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夢のマラソン

タフな心は折れないこと

福岡国際マラソンを始めとする4つの主要男子マラソンが終わった。東京マラソンで藤原正和(HONDA)が優勝した。びわ湖毎日マラソンでは佐藤智之(旭化成)が2位に入り、初マラソンの若手も好記録で上位に入った。

不振続きの男子マラソンに、光明が見えてきた。風向きが変わり始めた。久しぶりに、そんな気分にさせられる両大会だった。そのことにつては、折に触れて書いてきた。

毎日新聞に「金曜カフェ」というスポーツコラムがある。毎月1回書いている金哲彦さんは、3月26日に男子マラソンの今シーズンについて、次のように総括していた。

「やればできる」という自信=心の支えが、選手たちの心に宿った。タフな心をどう養うかが、男子マラソン復活の鍵になる。それは、自分を律する心の強さだ。
                                     
「タフな心」とは、トレーニングで”故障と紙一重”といわれるくらい身体をいじめ抜き、練習量が落ちる調整段階でも、体重コントロールなど実行できる強じんな精神力を言う。

ところが、タフな心にはウィークポイントがある。それは、何事にも屈しない強い心は、時にぽっきり折れることがあるからだ。五木寛之さんは「屈しない心は折れる。よく萎えいる心は折れない」と自著『養生の実技』の中で書いている。屈すること、曲がること、しなうことが、折れずに生き続ける道なのではないかと問いかける。

具体例をあげてみたい。Aさんは、サブスリーを目標に日々走りこみを続けてきたとしよう。本番で、30キロまでは快調なペースを刻んできたが、以降徐々にペースが落ちて、、とうとう貯金を使い果たしてしまった。疲労困憊の中で、サブスリーの可能性はなくなった。すると、これまでは少しでもペースの落ちこみを食い止めようと頑張ってきた気持がぷっつりと切れたかのように、足が止まった。

目標に向かう気持が強いほど、その実現性がなくなったときのリバウンドは大きい。いわゆる目標喪失で、気持が折れたということだ。

折れないうちに、屈する、曲がる、しなうことができたなら、終盤の展開はかなり異なると思う。この場合には、第2、第3の目標に切り替えるなどして、気持を入れ替えることがそれにあたる。サブスリーは達成できなくても、3時間数分で走れたかもしれない。

「屈する」ことは、ある意味では自分の心をごまかすことであり、裏切ることでもある。そのことにコンプレックスを感じないだけの図太い神経がないとできないことこもしれない。金メダルがだめなら、銀があるではないかと切り替えることを意味する。

トップアスリートには難しいことだが、市民ランナーならきっとやれる。「タフな心」とは試合を投げない「図太い神経」にほかならない。傷口を最小に抑えて、リベンジを誓うには、それが近道である。そういう心のトレーニングは、マラソンだけでなく、生きる上でも役に立つ。
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by hasiru123 | 2010-03-29 07:20 | マラソン

春爛漫

一昨日夜来の大風の影響で、東京・荒川市民マラソンは中止となった。2月の東京マラソンが冷たい雨の中でのレースとなっただけに、今回はいい気象条件下で行われることを期待していたが、わがことのように残念な気持ちだ。今シーズンに開催されるフルの市民マラソン(関東周辺地域)としては、長野マラソンとかすみがうらマラソン(いずれも4月18日)の二つを残すだけとなった。

私の方は、今朝1ヶ月半ぶりにジョグを行った。ホームコースの一つである川越市民グラウンドで約85分をゆっくり走ってきた。故障中であっても、完全休養することはあまりなく、何らかの方法で走り続けてきた。これほど長期間にわたって練習を休んでのは、この25年間でなかったことだ。理由は、帰宅の遅い日が続いたため、走ることよりも睡眠時間の確保を優先したためである。

走ってみて、大腿四等筋を始め、ハムストリングや前頸骨筋などのランニングに必要な筋力がなくなっているような気がする。着地するときとキックするときの安定性がなく、膝がブレているからだ。基本に立ち返って、身体を作っていく必要があると痛感させられた。

気がついたのは、筋肉の衰えだけだけではなかった。寒い、寒いと背中を丸めていたが、郊外は確実に春の装いにつつまれてきた。グラウンドまで行くのに、少し遠回りをしてみると、土佐水貴(とさみずき)が芽をほころばせていた。玄海躑躅(つつじ)や蔓日日草 (つるにちにちそう)も花をつけている。不老川の土手のサクラは芽を膨らませて、開花のカウントダウンがすぐにでも終わりそうな気配だ。

早朝のやや冷たい北風と、痛さを感じるくらいの強い日差し。これも、自然の中を走るからこそ感じるご利益だ。

そして、クラウンドでは野球用のバックネットが折れ曲がり、無惨な姿をさらしていた。これは、春の嵐のいたずらだ。焦らず、急がず、身体コンディションを取り戻したい。
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by hasiru123 | 2010-03-22 19:39 | 練習

