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来年の箱根駅伝は  −−私の予想−−

「テレビと最も親和性が高いのはオリンピックである」と言ったのは鳥越俊太郎氏だ(12月30日放映のTBS「サンデーモーニング年末SP」で)。オリンピックを生で見られる人は世界中の観戦者のうちでほんのひと握りに過ぎない。感動を伝える媒体の圧倒的な部分をテレビが占めていると言っていいだろう。同様の意味で、「テレビと親和性が高いスポーツは何か」と問われれば、私は「マラソンと駅伝である」と答える。

マラソンや駅伝は現地で観戦すると、選手を長時間、継続して見ることができない。ただし、ロンドン五輪のマラソンのような周回コースであれば、観戦ポイントを変えながら何度か応援することはできるかもしれないが。

2年前に、箱根駅伝の1区を和田倉門前(東京都千代田区)で応援したときのことだ。選手の姿が視界に入った時間は、わずか2秒あまりだった。連続シャッターでおさめた写真は3枚である。この日は撮影が目的だったからこれで十分ではあったが、「観戦を楽しむ」という点からはあまりに短すぎる時間である。競技の全体性と連続性から切り離された一断面を見せられたに等しい。このときほど駅伝観戦は「テレビが一番」と思ったことはない。その箱根駅伝の火蓋が、間もなく切られる。

駅伝最大の関事は、いろいろな場面を想像しながら結果を予想することだ。距離が長くて区間が多いほど、そしてコースが変化に富んでいるほど予想は難しく、また面白い。果たして、来年の箱根駅伝はどんなレースになるだろうか。

一駅伝ファンに過ぎない私には、チームや選手のコンディションを知る直接的な情報は一切ない。あるのは、マスコミを通しての2次的、3次的情報だけである。「調子を上げてきている」とか「故障で別メニューをこなしている」などという情報は、ずべてマスコミによるものだ。したがって、それらの噂をもとに予想することにはさほど興味を感じない。

私がいつもやる方法は極めてシンプルだ。今シーズンの10000mのベスト記録で、28分台の選手が何人いるか、またその数が同じ場合には同様に5000mが13分台の選手が何人いるか、で予想を立てている。10000mを基準にするのは、スピードと持久力の総合的な結果が反映されていると考えるからだ。箱根の各区間の距離からすると、ハーフマラソンや20kmの記録が一番近似するのだが、ロードレースの場合にはコースや気象条件などが記録に及ぼす影響が大きいため使わない。

このやり方では、10000mで28分台を8名擁する駒大がトップで、同6名の明大と早大が並ぶ。この両校では、5000mで13分台が8名いる明大が5000mで13分台が4名の早大より上位にくると予想した。昨年優勝した東洋大は4位、そして順大、日体大と続くことになる。

一方、12月28日発表されたオーダー表をもとに、各区間にエントリーされた10名の記録を合算して比較するとなお精度が高まるのではないかとも考えられる。しかし、有力選手が当日朝に変更可能な補欠に回ったり、補欠の有力選手が体調不良で出場できないケースもあったりすることもあるから、予測に耐えられる想定とは言い難い。

昨年の10000mのベストタイムから予測した今年の順位は、1位早大、2位駒大、3位東洋大だった。実際は、東洋大が2位の駒大を8分15秒も離して圧勝した。しかも、10時間51分36秒というとてつもない新記録だった。例え10000mの記録が一番近似する指標だとしても、この予想方法はあてにならないことを実証したようなものだった。ここでは、数字から割り出した予想と現実とのギャップを知ることも、駅伝の面白さの一つだということを言い訳にしておく。
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by hasiru123 | 2012-12-30 23:25 | 駅伝  

温かい手 -「ファースト・ポジション」を観る-

「ユース・アメリカ・グランプリ」はバレエダンサーの登竜門であると言われている。ローザンヌ国際バレエコンクールと並ぶ世界的に著名なバレエコンクールの一つだ。この大会の入賞を目指す子どもたちを追ったドキュメンタリー映画「ファースト・ポジション」を見た。

バレエをテーマにした映画ということで、映画館へ向かう足が何となく重たくなっていた。バレエにまつわる物語が長々と続くことをイメージしてしまったからだ。しかし、「ファースト・ポジション」は、この大会に出場する6人の子供たちとその家族を丹念に追ったノンフィクションだった。

バレエダンサーを目指して、毎年ユース・アメリカ・グランプリには世界から5千人を超える卵たちが集まる。各地で厳しい予選を勝ち抜いた数百人だけが、最終選考に進むことができる。ニューヨークで行われる本選会で入賞すれば、世界的に権威のあるバレエ学校での奨学金獲得や、バレエ団入りの道が開ける。

