先週に地方へ出張したときに、時間調整のために入った喫茶店で読んだ「週刊文春」1月27日号の記事について。「箱根駅伝で各大学がテレビに映った時間」という堀井憲一郎氏の一文が面白かった。そこには、参加した20校のテレビ画面に多く映っていた時間別ランキングが載っている。このランキングから私が知ったこと、感じたことを書いてみたい。

まず、全体時間(往路と復路で映っていた時間の合計)。時間の多かった4チームは、順位が上へ行くほど映った時間が多い傾向がある(往路、総合とも)。早大(173分47秒)がダントツで、2番目の東洋大の1.4倍にあたる。しかも、1番目と2番目、3番目のそれぞれの時間差は大きく、3番目の駒大になると、早大が2.8倍に開く。5番目からは、順位との相関関係はかなり崩れてくる。

たとえば、総合で20位だった日大は全体時間では8番目だが、総合6位の中大は14位だった。これは、タスキがつながらないと繰り上げスタート(白タスキ)になるため、そこがクローズアップされたためだろう。

また、5番目(拓大)の52分55秒から13番目(青学院大)の42分49秒までがあまり開かなかったのは、集団で併走している時間が多かったためと思われる。したがって、最後までシード権を競った国学院大と城西大、山梨学院大は、注目が集まったにもかかわらずこの中のグループに入っていて、突出した時間とはならなかった。

そして往路の時間。ここは、5区の終盤でトップに立った東洋大が早大をしのいだ。やはり、これも順位との相関関係が強く、往路成績が1,2,3,5位のチームは時間の順位と同じ結果になっている。早大が1区から5区の途中まで首位をキープしたにもかかわらず、東洋大に負けているのは、往路は順位の入れ替わりがめまぐるしく、花の2区に各校のエースが登場することで、首位チームよりも選手個人に注目が集まりやすいことが影響したと思われる。また、5区は柏原(東洋大)がどこでトップに立つかに耳目を引いたことも、早大だけにカメラが集中しなかった原因といえよう。

1校単独で映っている時間となると、順位との相関関係はさらに強くなる。一番長時間だった早大が133分49秒なのに対し、2番目の東洋大が56分51秒と大差がついた。早大の、総合時間に占める1校単独時間の比率は77%だった。これも他校を圧倒している。復路の6区後半から早大がトップを奪い返し、独走態勢を築いたことが影響している。また、最下位だった日大がここでは4番目に顔を出しているのは、先にも書いように復路で白タスキになるかどうかで終始カメラが追い続けたためだ。総合19位の上武大も6番目に多かったが、これも日大と同様の理由だろう。

全体として言えるのは、トップを争うチームや話題のチーム、そして注目選手にはカメラが集まるということを証明したことだ。意外だったのは、タスキがつながるかどうかでこれほどの時間差がついたことである。テレビ会社や広告代理店は視聴率を気にするが、大学関係者は時間別ランキングの方が気になるに違いない。

それにしても、正月早々このようなランキング表をだれが作ったのだろう。複数のアルバイトを雇って、学校別に担当を決めて記録したのか、あるいはビデオに録って一人が何度もそれを見直して集計したのだろうか。少なく見積もっても、競技時間(20位の日大11時間28分00秒)の3倍は人時工数がかかっていると推測する。私は、この貴重な(?)なデータを残しておくために、時間の許す限りノートに書き写した。
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by hasiru123 | 2011-01-30 20:16 | 駅伝

希望のつくり方 (岩波新書)

玄田 有史 / 岩波書店


スポーツを行って「ストレスを発散する」などと言うことがある。便利で使いやすいが、違和感を覚える言葉でもある。少し乱暴で、気持ちを言い表す言葉としては細やかさに欠ける。発散して、その後につながる期待が持てないからかもしれない。

私は走ることを楽しみとしているが、ランニングは「ストレス発散」とは少しちがう。そういう効果があることは否定しないが、走って、発散したら終わり、ということではないからだ。それでは、どんな言葉がふさわしいのか。本来の意味からは少し離れるが、社会学の「ウィーク・タイズ」という考え方に近いことに気がついた。ウィークとは「弱い」とか「緩やかな」という意味で、タイズとは「つながり」や「絆」を意味する言葉だそうだ。玄田有史著『希望のつくり方』で知った。

どんなに仕事がたいへんでも、心の窓を一カ所は必ず職場の外に向かって開けておくようにする。職場の自分も大切だけれど、職場以外にも自分の大切な居場所がある。仕事で追いつめられても、深刻になりすぎずにすむというのである。「それはその人なりの、職場以外にゆるやかな人間関係としてのウィーク・タイズを持とうとする知恵」だと、玄田氏は書いている。

