたリ自転車を使うようになったとなれば、身体的な面だけでなく、家庭におけるCO2の排出削減という相乗効果も期待できるでしょう。

そう考えれば、生活時間の舵取りもまた楽し、です。
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by hasiru123 | 2008-02-10 14:42 | その他  

第6回奥むさし駅伝大会

新春を恒例の第6回奥むさし駅伝は、1月27日(日)に東飯能駅西口前をスタートし、西吾野駅前で折り返す6区間(38.8キロ)のコースで行われました。選手のみなさん、早朝からそして寒風をつく中をお疲れさまでした。

今回は一般の部に、WGM関連団体から昨年と同じ3チームが参加。若葉グリーンメイトは、前年を9分以上上回る2時間17分11秒の39位でゴールしまた。また、千代田ランナーズと青葉クラブも、途中で繰り上げスタートとなったものの、前年の記録と順位をクリアーし、全体の底上げを図ることができました。

一般の部は、中央大学をはじめとする大学・実業団チームを含む134チームが参加し、熱戦を展開しました。今年は繰り上げスタートの規制に加えて、第6区の高麗橋手前で11時15分を越えた選手は競技を中止という規則が適用され、市民ランナーには厳しい駅伝になってきました。昨年よりも参加チーム数が17チーム減った理由には、そういった規制強化が影響していたかもしれません。

若葉グリーンメイトは、予想タイムを大きく上回るうれしい誤算で、5区間で昨年の区間記録を短縮しました。2区間で選手が入れ替わったことに加えて、各選手の走力向上が見られました。4年連続で1区を走ったTさんは前回を49秒上回る健闘でした。2区のHさんは初出場で、順位を3つ上げました。3区のYさんは昨年を大きく上回る記録で順位をさらに3つ上げる快走を見せました。4区のKさんは体調が万全ではない中での出場でしたが、うまくまとめました。5区のOさんは、半年間のブランクを感じさせない走りで、順位をキープ。アンカーのAさんは初出場ながら、1区に次いで長い区間を維持して、39位でゴール。昨年のSさんに迫る走りでゴールすることができました。今回出場した3チームのメンバーで前年の記録を超えたのはTさんとYさん、Mさんの3名で、それぞれ49秒、1分20秒、1分44秒短縮しました。

一般の部の優勝は中央大学(1時間56分13秒)で、神奈川大学陸上競技部、新電元工業、東洋大学陸上部が続きました。また、飯能高校陸上部OB会の5区には、東洋大学監督の川嶋伸次さんが出場して、区間8位で走りました。

レースの詳しい結果は「飯能市のホームページ」(http://www.city.hanno.saitama.jp/taiikuka/ekiden/6_kekka.html)に掲載されていますので、合わせてごらんください。
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by hasiru123 | 2008-02-03 19:57 | 駅伝