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80歳のアスリート

去る5月23日、世界最高峰のエベレスト(標高8848メートル)に、史上最高齢の80歳で、プロスキーヤーの三浦雄一郎さんが登頂に成功した。80歳は、日本人男性の平均寿命をわずかに超える年齢にあたり、常識では考えられない偉業といえるだろう。心から祝福を送りたい。

三浦さんは4年前に、大腿骨や骨盤を骨折しり、不整脈のため最近2年間に2度心臓手術を受けたとのことである。年齢だけでなく、粘り強く挑戦し、夢を持ち続けてきたことは、驚くとともに大いに刺激を受けた。

三浦さんの登頂のニュースに接して私が強い関心を抱いたのは、80歳という年齢はマラソンで言えばどんなことになるのか、ということだった。マラソンは、登山と同様に長くて周到な準備期間が求められる競技だからである。

雑誌「ランナーズ」の最新号に「全日本マラソンランキング」というフルマラソンについてのデータベースが発表されていた。そのデータによると、80歳の男性でマラソンを完走したのは、全国に25名いた。最上位タイムは4時間23分35秒である。また、最高齢は90歳で1名いる。

女性はどうかというと、80歳のランナーはいなかったが、81歳が2名いて、それぞれ6時間台、8時間台でゴールしている。81歳は、女性完走者の最高齢でもある。

高齢になれば体が動かなくなり、病気とつきあわざるを得なくなる。つい、気分も憂鬱になりがちだ。そんな気分を吹き飛ばしてチャレンジした三浦さんやマラソンを完走した熟年ランナーたちは、高齢者のトップアスリートといってよい。共通している元気の源は何だろうかと考える。

新聞の社説の中に、三浦さん自身のこんなフレーズを見つけた。「本当に大切なのは、(中略)目標があって生きているととても楽しいという事実を知っているか、体感したことがあるかどうか、なのだ」(『東京新聞)。

健康であるかないかにかかわらず、楽しいことをイメージする想像力を持てばきっとできる、と思いたくなる一言だ。 
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by hasiru123 | 2013-05-26 20:03 | 話題

記録を超える壁

4月に行われた織田記念国際の陸上男子100メートルで、桐生祥秀(京都・洛南高)が世界ジュニアタイ記録に並ぶ10秒01を出した。日本記録は、伊東浩司(当時富士通)が98年に作った10秒00だ。

若干17歳の高校生の快挙に驚いた。桐生は、たしか昨年の国体で優勝するなどして、その名前を聞いてはいたが、こんなに早く開花するとは想像することができなかった。

ところが、この記録が世界ジュニアタイ記録としては公認されない可能性が強まった。17日に開かれた日本陸連理事会で、報告されたものだ。国際陸連は世界記録を公認する条件の一つとして、超音波式の風向風速計の設置を義務付けている。機械式の計測で達成した桐生の記録は「ルール上、難しい」(国際陸連の技術委員会)ということらしい。ただし、10秒01の記録自体は有効となる。

織田記念という国際大会で、国際陸連の基準を満たす機器が設置されていなかったということは恥ずかしい話だ。5月18日のサンケイスポーツによれば、広島陸協には超音波式が2台あるそうだ。その認識さえあれば、できないことはなかった。ただし、この機器を借りるには相当のレンタル料がかかるらしいので、一定規模の大会であれば常に設置するというわけにはいかないらしい。

このことが引き金となって、31日開幕の高校総体京都府大会(西京極)から、今後は桐生が出場する100メートルでは、超音波式風向風速計と不正スタート発見装置を、陸上競技用具メーカーからレンタルするという。すでに、18と19日の関東インカレ(国立競技場)では、10秒07の記録を持つ山県亮太(慶大)や200メートル日本歴代3位の20秒21を持つ飯塚翔太(中大)が出場することから、同様の措置がとられた。あいにく、この両日はホームストレートが向かい風だったため、新記録の誕生はならなかった。

また、桐生は18日に高校総体京都市内ブロック予選会で200メートルを走り、20秒59で世界陸上モスクワ大会のB標準を突破した。この日はまだ、超音波式風向風速計は設置されていなかった。ただし、そのことで記録の公認への影響はない。

このように、今後好記録が期待できる大会では選択的に超音波式風向風速計と不正スタート発見装置が設置されるるだろう。記録を狙う選手にとって見ればありがたいことではあるが、気になることもある。それは、機器の設置という心理的なバリア(障壁)を取り除く力が要求されるからである。短距離特有の集中力に加えて、走り高跳びに求められるような壁を意識しない冷静沈着な精神力だ。これをクリアしないと、9秒台は見えてこないし、世界の一流にはなれない。超音波式風向風速計を追い風に、世界に挑んでもらいたい。
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by hasiru123 | 2013-05-23 05:48 | 話題