先日のパネルディスカッションの続きではないが、走友会で走る意味、あるいは価値はここにあるような気がする。それはスキルを磨くとか記録を向上させるとかのメリットとは比べようもない魅力だ。このメリットを実感できないと参加する意義は薄れ、一人で走る方が気楽でいいや、ということになりかねない。

ウィーク・タイズを提唱した米国の社会学者であるマーク・グラノヴェダーによれば、自分とちがう環境にある人との、たまに会う程度のゆるやかなつながりをいうのだそうだ。私にとって日課のような存在であるランニングは、厳密に言えばこの定義には合致しないかもしれない。しかし、家族とのふれあいや仕事を生活の第一義とすれば、やはりこれもウィーク・タイズである。

ゆるやかな関係をつくるのに本当に必要なのは、共感しようとする姿勢で、そこから自分自身の希望、自分と他者との間の希望をつくるができる、と結んでいる。そして、「希望は「気持ち」「何か」「実現」「行動」の四本の柱から成り立っている。希望が見つからないとき、四本の柱のうち、どれかが欠けている」のだ、とも。
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by hasiru123 | 2011-01-23 23:18 |

応援で見えてくる

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埼玉県駅伝の季節らしい厳しい寒さの中での大会だった。市町村男子の部での坂戸陸協チームは今年で8回目を迎えた。力走した選手のみなさん、そしてサポートにあたられた役員のみなさん、お疲れさまでした。この場を借りて御礼を申し上げます。
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結果は、昨年を大きく上回る2時間26分49秒の16位だった。2007年に続く10位以内の入賞を目指したが、そこまでには到らなかった。昨秋にマラソンを走った選手が4名いて、必ずしも体調が万全ではなかった中で、一昨年以降の低下傾向に終止符を打てたことは評価してよい。特に、今回は3名の若い選手が加わわり、チーム全体の意識が高まってきた。この勢いを今後につなげていきたい。

ところで、今大会の選手選考をめぐって若干のボタンの掛け違いが生じた。そのことについて、私の感じたことを述べてみたい。

今回はメンバーの加入により、選手層が厚くなった。候補選手の中から選考するとなると、本人の希望に添えない事態が生じることが起こりうる。すなわち、正メンバーからはずれて補欠にまわるというケースである。Aチームの正選手として走ってきた選手には、こんな苦い経験をした方もおられるのではないだろうか。

たかが市民ランナーの駅伝であっても、選ばれなかったということについて気分がすっきりしないという思いは残るかもしれない。選考方法やその過程に問題がなかったとしても、だ。しかし、ここは気持ちを取り直して、というか思いきって視点を変えて、これまで走る選手たちを支援してくれた側に思いをいたしてみてはどうだろうか。少々大袈裟な言い方かもしれないが、実はこんな些細なことにランナーとしての人間性が試されているように思えるからだ。

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いうまでもなく、駅伝はチームプレーである。一人のランナーの快走がチームを引き立てることもあれば、一人の力だけでは叶わないことも共同で取り組めば大きな力になることもある。選手を応援する役回りで貢献できる場面もあるだろう。これまで選手としての自分を支えてくれたことに恩返しをするいいチャンスだ。そこに気づけるかどうかが、楽走になるか苦走になるかを切り分けているような気がする。

(写真上)坂戸市役所前での出発前の記念撮影
(写真2)深谷市もくせい館前でのスタート
(写真3)レース終了後の懇親会
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by hasiru123 | 2011-01-16 23:39 | 駅伝

 ランニングフォーラム - 若葉グリーンメイト30周年記念行事 -

1月9日(日)に、私が所属している若葉グリーンメイトの30周年記念行事「ランニングフォーラム」が坂戸市内で行われた。小会会員以外の方々を含めて70名を超えるランナーが参加した。講演とパネルディスカッションの2部構成で、続いて行われた懇親会では走ることについての話題に花が咲いた。

