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マラソンを走ったあとは、ケアからのリスタートだ(下)

マラソンを走った後、しばらくして出てくる内臓疲労の回復策について。この時期(レースから、2週間~5週間)は、マラソン直後に出る筋肉痛はほぼ落ち着いて、次のレースに向けてのつなぎの練習という位置づけになる。

マラソン直後は、筋肉痛などのように体で感じる疲れがでるが、筋肉痛が収まるのと入れ替わるように現れるのが内臓疲労だ。どんな症状が現れるかは内臓の疲れ具合や体質、疲労度などによって、さまざまである。私の場合には、3週間後に風邪をひいたり、2ヶ月たってからひざの痛みが出たり、どこが疲れているというわけではないが全身の脱力感が抜けなかったり、ということがあった。

また、3~4週間がたっても走る意欲が出てこない、集中力がない、などということもあった。これらは、マラソンを走ったことによる直接の影響もあるが、走った後のケアが適切でなかったことがトリガーとなることもある。いずれも、疲れているという自覚症状がないために、見逃してしまうことが少なくない。

したがって、筋肉痛がなくなった後も、病気ではないが、健康な状態とはいい難い。「半分健康、半分病気」といった状態で、貝原益軒が「養生訓」でいうところのいわゆる「未病(みびょう)」にあたる。体の抵抗力が落ちているので、十分な注意が必要だ。

この時期は、体と対話をしながら、積極的な疲労回復を図りたい。「病気」ではないので、走ることをやめる必要はないが、スピードを追及したり、レースに出場したりすることは控えた方がいい。マラソンの1週間後または2週間後にどうしても駅伝に出場しなければならないようなときもあると思うが(たとえば、若葉グリーンメイトでは例年12月上旬にそのようなケースに出会うことが多い)、それについては稿を改めることにする。

ジョグやウィンドスプリント(慣性走)、LSDなどの比較的負担の少ない練習を取り入れ、体調によっては完全休養をはさむ。体調が上向いてきたら、軽めのクロスカントリーを入れるとよい。毎日メニューを変えるなどして、体に刺激を与えることも重要だ。気分転換にもなるので、積極的に豊富なバリエーションを考えたい。

私は、外反母趾を患う前に通っていたフィットネスクラブでは、水泳や水中歩行、水中ジョギング、水中エアロビクスなどを行っていた。走るときに使う筋肉をほぐすとともに、走るときには使わない筋肉を働かせるので、体を刺激するうえでは抜群の疲労回復効果を発揮する。ハイキングやスキーなど、ランニングとは異なるスポーツも、同様にいい。自分の興味や生活環境、そして体調と相談しながらマイ・リカバリーを発見してほしい。
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by hasiru123 | 2009-03-29 18:20 | 基礎知識

マラソンを走ったあとは、ケアからのリスタートだ(上)

東京マラソンでは、フルマラソンに3万人のランナーが参加した。初めて走った人もベテランのランナーも、そして目標を達成できた人もそれに届かなかった人も、それなりの疲労を抱えていることと思う。

シドニーオリンピック女子マラソンで金メダルを獲得した高橋尚子さんが初マラソンを終えたときの言葉に、「なんて、こんなにも世界が広がるんだろう!」というのがある。「もっと練習したら違った感覚になっていって、未知の世界を感じられるという期待も膨らみました」(ベースボールマガジン社「マラソントレーニング」から)。

レースのあとは、「もっと練習」するために早く疲労から抜け出して、リスタートを切りたいものだ。今回は、疲労をいかに回復させるかについて書いてみた。

マラソン直後の疲労には、レースの翌日または2日後に出やすい筋肉疲労と、しばらくしてから出てくる内臓疲労とがある。どちらも出ないに超したことはないが、42.195キロを走った後には避けられない通過点だ。

まず、筋肉疲労の回復策について。ゴールインして一息ついたら、早速開始したい。以下に、行うべき手当をあげると--。

①アイシング
②ストレッチ
③マッサージ
④入浴
⑤食事
⑥睡眠

失礼、「ビールで乾杯!」という重要な項目が抜けていた。①から④までを一通り終えたあと、⑤と兼ねて行おう。今日のところはほどほどに、そして長時間にならないようにとつけ加えておきたい。