あとは、私たちが走り出す番だ

私が所属している消費者団体に「公益社団法人日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会(NACS)」という組織がある。消費生活に関するわが国最大の専門集団である。
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組織が多岐にわたっているため、言葉で概念を表すことは難しいが、私なりにかいつまんで説明すると以下のようになる。13の分野別の専門委員会の下に4つの地域ブロックがあり、各ブロックにはまた5つの専門委員会と自主研究会と地域別分科会などがぶら下がっている。地域ブロックの一つであるNACS東日本には、18の自主研究会と、7つの地域別分科会があった。

「それがどうした」と言われそうなので、結論を急ごう。先ごろ、7つの分科会に加えて新たに「埼玉分科会」が4月に発足し、その代表を務めさせていただくことになった。東京を除く首都圏の中で唯一分科会のない埼玉県だったが、有志の方々の賛同を得て立ち上げることができた。心から感謝申し上げたい。

一つめの課題は、取り組むテーマの設定である。発足前の会議では、そのことについてフリーにディスカッションしていただいた。

参加者の持っている関心の領域が多岐にわたり、そして専門性の深いことを知り、大いに刺激を受けた。埼玉県に軸足を おきつつ、特定の分野に踏み込んで行くというスタンスで取り組みたい。

各メンバーが日ごろから温めておられる企画やご意見をお聞きし、「やりたいこと」と「やれること」、そして「時間」とを秤にかけてテーマを絞っていきたいと思っている。短期的なテーマと長期的なテーマを織り交ぜながら、並行して追いかけることになりそうだ。

二つ目の課題は、上記と関連するが、まずは県内に在住の多くの会員に参加していただくことでである。この二つの課題は、車の両輪のような関係にあり、相乗効果を発揮してこそ実現できることだと思う。そのためにも、会報やWebサイトなどで積極的に情報を発信していきたい。

東日本支部の事業委員会の皆様のおかげで活動する環境は整った。そして、定期会合の役割分担等の基本的なルールもできた。あとは、私たちが走り出す番だ。

なお、会合の開催については、当面は埼玉県の中央部に位置しているという理由から川越市を拠点に進めることとしたが、県内の幅広い地域から参加していただけるよう工夫していきたい。

よろしくお願いします。


(写真)5月11日に行われた第24回NACS東日本支部自主研究会発表会
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by hasiru123 | 2013-05-12 22:09 | その他

技術を盗む

先週の日曜日(4月28日)の午後に、坂戸陸協のトラック練習会を行った。今年度のキックオフにあたる。昨年は、任意参加で競技会や記録会への参加を積極的に取り入れたため、トラックを使用して行う練習会はなかった。その理由は、一昨年まで、トラック練習会を行ってきたが、参加者数が少なく、目だった効果を上げることができなかったという反省があったからだった。

今年度は、再び練習会を行う計画を立てたが、これまでと同じ轍を踏むわけにはいかない。練習会の原点に立ち返り、次の3点に留意したい。一つは、切磋琢磨して、練習の中でも競争意欲を持つこと。そして、練習メニューの意味をしっかり理解すること。もう一つは、上位者の走りに学ぶこと。これらのことを、選手たちに伝えていくことである。

これまでに、特に欠けていたのが3点目の「上位者の走りに学ぶこと」だった。市民ランナーチームの育成でもっとも困難な課題である。今回は、私たちの呼びかけに何名かの往年の名ランナーやシリアスランナーが応えてくださった。中でも、1500mのスペシャリストで日本選手権でも何度か入賞経験のあるTさんに参加いただけたことはうれしいことだった。

走る姿を見るだけでは速くなれないが、練習で引っ張ってもらううちに、何がしかのヒントを得ることができるのではないかと期待している。ただし、穏やかな言い方ではないかもしれないが、選手の側に「技術を盗む」というアグレシブな気持ちがあれば、の話である。

それからもう一つお礼を言わなければならないことがある。これまでのトラック練習では、東洋大学さんをお借りすることが多かったが、大学側の事情で難しくなった。急遽使用させていただくことになったのは完成して間もない大東文化大学さんのトラックだった。周囲が林で、トラックの周りがフェンスで囲まれている。したがって、気持ちとしてトラックが狭く感じられるため、この圧迫感が長距離ランナーにはいい心理効果をもたらす。そういう競技場は得てして好記録が出やすいとも言われている。素晴らしい練習環境を提供してくださった大東大さんに対して感謝を申し上げたい。

私たちの環境は整った。あとは、選手の皆さんが力を発揮する番だ。
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by hasiru123 | 2013-05-06 17:16 | 練習