<   2017年 05月 ( 4 )   > この月の画像一覧

 

マラソンの保険

かつてスポーツ障害保険に加入したことがあった。ある携帯電話会社が提供する保険で、月々の掛け金にそれほど負担を感じなかったためだった。その補償概要は以下のようなものであった。

1 熱中症、テニス、スキー、ゴルフのケガをカバー。日常のケガや自転車事故もOK。
2 日常生活中はもちろん、スポーツ・レジャー中に法律上の損害賠償責任を負った事故も補償がつく。すべてのコースで最大1億円を補償(個人賠償責任補償)
3加害者になってしまった時、お客さまに代わって相手側と交渉する「示談代行サービス 」付き(賠償事故解決特約)
4 シルバーコース以上なら携行中の持ち物の破損や盗難などの損害も補償

この保険は、補償の範囲が広く、ランニングを目的とした保険として使うのは少しもったいない気がして、今は契約していない。

スポーツの種類を限定してケガを補償する損害保険としては、ゴルファー保険、スキー・スケート保険、テニス保険スキー・スケート保険、山岳保険などがある。しかしながら、マラソンに限定した保険は、ない。ただし、マラソン大会当日に参加できなくなった場合に備えての参加料を一部補償する保険は、いくつかの大会で用意しているようではあるが。

一般的に、マラソン大会や個人での練習ではどんな障害が多いのだろうか。調べてみたら、こんなデータがあった。

東京マラソンの過去4回の大会で参加した約14万人の選手のうちで、救護所以外でコース上の救護スタッフによって応急処置を受けた約310名のランナーの集計結果だ。東京マラソン2012 のサイトにある「MEDICAL+マラソンマンの耳寄り情報」によれば、以下のようになっていた。

1.足の筋肉痛・関節痛   64.7%
2.低体温  13.9%
3.靴ずれ・転倒・まめなどの擦り傷(皮膚のケガ)  11.2%
4.脱水症状  6.6%
5.心肺停止 1.0%6.その他 2.6%
(以上、自転車救護チームによって応急処置を受けた東京マラソンのランナーの症状)

これらの障害は、長い時間をかけて身体がダメージを受けることによる場合が多く、急激に発症するものではい。傷害保険の保険金の支払い対象となる傷害は「急激かつ偶然な外来の事故」によって身体に傷害を被った場合に限られており、急激性を欠く場合は、補償対象にならない可能性が高い(日本損害保険代理業協会のサイトを参照)。

マラソン大会へ参加したときのケガや、個人で練習中のケガでは補償の対象が限られる。利用に際しては、各種損害保険の重要事項と照らすなどして、慎重な検討が必要だ。


[PR]

by hasiru123 | 2017-05-30 06:57 | マラソン  

マラソン代表 2段階の選考で

2020年東京五輪のマラソン代表選考方法が決まった。日本陸上競技連盟は、これまでの協議による選考から、同一レースで競う方法に改めた。

19年9月以降に開催する「マラソングランドチャンピオンレース(MCGレース)」から男女各2人の代表を決め、残り1枠は19年秋~20年春の国内3大会から記録最上位者を選ぶ。

「主観がなくなり、客観性のみになったことで、より明快になった」と評価するのは、バルセロナ大会とアトランタ大会のメダリスト有森裕子さんだ(5月6日の毎日新聞「時評・点描」)。代表選考をめぐるトラブルの渦中にあった人の発言だけに、日本のマラソンは基準を巡って大きな一歩を踏み出したといえるだろう。

陸連が4月18日に公表した「東京2020オリンピックマラソン日本代表選手選考方針」※を整理すると、以下のようになる。

MGCレース
1人目 優勝者 → 即内定
2人目 2位で期間内に「MGCレース派遣設定記録」を突破 → 即内定。3位で「MGCレース派遣設定記録」を突破し、2位の選手がこの記録を突破していない場合 → 即内定
3人目 MGCファイナルチャレンジで「MGCファイナルチャレンジ派遣設定記録」を突破した記録最上位者 
   ⇓
上位2人は自動内定(ただし、2人目の選手には内定条件がつく)
MGCレースの出場資格
1 MGCシリーズ(17年夏~19年春の指定5大会)で設定記録や順位をクリア
   または
2 ワイルドカードとして、①17年8月1日~19年4月30日の国際陸連公認の競技会で設定記録を突破、②17年世界陸上で8位入賞、③18年アジア大会で3位入賞、④MGCシリーズでMGCレースの出場資格者がゼロだった場合は強化委員会が出場資格相当と判断
MGCファイナルチャレンジ
19年秋~20年春の指定3大会で設定記録を突破し、3大会の記録最上位者

MGCシリーズは予選にあたり、MGCレースは決勝という位置づけだ。調整力や安定感が求められる。そして、MGCファイナルチャレンジはスピードを重視した選考といえよう。ただし、設定記録の突破者がいない場合は、MGCレースから3枠すべてが選考される。

MGCレースの2人目を決める際に使われる「MGCレース派遣設定記録」は、相当にレベルが高い。男子だと17年8月1日~19年4月30日に2時間5分30秒、女子は同じ期間に2時間21分0秒となっている。男子の記録は日本記録より46秒速く、女子は国内では出ていない記録にあたる。したがって、事実上男女とも3枠の代表者のうち2人は自動的に内定するといえよう。