ここに登場する6名のプロフィルが紹介され、それぞれのレッスンに励む姿が写し出される。生まれた国や生活環境、年齢は様々だ。レッスンだけでなく、子供たちの住む家庭の中にまでレンズは覗き込む。

そして、各地で行われる予選。うまく予選を通過してほしいという祈るような気持ちにさせられる。印象に残った一人にコロンビア出身のジョアンがいる。コロンビアに住む両親の期待を一身に受け背中を押される模様は、高校球児を指導する日本の監督たちの心情と変わらない。また、将来の五輪選手が育つことを夢見て応援する地元の母親やコーチの姿が二重写しになった。

かつては、バレエといえばソ連のお家芸と言われるほど東側における実力が高く評価され、その英才教育はつとに有名だった。それが、1973年から始まったローザンヌバレエコンクールが始まり、99年にユース・アメリカ・グランプリが開催されるに至る中で、「バレーは舞踊の世界の英語になった」(三浦雅士「国際言語バレエの迫力」)といえるだろう。グローバル世界の中でのバレエがどのような姿に変わっていくだろうか。

そういった世界の中でのバレエの行方に注目しつつ、これを見た私は、温かい手で頬を包んでもらった幼子のような不思議な気分に浸ったものだった。観てよかったと思っている。


※ 渋谷のBunkamuraル・シネマで上映中。
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by hasiru123 | 2012-12-24 16:18 | 芸術  

写真の力を見せてくれた

会場に入ると、いきなり大きなパネルに出会った。美空ひばりが、両親の位牌が置かれた仏壇の前に立っているポートレートだ。パネルの下には1989年と書かれていた。そうだ、この大スターが鬼籍に入ってから何年になるだろうか。病身の写真とは思えないくらいきれいだったのには驚いただろう。

篠山紀信の写真展「写真力」を見た。半世紀にわたって雑誌などに掲載された様々な手法・テーマの作品129枚が展示されている。GOD、STAR、SPECTACLE、BODY、ACCIDENTSの5つのセクションに分かれている。

「写真力」とは「写された方も、撮った者も、それを見る人々も、唖然とするような尊い写真」のことを言うのだそうだ。まっ先に、75年から始まった雑誌「GORO」に掲載された「激写」シリーズの山口百恵が思い出される。GODの部屋を抜けてSTARの入口に入ると、正面に大きく見えた山口百恵には驚いただろう。巨大なパネルにプリントされたまぶしさは何だろうかと。

そして、となりのBODYの部屋には草むらに座っている宮沢りえの下半身の裸体があった。その右下には、宮沢りえの3分の1くらいの大きさのパネルで黒柳徹子のヌードがあったのには驚いただろう。こんなに美しい肉体をお持ちだなんて。ここには、大小あわせて41枚のヌード写真が飾られている。

ウクライナ出身の男性バレエダンサー、ウラジーミル・マラーホフの3枚のヌードは力強い。まるで彫刻のように巌(けわ)しい彫りに驚いただろう。

最後の部屋は、ACCIDENTS。ドキュメンタリーともいえるこれらの作品は、篠山には異色のものだ。普通のカメラマンがシャッターを押したような被災者たちのポートレート。子供も、大人も、そして年老いた人々が一応に立ち姿でカメラに向かっている。ただ、祈るような気持ちで見つめるしかなかった。「写真家として今回の出来事を「無かったこと」にすることは出来なかった」とパネルには記されていた。

70年代から80年代にかけて、私たちの周りには週刊誌を開くと必ずと言っていいくらい篠山紀信の写真で溢れていた。朝、新聞を開いて牛乳を飲む感覚で、自然に飛び込んできたポートレートが、今ここではとてつもなく大きな記憶となって蘇る。


※ 12月24日まで、東京オペラシティアートギャライー(東京都新宿区)で開催されている
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by hasiru123 | 2012-12-17 19:29 | 芸術  

マラソンのエントリーは計画的に

今年はいつもより早めにマラソン練習を開始し、11月の大会に備えてきた。自分の弱みであるスタミナをつけるために、4月下旬から練習内容を距離と時間にウエイトをおいたランニングに切り替えた。一昨年の大田原で経験したような30キロ以降の落ち込みを、少しでも低減させたいという思いからだった。

目標は、3時間を切ること。そのための条件として、大田原は気候的にも、そしてレースのレベルや大会規模においてぴったりだったので、最初からこの大会に照準をあててきた。ところが、練習の途上で大きなミスがあった。

この大会の申し込み者が増えて、これまでよりも早く定員に達し、締め切られてしまったのである。例年締切は8月末日だったので、前回までは7月上旬に行なっているWGMの合宿を過ぎてから申し込んでも十分間に合っていた。合宿の帰りのバスの中で、会員からその話を耳にしたときは、思わず力が抜けてしまったものだ。