①と②はどちらが先でもかまわない。③は、専門のマッサージにこしたことはないが、自分で行う簡単なものでも、十分に効果を発揮できる。いずれも早いほど効果がある。捻挫ややけどをしたときに、素早く冷やすのと同じ原理である。アイシングは、水や氷、アイシングシートなどで、膝やふくらはぎ、足底筋など炎症を起こしている(熱をもっている)部位を冷やしてあげる。できれば、何度か繰り返す。

ストレッチは、普段の練習後に行うものと同じと考えてよい。そして、凝り固まった筋肉を伸ばすマッサージが終わったら、次は入浴だ。ぬるめの湯にゆっくり浸かるのが理想だ。これも、筋肉をほぐす効果がある。①から④までをしっかり行うことによって、相乗効果が発揮される。

レース直後の食事も大切だ。以前に「たんぱく質はアミノ酸に分解されて、血や肉となり、走るエネルギー源ともなる」と書いたが、マラソンを走ったあとはこの逆で、多くの血液や筋肉が破壊される。したがって、必須アミノ酸を摂取することによって血液や筋肉を再生してあげることが必要である。サプリメントでもいいが、おいしい食事から摂るのがベストだ。

たんぱく質の摂取は早いほどいい。元大東文化大学監督の青葉昌幸さんが「走った後は30分以内に食事を」と言っているのを聞いたことがある。

そして、十分な睡眠。これで、マラソンランナーの一日は終わる。

疲労回復の手当としてもう一つ。それは、翌日のケアだ。できれば、軽いジョグかウォーキング、そしてストレッチを行いたい。前日のレースの疲れ具合とその後に行った手当の効果を見るためだ。膝が痛いとか、マメをつぶしてしまったなどの障害が発生していなければ、何もしないよりは積極的に体を動かした方がよい。3日目以降の疲労の回復具合を計るのにも、参考になるからだ。 
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by hasiru123 | 2009-03-22 20:45 | 基礎知識

マラソン前日に実行したい7つのポイント

   気分をコントロールする

明日3月15日は東京荒川市民マラソン、そして来週の22日は東京マラソンが行われる。フルマラソンとしては、今シーズンを締めくくる最後の大会になる。私は、東京で抽選に漏れたため、青梅マラソンの10キロにエントリーして計画を立てていたが、いったん受けつけた申し込みを取り消される異例の事態となった。人気の高い30キロは早い時点で定員を超え締めきりとなったが、10キロでも申し込みは受けつけてもらえたが、結果として定員オーバーとなった。申し込みの10日後に、大会本部から振り込んだ参加料に丁重なお詫びの文書を添えて返金されてきた。

東京マラソンへの応募者激増の影響を受けて、首都圏のマラソン大会は軒並み参加者が増えている。コンディションを見ながら、締め切りギリギリに出場の判断をする私のやり方は、考え直す必要があるようだ。人気の高い大会では、応募開始と同時に申し込むなど、計画的かつ早めの対応をしたい。

荒川や東京に向けて走り込んできた人にとって、レースの直前(前日)に何をしたらよいだろうか。マラソン本番を迎えて、練習の成果を発揮するためのポイントを、「リラックス」という視点から7つあげた。ランニングの技術や方法というほどのことではないが、明日の結果を左右するといってもいい。

その1。前日は興奮して眠れなくても、気にしない。興奮するということは、しっかり練習できて、明日はやれそうだという気持ちの表れだ。いい兆候だと、プラスに考えよう。私が初マラソンを走ったとき、宿泊したホテルのエアコンがうるさくて朝まで熟睡できないことがあった。しかし、本番では想定タイムをクリアする好結果をあげることができた。