第1部は、矢野龍彦氏(桐朋学園大学教授)の基調講演で、テーマは「ヘルシーランニングの秘訣」。「ナンバの動きの分析」を始め「ナンバ感覚」「ナンバ的発想」、そして最後に「ナンバ式骨体操」の一部について実技指導をいただいた。骨の平行四辺形への潰し方は写真や図では何度も見ていたが、実際に見たのは初めてである。自分でも、これまでに何度となく試みてみたが、なかなか身体がついてこない。矢野氏ご自身による実演を見て、少しはイメージできるようになった気がする。
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私が身体の動きの中でナンバの動きが体感できたのは、山登りで自然に右足と右手が、左手と左手が同時に前後に動かして、身体を捻らない行動をとっていたときである。平行四辺形の潰し方を復習するときには、常に山での体験を思い出すようにしている。それでも、歩きや走りにはなかなかつながらない。
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「鍛えようという気持ちだけではつらくなり、楽しくない」。また「よけいな力が入るので、無駄が発生する」。がんばりが見えない走り、すなわち「力を抜いて、力を発揮する」ことがスポーツでは大事で、「ペース配分が求められる長距離走は楽に省エネ走るのがポイント」と強調する。

第2部はパネルディスカッションで、「地域拠点型ランニングクラブの発展を考える」というテーマだった。パネリストとして2名の識者(矢野氏と青葉昌幸氏(大東文化大学教授))と走友会で活動している3名の市民ランナーをお招きして、不肖森脇康行がモデレーターを務めさせていただいた。

ランニング愛好者が急増する中で、走友会を元気にするにはどうしたらよいか、走友会にビギナー、特に若年層や女性に多く参加してもらうにはどんな取り組みが必要か、といった喫緊の課題について語っていただいた。
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矢野氏からは「冬走って楽しいか。市民ランナーは季節を選んで行うべきだ」「誰かに会わせて走る集団練習は市民ランナーには向かない」「強化練習は個人で、ゆっくりランニングはみんなと一緒に」などの問題提起がなされた。青葉氏からは「大学チームでも集団トレーニングだけでは本番(箱根駅伝)では戦えず、個人で行う練習が大切。走友会も同様で、個人練習をしっかりできるようにすることから始まるのではないか」など百戦錬磨の名監督にしては意外とも思える個人走を意識した発言が出された。

市民ランナーのY氏は「新人には新人向けのコーチが必要で、そのためには企業、大学、走友会の共同の取り組みが必要」と訴え、U氏からは「走友会のノウハウを一般市民ランナーに伝えることは走友会の役目」という提言もあった。N氏は「会員数の増加と減少を繰り返してきたが、若い会員を主体に運営するようになって、変わった」。

さらに、矢野氏からは個人主義の米国とちがった欧州のクラブ組織にも言及があり、この辺にわが国の走友会の活性化策のヒントが隠されているような印象を持った。もう少し詳しくお話を伺いたかったところだが、時間がなかった。

短い時間の中にも関わらず建設的な発言が多く出され、大変感謝している。残念ながら、私の力量と時間の不足のために、これらの提言を十分煮詰めるには到らなかった。この部分は私たちの活動の根幹に関わることなので、消化できなかったところについては継続して取り組んでいく必要があると考えている。

なお、講演会とパネルディスカッションの詳細については、関係者の承諾を得た上で、小会のホームページに公開する予定だ。

(写真上)矢野龍彦氏の講演
(写真中)ナンバの動きの実技
(写真下)パネルディスカッション
  撮影:鈴木敏夫氏
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by hasiru123 | 2011-01-10 18:28 | 基礎知識

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あけましておめでとうございます!

2011年も、小ブログを通じて、楽しく走ることについての記事や情報をお伝えして参ります。
何卒よろしくお願い申し上げます。

元日恒例の全日本実業団対抗駅伝競走大会は、トヨタ自動車が4時間51分56秒で初優勝を果たしました。レースはアンカーの7区で富士通、日清食品グループ、トヨタ自動車が集団をつくる混戦となりましたが、残り500メートルでスパートしたトヨタ自動車の熊本が富士通・福井の追い上げを振り切りました。大変見応えのあるデッドヒートで、まだその余韻が残っています。今夜の初夢に再現しそうな予感すらします。今年一年、熊本の走りのような読みと勘、そしてねばりを追い続けたいと思いました。

さて、私の今年の目標は次の3つを挙げます。
1 若葉グリーンメイトの30周年記念行事を成功させること(1月9日(日))
2 埼玉県駅伝で坂戸陸協チームが入賞すること(1月16日(日))
3 今秋のマラソン大会で3時間をクリアすること

どれもしっかりねばれれば達成可能なことだと考えています。

卯の年の皆様のご多幸をお祈りして、新年のご挨拶とさせていただきます。

(写真)マイトレーニングコースの一つである、川越市内の農道
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by hasiru123 | 2011-01-01 23:39 | その他