アスリートのその後

私はいろいろな意味でスポーツが大好きである。特に興味を惹かれるのは、スポーツ選手が第一線を退いた後の第二の人生をどう築くのかということである。私が60歳に差し掛かり、定年を迎えようとしていることにも関係があるが、問題はその厳しさがサラリーマンの比ではないということだ。

サラリーマンであれば、仕事の第一線に立つのは早いものの、正社員であれば職場が確保される期間は相当に長い。ところが、アスリートの場合だと、早ければ30歳代そこそこで選手生活にピリオドを打つ。十分に社会人としての経験をしたとはいえない年齢で第二の人生を考え、行動しなくてはいけないというのは、かなり酷な話である。

トップアスリートの場合だと、選手-コーチ-監督という指導者の道を歩むことが可能だ。また、実業団チームに所属していれば、競技生活を離れても会社で一般社員として働くことができる。しかし、これまではそれほど多くの選択肢があったわけではない。

ところが、最近は様々な動機づけをもって、新しい働き方に挑戦する人々が増えてきた。男性よりも女性が顕著である。長距離・マラソンを例にとると、大学に入って運動以外の領域を学び、スポーツ指導者を志す山口衛里さん(シドニー五輪代表、)や、走ることを通して国連人口基金親善大使などの国際的なボランティア活動をしている有森祐子さん(アトランタ五輪銀メダリスト)がいる。また、スポーツコメンテーターとして活躍する増田明美さんや出産後に市民ランナーとして走り続ける松永由水さん(バルセロナ五輪代表)など、数え上げても軽く十指を越える。

これらの人たちは、自分らしさを失わず、自分のやりたいことにこだわりながら、自立型ライフスタイルを模索して、第二の人生を歩みだしている。共通しているのは、これまでの成功体験にとらわれずに大胆に取り組んでいることだ。そして、その活動領域は多彩である。

仕事と自身の人生を調和させたライフスタイルを築きつつある彼らの今後に、強い関心を持っている。そして、長距離・マラソンに限らず、アスリートたちが次のステップをどう乗り越えようとするかを追ってみたいと思う。動き出したアスリートたちの核となりそうな奮闘の姿を映しだしてみたい、そんなことを思いながら自分のこれからと重ね合わせている。
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by hasiru123 | 2010-03-16 08:09 | その他

先頃、男子マラソンの強化策として、日本陸連が若手の長距離選手を集めた2度の海外合宿を3月に行うことが報じられていた。ニュージーランド合宿に、箱根駅伝で活躍した柏原竜二(東洋大)らの有望大学生5人を含む7名を派遣するという。また、2度目の合宿には若手の実業団選手が参加する。

1980年代後半から90年代前半にかけて、陸連がマラソンのナショナルチームを編成して合宿を行ったことがある。当時は日本が世界のトップをリードしていて、第一線で活躍する選手たちのDNAを活かして、次世代を担う若手選手を育てようと企画したものだったと記憶している。多くの若い選手たちがマラソンに目を向けていた時代の話だ。

若手選手の強化という点では共通するが、過去のナショナルチームと今回の海外合宿とでは視点がかなり異なる。今回は強化するというよりも、マラソンの逸材を発掘することと、マラソンに取り組む選手の層を拡げることに狙いがあるように思う。日本陸連の坂口泰・男子マラソン部長は、「2時間8分台を目指せる選手は多いが、6分台を狙える逸材は限られる。箱根駅伝がすべてではなく、もっと高い意識で世界を見てもらいたい」とその趣旨を説明している(中国新聞)。

ナショナルチームが続かなかった理由の一つに、選手の指導は日頃からよく知っている所属チームの指導者の手で育てるのが一番、ということがあった。五輪の合宿でも、代表選手はそれぞれの監督の本で独自のメニューを組んで臨んでいる。一方では、所属チームを離れて、競合するチームのライバルたちと一緒に練習することは、一段高いレベルの力を修得するために、そして意識を高めるためにもいい機会である。

それぞれ長所と短所があり、どちらがいいかという問題ではない。うまく組み合わせることによって、最適の解を出すにはどうしたらよいか。そのきっかけとして、今回の取り組みがあると考えれば、自ずと道は開けてくるのではないか。私はそんなふうに楽観的に考えている。

そうした折、今日びわ湖毎日マラソンが開かれた。ライブで見ることはできなかったが、収穫はあったようだ。初マラソンの北岡と米田尚人(コニカミノルタ)が、それぞれ4位、5位に入り、これからのマラソンに明るい未来を予感させるものがあった。あいにくの冷たい雨の中でのレースとなったが、よく健闘した。今年開かれるアジア大会以降の緒戦での成長に期待したい。
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by hasiru123 | 2010-03-08 01:33 | マラソン