その2。あまり変わったことをしないで、ゆったりと過ごす。といっても、手持ちぶさたにしているとかえって明日のレースを考えてしまい、落ち着かなくなるといけないので、散歩や読書などをして過ごすのがいいだろう。インターバルトレーニングやロングジョグなど負荷をかけるランニングはNGだ。河口湖マラソンの前夜に現地に入ったとき、マラソンコースを使って息の上がる練習で追い込んでいるランナーたちを見かけたことがある。前日しっかり汗をかいて、明日に備えたいという気持ちは分からないでもないが、スタミナを消耗するだけで、お勧めできない。

その3。ランニングギアを含めて、持参するものを整理する。一覧表に書き出して、バッグに詰めるようにすれば、間違いはない。ウエア類は、移動用(行きとと帰り)とアップ用、レース用の3種を用意する。この作業をじっくり、時間をかけて行うと気分が落ち着くものだ。持参する飲食物などを買いに、スーパーに出かけるのも気分転換になっていい。

その4。当日の朝から夕方までのタイムスケジュールを決めておく。特に、朝食からスタートまでは、10分単位くらいで小刻みに書き出すとよい。また、交通機関を使う場合には、ダイヤや乗り換えスポット、最寄り駅から会場までの道のりなどの確認も必要だ。東京マラソンの場合には、19日から20日までの3日間に事前受付を済ますことになるので、このときにしっかりチェックしておこう。

その5。目標タイムと5キロごとのラップを作成し、頭にインプットする。ラップは、22分45秒のように秒単位で予定を立てると、距離が進むにしたがって計算が難しくなる。ここは、あまり厳密に考えずにおよその時間を設定する方がいい。どうしてもきっちりしたタイムを設定しておきたいのであれば、腕にボールペンでメモっておくのも手である。いつでも腕時計の計時と設定したラップとのチェックができるので、安心だ。

その6。天気予報をチェックする。レースで使用するウエアを決めたり、目標タイムやタイムスケジュールを修正したりする貴重な情報源だ。これは私の経験だが、登山するときのようにラジオの気象通報を聞いて天気図を書いてみるのも、いい気分転換になる。気が引き締まると同時に、いい走りをしなくてはという重苦しい気分から解放される。

その7。時間があったら、近所の神社を参拝すると、気持ちが落ち着く。年明けに初詣をする雰囲気に浸ることができるので、お勧めしたい。

以上のことを、くりかえすと――。
1.眠れなくても気にしない
2.変わったことをしないで、ゆったりと過ごす。
3.持参するものを書き出す
4.当日のタイムスケジュール作る
5.目標タイムと5キロごとのラップを頭に入れる
6.天気予報をチェックする
7.時間があったら、近所の神社を参拝する

これで、やることはすべてやった。あとは「神ののみぞ知る」と考え、今夜夢の世界に浸ることができれば、もう大丈夫だ。
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by hasiru123 | 2009-03-14 20:09 | 練習

男女マラソンに見る集団形成の違い

「マラソンは孤独なスポーツである」と言われることが多い。はたしてそうだろうか。同じ道を同じ目的をもったランナーが走るのだから、走る仲間は皆友達だと思えば決して一人ではないと、マラソンを楽しむ立場から山地啓司さんはその著書『マラソンウォッチング』に書いている。

同書では、マラソンをより楽しく観戦するために、ランナーの集団の構造について多くページを割いている。「集団は、無秩序な競争的過程だけでなく、相互補足的な秩序ある集団である・・・無益な競争を避け共同することによって、合目的的に目標に到達する一手段」だとある。そして、プラス面だけではなく、マイナス面もあって、多くのランナーは集団内にいることのプラス・マイナスの両面を測りながらレースに臨んでいる。

3月1日のびわ湖毎日マラソンに続いて、今日(8日)は名古屋国際女子マラソンが行われた。いずれも、8月の世界選手権(ベルリン)代表選考会を兼ねていて、外国から招待選手が参加している。『マラソンウォッチング』を読んで、集団形成について男女間にどのような違いがあるのかに関心が及んだ。この二つのマラソンから読み取ってみたい。

