ブログトップ

夢のマラソン

男子は、佐藤敦之が終盤追い上げて6位に食い込んだ。北京五輪では最下位の屈辱を味わったが、まずは入賞という目標を達成したことを喜びたい。女子は、尾崎好美が最後までトップ争いを繰り広げ、銀メダルを獲得した。また、加納由理が7位に入り、大会を盛り上げた。

二人の活躍で、日本の女子マラソンの層の厚さを示したことは間違いないが、手放しでは喜べない。というのは、参加選手中もっとも速い記録をもつ渋井陽子が左足甲の故障で出場を辞退し、赤羽有紀子は出場はしたもののやはり直前の故障で本来の力を発揮できなかったからだ。北京に続く故障の連鎖を引きずっているところが気にかかる。

さて、本大会の男女マラソンをテレビ観戦して思うところを書いてみたい。

ワンフレーズでまとめると、「スピード化の男子と実力接近の女子」といえそうだ。男子は、北京五輪と同様にハイペースで展開し、日本勢は15K過ぎに先頭集団から離れた。20Kではトップ集団がすでに7人に絞られている。以下に、5Kごとの先頭集団の人数を示した。これは、中継されたテレビの映像から私がカウントしたもので、前半の大集団は正確に人数を把握できていないが、傾向は見ることができる。

      <男子>  <女子>
5K   その他大勢 その他大勢
10K  その他大勢 その他大勢
15K  約15名  その他大勢
20K   7名   25名以上
25K   5名    24名
30K   4名   10~12名
35K   3名     3名
40K   1名     3名

一方、女子は25Kまでは25人前後の集団を形成し、30Kでも10人以上が残っていた。北京五輪とは展開がかなり異なっている。北京では、20キロ過ぎからトメスク(ルーマニア)が先頭集団を抜け出し、そのままゴールまで駆け抜けてしまった。30K前後まで大集団が続く展開は、国内外を問わず男子に多く見られた。ところが、北京五輪と世界陸上の国内代表選考レース、ベルリン世界陸上を見る限りでは、この傾向が反対になりつつあるように見える。男子は、前半から東アフリカ勢のスピードランナー同士のサバイバルとなり、女子は実力伯仲の中、中盤まで選手同士の牽制が続く。

女子はこれからますます選手層が厚くなり、どの国の選手がメダルをとってもおかしくない時代になったといえる。それに対して、男子は一時期世界記録の更新が途絶えたことがあったが、東アフリカ勢のトラックレースの伸長によって、一挙にマラソンの記録ラッシュに火をつけた。成熟期の女子に対して、開花期の男子といるのではないだろうか。これからも、日本の女子マラソンは世界をリードしていけそうだ、という期待感を抱かせる。しかし、男子は残念ながら、さらに世界の先頭集団から水をあけられそうなな気配である。
[PR]
by hasiru123 | 2009-08-30 21:59 | マラソン

女子5000mでは、小林祐梨子と中村友梨香の二人が決勝に残った。勝敗の結果如何にかかわらず、それぞれの持ち味を発揮した走りで、見応えのあるレースだった。中村は10000m決勝と同様に前半から積極的に前へ出る展開、小林は集団後方から戦局を伺う展開。

持ちタイムとスピード力から終盤勝負には持ち込みたくない中村としては、できるだけ前半から速いペースに乗せたいところだ。また、故障上がりで、東アフリカ勢には及ばないとしても中距離的なスプリントを持つ小林の、集団に付くという戦法は納得できる。先頭集団を、日本人二人が前と後ろから挟む形は、チームジャパンとしての相乗効果を発揮しやすく、理想的な展開だ。

結果は、1位と2位、5位がケニアで、3、4,5位、7位がエチオピアで占め、小林が11位、中村が12位だった。東アフリカ勢の強さだけが目立った今大会の長距離種目中で、二人の走りはこれからの成長を予感させるものを残した。

特に、中村の予選の戦いぶりがよかった。2600mまでトップをひき、以降4100mまでは8人のトップグループの上位についた。残り2周付近では再びトップに出たが、最後の1周で6人の競い合いとなって、6番目でゴール。記録で拾われ、決勝に進出した。

中村は、参加選手の中では持ちタイムで劣る。レースがスローペースで展開して混戦状態になることは、彼女にとって不利になる。したがって、順位通過条件の各組5位以内を確保できなくても、記録で通過するためには、各組6位以下の選手中でベスト4に入るタイムをマークしておくことが必要だった。意識的にペースを引っ張ったのは、賭けではなく決勝進出のための戦略だったのだ。

途中で潰れることなく、しっかり目的を達成したことに価値がある。競走相手と自分との力関係を測りながら予選を走り抜けたことは、これからのマラソンレースに活かされよう。
[PR]
by hasiru123 | 2009-08-23 22:03 | その他

8月15日(土)からベルリン世界陸上が始まった。女子10000m決勝には、日本から3名の選手が出場した。佐伯由香里と福士加代子、中村友梨香だ。中村は31分14秒39で7位入賞を果たし、福士も9位に食い込んだ。1位と4位がケニアで、2位と3位、5位がエチオピア、そして6位がアメリカだった。