これまで、マラソンに出るときは申し込み状況を見ながら、あとの方からエントリーすることが多かった。というのは、マラソンは練習が進むに従って故障リスクが高くなり、これまでも直前で出場を諦めることが少なくなかったという苦い経験による。昨年も、大会3週間前に故障で断念している。だから、ある程度走れそうだという感触をつかんでから手続きをするのである。しかし、これからはそんなのんびりした行動は通用しそうにない。早めの計画、そして速やかな手続きが必要な時代になった。マラソン人口の急増で、マラソン大会の絶対数が足りなったからだ。

大田原を目指して練習計画を立て、走り込みを進めてきたので、何としても11月を外したくなかった。それに替わる他の大会はどうか。11月は、私の住んでいる首都圏でマラソン大会が多く組まれている。特に、11月最終日曜日はつくば富士山(旧河口湖日刊スポーツ)というビッグなマラソン大会があった。ただし、この日は今年で3回目を迎える小江戸川越マラソンの役員をすることが決まっていたので、それ以前の大会から選択するとなると、福知山マラソンしかなかった。

福知山は、大会規模や競技水準において大田原と共通するものがあったので、少し遠いが出場を即決した。この大会は、関西地方では篠山ABCマラソンと並んで人気のある大会で、歴史もある。コースは比較的フラットなようだったので、記録的な楽しみもあった。

しかし、残念ながら大会直前に母を亡くし、出場は叶わなかった。96歳だった。だから、来年もう一度福知山でチャレンジしようと思う。今度は、もっと早めに計画して、速やかな手続きで、安心して大会を迎えよう。
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by hasiru123 | 2012-12-10 21:26 | マラソン  

箱根駅伝 地方大学の活性化にも貢献を

田中真紀子文部科学大臣が大学設置・学校法人審議会の答申を覆し、3大学の来春開学を「不認可」とした問題は、文科相が撤回したことで、一応は収束した。この問題の発端は、文科相は「大学の数が多すぎ、教育の質が落ちている」ことを指摘し、幅広い分野の有識者で検討会議をつくり、審議会の大学設置可否の審査方法や基準を見直したいということだった。

ことの是非はさておき、教育の質の強化や人気の確保をめぐって大学間の競争は熾烈になっている。確かに、消費者である学生にとっては、ある意味ではありがたいことだ。大学は大いに競争して、将来に役立つ教育を提供してほしいと思う。しかし、大学や教育に携わる者の努力だけではどうにもならない問題も多く存在する。たとえば、地域間の格差である。

東京をはじめとする首都圏には多くの企業が集まり、それに伴って大学も首都圏や大都市部に集中する傾向がある。就職への利便性を考えると当然の結果かもしれない。

地方を活性化するのは、対処療法や都市機能の一部移転などでは到底実現することは難しいだろう。だからといって手をこまねいていていいということにはならない。関係者が努力することで解決が図られそうなことから手をつけたい。

企業や大学の一極集中に輪をかけて進んでいるのが、大学における男子長距離選手の首都圏集中だ。今年行われた全国大学駅伝に出場した関東の12校は、1位から12位までを独占し、地方大学が入り込む隙を見せなかった。これほどの集中は、女子では見られず、高校の男女にも見られない。

正月に行われる箱根駅伝の人気の高まりが影響していることは間違いない。首都圏の大学に入った長距離選手は、そこで頑張ってチームが予選会を突破できれば箱根駅伝に出ることができる。しかし、地方の大学ではいくら力を持った選手が集まっったとしても箱根を走ることはできない。そもそも、競技の環境が地方と首都圏で大きく異なるのだ。

箱根は、実力と伝統、そして人気において日本の大学駅伝の代表格ともいえる。駅伝ファンのみならず、今や国民的関心事となり、全国の視聴者を釘付けにする箱根駅伝は、地方からも参戦できる道を作って、地方を盛り上げる使命があるのではないだろうか。ある意味では、全日本と箱根とのねじれ現象と言えるかもしれないが、この際はそれぞれのプライドや歴史にこだわらないで、検討する時期に来ているように思う。

過日行われた若葉グリーンメイトの忘年会の席上で、顧問でいらっしゃる靑葉昌幸さん(関東学連会長)は、「かつては重松森男さん(福岡大)や高岡寿成さん(龍谷大)のような世界的なランナーが地方から輩出した。もっと、地方の大学は頑張って」とエールを送られていた。

地方の大学がもっと元気になれるよう、箱根駅伝が後押しできるといいのだが。
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by hasiru123 | 2012-12-03 19:21 | 駅伝