それぞれのレースにおける5キロごとの集団規模の推移は以下のとおりである。数値は選手数で、カッコ内は国内選手数を示す。

     びわ湖毎日(男子) 名古屋国際(女子)
 5キロ   39(34)    17(13)
10キロ   33(28)     4 (2)
15キロ   25(20)     3 (2)
20キロ   24(19)     4 (2)
25キロ   12 (4)     4 (2)
30キロ    5 (1)     1 (1)
35キロ    5 (1)     1 (1)
40キロ    3 (0)     1 (1)

いずれも距離を刻むにしたがって集団が小さくなるのは同じだが、男子は25キロ地点まで10人以上で集団を形成しているのに対して、女子は5キロで17人いた集団が、10キロですでに4人に絞られている(15キロで3人が20キロで4人に増えたのは、一度集団から離れた藤永佳子(資生堂)が再び追いついたため)。30キロからは新谷仁美(豊田自動織機)がトップとなり、終盤で藤永が力尽きた新谷をかわしてトップに出た。

二つの大会を見る限り、男子の方が集団規模が大きく、終盤まで形成される。それに対して女子は、早い時期に集団が崩れ、少人数での競争またはトップ選手の一人旅となるというパターンだ。女子マラソンは、東京国際女子が初めて開催された30年前から、この傾向は変わらないように思える。女子マラソンの黎明期においては、選手層が薄く、選手間の走力の差があることからそのようなレース展開になるのはうなずけるが、女子のマラソン選手が増えて、力の差が接近してきた現在もこの傾向が続くのには、性差による何らかの変数の違いが起因しているのではないだろうか。

ただし、昨年の北京五輪では、男子が20キロまでにトップ集団が早くも5人のアフリカ勢に絞られ、以降少数でのサバイバルレースが展開され、37キロ手前でワンジル(ケニア)がスパートして金メダルを射止めた。女子は、20キロ過ぎからトメスク(ルーマニア)が先頭集団を抜け出し、そのままゴールまで駆け抜けてしまった。両方とも、集団による駆け引きといえるものはほとんど見ることができなかった。男子が女子の集団形成パターンに近くなったともいえる結果だった。

女子マラソンは30年を超える歴史を持ち、過去の記録の蓄積が豊富になった。男女間における集団形成の比較が、データに基づいて詳細に行える。さらに、映像情報も加えて分析してみてはどうだろうか。
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by hasiru123 | 2009-03-08 22:28 | マラソン

風を制する/びわ湖毎日マラソン

この数年は、国内の主要大会で日本人選手が優勝どころか優勝争いに絡むことがなかった。久しぶりに男子マラソンで、日本人選手が35キロ以降の勝負所まで持ちこたえた。今日行われたびわ湖毎日マラソンである。

30キロ過ぎからトップ争いはデルガト(ケニヤ)とリオス(スペイン)、アスメロン(エリトリア)、グタ(エチオピア)、そして清水将也(旭化成)の5人に絞られた。25キロ地点まではトップ集団に4名いた日本人選手は圏外に去った。

往路は北西の向かい風が強く、ペースが停滞する中で、清水は途中何度か小さなスパートを試みた。5人の集団が崩れるほどの決定打とはならなかったものの、38キロまではレースを支配していたといってよいだろう。

向かい風の中を長時間レースを引っ張るのは、スタミナを消耗させない意味から得策ではない。たとえ、体型のがっちりした風をあまり気にしないタイプの選手だとしても。その一方で、自分は風に強いことを誇示する効果はあるだろう。レース後のインタビューで、清水は「風には自信があった」と語っている。その自信の裏付けは昨年2月に行われた延岡西日本マラソンで、6メートル前後の強風下のデッドヒートを制して優勝している。

38キロ過ぎに、2時間4分台のスピードを持つテルガトとこの大会で2度の優勝経験を持つリオスのスパートにはついていけなかったが、よく粘った。この次は、風という悪条件がない場合にも、終盤勝負に食い込めるようスピードに磨きをかけてほしい。8月にベルリンで開催される世界陸上代表でのステップアップを期待したい。
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by hasiru123 | 2009-03-01 23:51 | マラソン