これからの成長に期待を持たせるもので、見応えのあるものだった。トラックの長距離種目は、東アフリカ勢が圧倒的に強く、これまでの日本人選手はなかなか太刀打ちできない状況にあった。ところが今回のレースは、アフリカ勢は別として、ヨーロッパや中国をしのぐことができた。そして、終盤までトップグループを形成した中村と福士の積極的なレース運びに「あっぱれ!」といいたい。

前半は、1周74秒~76秒のスローペース展開したこともあって、中村は2位以前後をキープした。アフリカ勢が上がってきた7000m以降は徐々に遅れたが、2位グループの中で粘った。始めだけトップに出てすぐに後退ししまう、これまでの日本人選手の展開とは明らかにちがう。

中村は、昨年の北京五輪ではマラソン代表で、次のロンドンでもマラソンを目指している選手である。5000m、10000mはマラソンのスピード養成の一環として取り組んでいるものだが、今回の入賞は世界のマラソンに十分に通用するスピードが身についてきたこを証明するものといえるだろう。

それに加えて、6月に行われた日本選手権の10000mでは、その中村を退けて優勝した赤羽有紀子が、世界陸上では10000mではなくてマラソンに挑戦する。長距離とマラソンのクロスオーバーが、日本の女子マラソンにいい刺激をあたえている。今後が楽しみである。

(追記)
女子10000m決勝は日本時間で26時に行われた。今までだったら、DVDに録っておくところだが、今回はTBSのサイト「世界陸上ベルリン」が提供する動画で見た。レース中に入るCMやフィールド競技を除いて放映されたと思われる内容をほぼ見ることができた。深夜が苦手な人には大変ありがたいツールである。

また、男子100mのように予選が行われる場合にも、すべてのレースを見ることができる。したがって見たい予選レースを簡単に選択できて、何度でもリプレイが可能である。これなら、DVDプレーヤーのディスク容量を気にすることなく、オンディマンドの世界を楽しめる。ただし、コンテンツ提供者の都合でサイトを閉じてしまうことはありうるので、自分の手元に残したい場合には、動画ごと保存しておくしかない。
[PR]
by hasiru123 | 2009-08-16 20:39 | その他

不得意科目に挑戦


c0051032_22403520.jpg
奈良・鴻ノ池競技場で開催されたインターハイの陸上が8月2日で終了し、ベルリンの世界陸上が8月15日から開催される。ちょうどその合間の8月9日(日)、私の住んでいる川越市では、市民体育祭一般陸上競技の部が行われた。昨年に引き続いて猛暑日を避けることができて、真夏のコンディションとしてはまずまずであった。

私は、3000mと1500mに出場した。これらの種目は、どちらかといえば不得意科目に近い。できることならば、5000mか10000mの方がありがたいのだが、残念ながら一般の長距離では3000mが最も長い。したがって、スタミナ養成の目的で、2種目にチャレンジすることにした。

タイムテーブルでは、3000mのスタートが12時50分で、1500mが13時50分。正味間隔は約50分だった。レペティションをやる感覚で取り組んだ。

3000mは、昨年の記録に比べて約3秒上回ることができた。昨年は、1000mまではよかったが、それ以降加速度的にペースを落としている。今年は、前半の入りを抑えて、ほぼイーブンペースで刻んだのが奏功したようだ。

2本目の1500mも序盤の入りをセーブして、これも最後までほぼイーブンペースで押すことができた。ただし、まったく回りの流れに乗ることができず、これでも中距離走か、といわれそうな鈍行列車だった。

首都圏の夏は、暑さと湿度の点から長い距離を走って追い込む練習が難しい。したがって、今日のように比較的短い距離で追い込んで、短時間で練習を終えるのは理にかなっている。トレーニングの一環としては、ややきつかったがいい練習ができたと思っている。

お盆を過ぎるころには体も熱さに慣れてこよう。これからは、気象条件と身体条件をにらみながら、少しずつ距離に比重を置いた練習にシフトしていきたい。

本日の大会では、多くの競技役員のお世話で運営されている。どうもお疲れさまでした。この場を借りて謝意を表したい。

(写真)中学女子100m
[PR]
by hasiru123 | 2009-08-09 22:42 | 練習

北海道大雪山系のトムラウシ山と美瑛岳で一般登山者が遭難し、10人が死亡した。山岳史上まれに見る大惨事である。当時の天候は大荒れで、低温の上に強風が吹いていたという。犠牲者は雨で体温を奪われ、体の熱が急速に奪われる低体温症などに陥ったとみられる。

最近は若者の登山が減り、一方では中高年層の間で登山ブームとなっているのは周知のとおりである。それに呼応して中高年の遭難者数も増えている。警察庁生活安全局が発表した「平成20年中における山岳遭難の概況」によると、中高年の遭難者は1,567 人で全遭難者の81.1 % を占めているが、中でも55 歳以上の遭難者が多く、全遭難者の64.0% を占めている。

