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夢のマラソン

二十四節気の一つに「雨水」がある。冬に雪だったのが雨に変わり、氷が解けて水に変わることをいう(平凡社「気象の事典」)。 その雨水から6日がたつが、冬将軍はまだ居座り続けている。今朝のマイトレーニングでは、毛の手袋をつけていても指先が痛くなる寒さだった。 今日開催された東京マラソンは、選手にとって寒さが堪えたレースではなかっただろうか。

男子はデニス・キメット(ケニア)が2時間6分50秒で優勝した。キメットは年齢こそ29歳とそれほど若くはないが、昨年のベルリンマラソンに続く2度目の新人ランナーだった。ベルリンでは、2時間4分16秒をマークして2位に入り、初マラソンでは世界最速、そして世界歴代5位の快記録であった。

前田和浩(九電工)が4位の2時間8分0秒でゴールし、日本人トップだった。今年8月にモスクワで開催される世界陸上の、即内定の条件である「日本人トップで2時間7分59秒以内」には1秒届かなかった。

レースが動いたのは30キロ過ぎだった。それまでは風の影響で、5キロが15分を超えるスローペースで進んでいたが、ペースメーカーが外れるとジェームズ・クワンバイ(ケニア)が一気にペースを上げた(注)。先頭集団はケニア勢5人に絞られた。前田が追い、やや遅れて今井正人(トヨタ自動車九州)と佐藤悠基(日清食品グルーフ)が並走して追う。前田の好走のポイントはここにあったと思う。

優勝したキメットは35キロまでの5キロは14分25秒と驚異的なペースに上げた。そんな中で、日本人では前田だけがケニア勢に食らいついて、トップが見える位置で追い続けた。これまでの主要な大会で上位に入った日本人選手は、トップが急激にペースアップしたときには自分のペースをきっちり守って後半に備え、前から落ちてくる選手を拾う戦術を取ることが多かった。このやり方は大崩れしないで確実に走り切れるメリットがあるが、これだといつまでたっても世界との差は縮まらない。

結果的には前田はトップと1分10秒の差をつけられたが、多少無理でも集団の流れに対応していく積極的な戦い方を高く評価したい。一方、戦前から好調が伝えられた今井には、前田のような「挑戦」する姿が見られなかった。元旦の実業団駅伝では最長区間を走って区間新記録を打ち立て、成長の跡を見せくれたのに。

今日のレースをテレビで見ていて、今井は前半先頭集団から脱落してしまったのではないかと心配になるくらい、目立たない位置をキープしていた。それだけ無駄な動きが少なかったということだ。マラソンの集団で効率的に走るお手本みたいな走りができていたので、終盤に期待をかけていた。マラソン人生で何度もない好機を逃してしまったのではないかと、惜しまれる。


(注)集団の「規模」(先頭と後続との時間差)と選手の「数」は以下のとおり。
15キロ  5秒以内 34人
20キロ  3秒以内 31人
25キロ  5秒以内 24人
30キロ  11秒以内 19人
35キロ  集団なし
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by hasiru123 | 2013-02-24 19:44 | マラソン

第25回ランニング学会大会の開催要項が発表された。テーマは「生涯スポーツとしてのランニング」。

アスリートのための専門的なテーマがあり、そして、幅広い市民ランナーに向けたセッションもある。もちろん、その中間もありだ。また、これから指導者を目指そうという若いランナーにもぜひ聞いていただきたい。その概要は以下のとおり。

会期:平成25年3月23日(土)、24日(日)
会場:東京学芸大学
大会会長  有吉正博

プログラム概要

【1日目】3月23日(土)
基調講演 <ジュニアからシニア、そしてグランドシニアへ>
  演者  有吉正博(ランニング学会会長)
招待講演 <金メダルコーチに学ぶ-日本のマラソンの現状と可能性を語る->
  演者  藤田信之(聞き手・豊岡示朗)
一般研究発表 A
パネルディスカッション <義務教育期のランニングの現状と展望>
  演者  佐藤善人、樺山洋一、 田口智洋
実技プログラム <ファンランニング>
  ①アスリートと走ろう
  ②子どもと走るには 
  ③皆で楽しく走ろう、ほか(学内コース)
  演者  有吉正博、AVRC小金井、深尾真美、大崎栄、徳本一善(未定・日程調整中)、佐藤善人
懇親会

【2日目】3月24日(日)
一般研究発表 B
シンポジウム <アスリートとしての取り組み(高強度トレーニングを考える)>
  演者  松村拓希、山中美和子(ダイハツ)、榎本靖士
キーノートレクチャー
シンポジウム <生涯を通じたランニングの楽しみ方>
  ・ジュニアアスリートからマスターアスリートまでの道  深尾真美
  ・アスリートから市民ランナーのランニングを支える  古川大輔(ミズノ)
  ・大人になってから始めたランニンング  鈴木昭典、藤牧利昭
参加費
学会員
4,000円(当日5,000円,1日のみ2,500円)
AVRC会員※1
4,000円(当日5,000円,1日のみ2,500円)
学生※2
3,000円(当日4,000円,1日のみ2,000円)
非会員
5,000円(当日6,000円,1日のみ3,000円)
※1 アミノバリューランニングクラブ、※2 非会員の学生を含む。
懇親会
1日目終了後に、懇親会を開催します。参加費は一律5,000円。
一般研究発表
発表希望の方は、メールにて演題および要旨をご連絡下さい。宛先や書式等の詳細は一般研究発表演題募集についてをご確認下さい。
参加申込および振込の締切
2月7日(木)17時 厳守
参加費振込先
  三菱東京UFJ銀行 入間支店 普通 0038679
ランニング学会大会事務局 代表 藤牧利昭
第25回ランニング学会大会事務局
〒184-8501
東京都小金井市貫井北町4-1-1
東京学芸大学 芸術・スポーツ科学系研究棟7号館 陸上競技研究室内
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by hasiru123 | 2013-02-17 23:29 | 基礎知識