同報告書では、中高年の遭難事故の直接の要因で多くみれれるのは「道迷い」(37.0%)や「滑落」(19.1%)、「転落」(14.7%)などとなっている。今回の遭難に関係のありそうな「疲労」(4.8%)や「悪天候」(0.6%)の構成比はけっして高くない。それらの要因は、体力の衰えた中高年であっても、注意力や装備、知恵によって解決できるからではないだろうか。

大雪山系は私も登ったことがある。夏だったが、2000mくらいの山々でも、本州の3000m級の高山に相当するくらいの気候であった。登山者は少なく、静かなたたたずまいは、自然をじっくり味わうのに最高である。登山者の多い北アルプスなどと大きく異なるのは、山小屋が少ないことである。あっても避難小屋で、有人で宿泊できる小屋は数えるほどしかない。また、小屋と小屋との距離が長いことも大きな違いである。

遭難した2つパーティーは、旅行会社の企画したツアーだった。また、経験のある現地のガイドが3名加わっていた。それにしては残念な結果である。危険度の高い北海道の登山だからこそ、ガイドつきのツアーがあるのだと思う。参加者の装備や体力、体のコンディションなどを見て最適の行動を選択するのが、ガイドの使命である。にもかかわらず、報じられている生還者の証言が正しいとするならば、ガイドの責任は重大だといわざるを得ない。

以下に、7月19日の読売新聞の記事からパーティーを引率したガイドのかかわったところについて、箇条書きで整理してみた。

○ガイドは遭難当日早朝、出発前のツアー客に対して「天候は昼前には良くなるだろう」と説明していた。実際には、天候が悪化して5人しか自力下山できていない。

○ツアーは13~17日のうちの3日間で、旭岳からトムラウシ山の計45キロの行程を縦走する計画。一行は遭難当日午前5時半頃、宿泊した避難小屋を出発し、遭難した。

○前日夜に同じ避難小屋に泊まった別のグループによると、遭難した2つのパーティーは翌日午前5時に小屋を出る予定だったが、風雨が強いため、出発せずに様子を見た。この時、遭難したパーティーの同行ガイドがツアー客に対し、「午前中は前線の影響で天気が悪いが、その後は良くなるだろう」と説明し、予定より約30分遅れて出発した。別のパーティーは、その約5分後に出発した。

○釧路地方気象台帯広測候所によると、当日午前6時の十勝地方の天気は「晴れ」だったが、その後に風が強まり、午前11時55分には強風注意報が発令されていた。

○別のグループの一人(男性、66)によると、遭難したパーティーは歩みが遅く、午前9時頃には山頂の手前約1キロの地点で追い抜いた。この時すでに天候は悪化しており、強風で岩にしがみつく人もいたという。

○遭難したパーティーは連日8~10時間縦走する日程で、遭難前日には雨の中を約10時間行動していた。一方、別のグループは1日の徒歩時間が4~10時間だった。

○別のグループは16日夜、全員が無事下山しており、男性の一人は「遭難したパーティーは相当疲れているように見えた。我々は日程に余裕があり、さほど疲れていなかったので下山できたと思う」と話している。

この記事を読む限り、今回の遭難事故は、登山者の不注意や体力不足、技術不足などによるものではない。引率したガイドには、技術はプロであっても、ツアー客を安全に誘導するという使命感と判断力が著しく欠けていた。それがこの遭難の本質のように思う。本多勝一氏はかつて、この種の遭難のことを「自動車レースの選手でありながらバス運行のための免許もなくルールも知らないようなもの。結果としてやはり無免許バス運転手」と言い表わしたことがあった(朝日新聞社『リーダーは何をしていたか』)。「山の素人たちを無知なリーダーが危険な場所へ引率する種類の、かつては考えられなかった遭難が、今後もふえるおそれが出てきました」と書いたのは1997年だったが、今もこうして繰り返されている。

業務上過失致死の疑いで捜査を始めた北海道警は、遭難に至った経緯を徹底的に調べてほしい。なぜ、無謀な行動を止めることができなかったのか。また、ツアーを企画した旅行会社の責任は・・・。これから、山に向かう人たちのためにも。


<追記>
このことを書こうと思いついた背景には、大雪山系遭難がランニングを始めとするスポーツ活動についても、集団で行動する際の警鐘になるような気がしたからである。私の参加している若葉グリーンメイトを拠点とするランニングは、競技、競走を主目的としたものではないが、トレーニングとして走るからには身体的な危険と隣り合わせでもある。

ふだんの練習会、集団としてのレース参加や駅伝、合宿など。それらは、ランナー同士の競合に始まり、交通事故、身体的なアクシデント、気象の変動、練習環境やコースの不慣れなど、危険に出会う可能性は枚挙に暇(いとま)がない。「無免許バス運転手」にはけっしてなららないよう、細心の注意と備えを怠らないことが大切である。この事故を教訓に、会としてのガイドラインのようなものを早急に検討・作成し、実行に当たりたいと思っている。
[PR]
by hasiru123 | 2009-08-02 22:01 | 練習