スポーツ指導者の暴力について「体罰」という言い方には違和感がある。というか、誤った表記だと思う。「体罰」を辞典で調べると「身体に直接に苦痛を与える懲罰」(広辞苑)とある。罰を受けるに値した行為に対して懲らしめるという意味に取れる。

大阪市立桜ノ宮高校バスケットボール部の暴力問題や柔道女子のトップ選手が、監督やコーチから暴力を含むを受けたとJOCに告発した問題。とどまるところを知らない状況である。この選手たちは「罰を受けるに値した行為」をしたのだろうか。

相次いで表面化するスポーツ界の暴力をもって、あるいは心理的な抑圧によって短期的にプレッシャーを与えて成長を促すというのは頭の悪い指導者の常套手段である。「見せしめによって恐怖を植え付けて子どもたちを追い込むような指導は一定の効果がある」という指導者は少なくない。その効果を盲信している指導者がこの日本には数多くいる。

私は暴力による威嚇が、選手に効果を発揮するどころかむしろ成長を妨げる大きな障害であると考える。暴力を受けて選手のモチベーションが高まることなどありえない。どんな鍛錬も、自主性が伴わない限り本物の競技力が身につくことはありえない。そういう指導者は己の対話力不足を暴力でごまかしているに過ぎない。対話力というのは暴力を振るうこと以外の様々な指導技術のことである。

ただし、難しいのはここからだ。スポーツ強豪校は、生徒に対する指導者の権限が強い。選手の評価から始まって、主要大会の選手選考、進学指導や就職先の口利きなどに大きな力を持っているのだ。したがって、勢い父兄も厳しいしつけで子供たちを全国大会に輩出してくれる指導者に遠慮せざるを得ない。むしろ、期待すらしている。こういった構造を断ち切らないと、「暴力はダメ」といっても解決策にはならない。

ここで、よく考えてほしい。指導者の暴力に耐えて厳しい練習に立ち向かうことと、全国大会に出場できるようなスキルを磨くことはまったく関係がない。暴力に耐えることで一時的に忍耐力が身につくことはあっても、失うものほうがはるかに多い。自主性がないところで成長はありえない。暴力に耐える厳しい練習がスキルを磨くという誤解を捨てない限り、暴力は繰り返されるだろう。

勝利至上主義の風潮を背景にあげる主張を伝える報道がある。しかし、そもそも指導者の暴力で勝利につながることはありえない。高いモチベーションが発揮されてこそ勝利が見えてくる。仮に暴力指導者の育てた選手が第一線のアスリートに成長したとしたら、それは選手が強靭な忍耐力を持ち、暴力を受けてもしなやかにかわす心のゆとりが備わっていたからだと思う。これを指導者の功績だを勘違いしてはいけない。

暴力で飼いならされた指導者がいる限り、連綿と拡大再生産されることだろう。今すぐ、練習の可視化を進める必要がある。当該競技の関係者以外の人間がいつでも見られる状態にするのだ。個人別の指導をする場合は、第三者がいるところで行う。指導者が萎縮するのではないかと心配する人がいるかもしれないが、誰もが見えるところで心を向き合って指導できるよう知恵を出し合う必要があろう。
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by hasiru123 | 2013-02-10 16:56 | 練習

川越市内で節分会

2月3日は節分。日の出の時間が少しずつ早まってきた。埼玉県地方の日の出は6時40分位まで早まり、早朝ランの気分もやや暖かく感じられるようになった。

川越市内の喜多院と成田山で行われた節分会に行ってきた。家内安全と開運厄除、所願成就の祈願をした。喜多院では、100名近くの年男年女による豆まき式が行われ、境内は多くの参詣客でにぎわった。拾った豆を家や職場に持ち帰り、豆まきをして一年間の家内安全等を願うのが習わしだが、私は撮影に忙しくてひとつも拾うことができなかった。こんな場合の祈願は、果たして叶うのだろうかと、ふと考えた。
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喜多院から北へ徒歩で約5分のところに成田山川越別院がある。「鬼は外」とは言わず「福は内」だけをくり返す。成田山の本尊である不動明王にとっては「鬼も救済の対象」であるためだと、後から知った。そういえば、喜多院でも「鬼は外」はなく、もっぱら「福は内」だった。これも、そういう言い伝えがあったからかもしれない。
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さて、わが家もこれから豆まきをしなくては。
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(写真上)年男年女たちの行列(喜多院)
(写真中の2枚)豆まき(喜多院)
(写真下)豆まき(成田山)
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by hasiru123 | 2013-02-03 22:05 | 話題