また、「MGCファイナルチャレンジ派遣設定記録」は、19年5月に発表される予定である。

陸連が発表した「方針」を見て気づいたのは、選考の透明性や明確さ以外に、以下の2つの視点だった。

一つは「世界との距離を縮める」こと。「方針」に、法令の前文にあたる「編成方針」という項がトップにある。そこには、<目標>として「メダル獲得を目指す」が、<代表の条件>として「最大限持てる力を発揮する調整能力」と「世界と戦うスピードを有する競技者」が書かれている。競技能力と記録を高めることで少しでも世界に近づけたいという意図がくみ取れる。

MGCシリーズの各レースでは、大会ごとにMGCレースへの出場資格要件を変えているのは興味深い。たとえば、福岡国際マラソンは日本人順位1-3位が2時間11分以内、4-6位が2時間10分以内という具合に、1-3位よりも4-6位の方が厳しい基準を設けている。したがって、福岡で2時間11分超の記録で3位以内に入ってもMGCレースへの出場資格が得られないことが起こりうる。

MGCレースは競争重視だが、3枠目としてMGCファイナルチャレンジを設けて、スピードのある選手にチャンスを与えている。派遣設定記録が決まるのは2年後だが、おそらくワイルドカードの基準に近い記録が設定されるものと思われる。

二つ目は「事業性を限りなく追及する」ことだ。MGCシリーズの各レースは、2年間にわたり男子は10回、女子は8回の挑戦機会を経て、いわば決勝といえるMGCレースを迎える。これらの大会の視聴率を落とさない工夫がされている。

また、MGCレース終了後のファイナルチャレンジ。敗者復活戦に相当するが、男女とも3回ずつの大会がある。最後の1枠が決まるまで、いやがうえにもマラソンの関心をひきつけずにはおかないであろう。主催新聞社やテレビ局などに配慮した心憎い作戦だ。

これまで混乱の続いた代表選手の選考である。過去の失敗を学習し、主観的な要素を排した透明性の高い方法であると評価できる。あとは、本気でマラソンに取り組む若い選手が輩出して、長期にわたる各大会で自分がテレビに釘付けになる夢を見るとしよう。

※ 陸連のホームページからPDFファイルを開くことができる。 → http://www.jaaf.or.jp/files/article/document/10127-0.pdf

[PR]

by hasiru123 | 2017-05-17 20:34 | マラソン  

シューズの紐

「むすび」について孫に話しかける。
<三葉、四葉、むすびって知っとるか?>
<むすび?>
<土地の氏神様をな、古い言葉でむすびって呼ぶんやさ>

この言葉にはふかーい意味があって、糸を繋げることもむすび、人を繋げることもむすび、時間が流れることもむすび。全部神様の力や、と。

遅まきながら、5月の連休に入って見た映画『君の名は。』に出てくる、ヒロイン三葉のおばあちゃん一葉が語る一コマである。

<縒(よ)り集まってかたちを作り、ねじれて、絡まって、時には戻って、途切れて、また繋がり...>
<それがむすび。それが時間>
と淡々と話は続く。架空の地方の山間部に住む女子高生と、東京に住む男子高生が、夢の中で入れ替わるファンタジーである。

シューズは、その用途により多種多様であるが、その紐もいろいろな結び方がある。右と左の紐を縒り合わせては離し、また縒り合わせる。最後にしっかり結ぶ・・・。脱ぐときは結んだ紐を必ず解き、履くときはまた結ぶ。シューズの紐も、走ることをとおして行く先々の人たちや未来の物語と繋がるむすびだろう。

私がレースで履くシューズは、紐が解けないよう両方に輪を作って交差させるやり方で結ぶようにしている。「イアン結び」という方法で、ご存知の方もおられよう。ちょっとだけ手間を要すことから、普段の練習で履くときは蝶結びが多い。

先ごろ、ランニング中に解けた靴紐を反対の足に引っ掛けて転倒するという事故があった。幸い軽い打撲で済んだが、解けた靴紐に気づかなかった自分にショックを受けた。川柳に<つまづいて身より心が傷ついて>という句がある。

せっかく足の状態が回復に向かい、継続的なランニングができるようになったこの時期である。シューズの紐の緩みで再び治療-回復の物語に繋がらないよう、注意を怠るまい。

c0051032_654524.jpg

   (写真)現在練習で履いているシューズ

[PR]

by hasiru123 | 2017-05-07 19:28 | 話題  

注文の多い顧客

吉野弘さんに、電車が好きな、身振りをかくさない木立ちを題材にした詩があった。題名は『緑濃い峠の』。

<風をまとった電車にあおられ/ のけぞり、たわみ/葉裏を返し、激しく揉まれていた線路際の木立ち。・・・>
<一度、電車というものを見に来て/綺麗な電車に一目惚れ/ そのまま線路沿いに住みついてしまった・・・>

この詩を読んで、思わずいつも履いているランニングシューズのことを考えてしまった。シューズと木立の一方的な愛とは比べようもないが、毎朝ひたすら私の足を支えくれている。自分でいうのもなんだが、この足は注文の多い顧客で、しかも気難しい。いつも無理を強いるばかりだが、シューズはけして悲鳴を上げることがない。

2か月ほど前に、故障中の左足の外反母趾の痛みが高じてジョグができなくなることがあった。これまで履いていたシューズはワイドなつくりのものであったが、もう一段ワイドな規格に変えてみた。そしたら、ほとんど痛みを感じることがなく走ることができた。

外反母趾が悪化して親指付け根がさらに突起するようになったための痛みだったが、新しいシューズは顧客の要望に見事に応えてくれた。こういう製品のことを「一目惚れ」とはいわない、でしょうね。

c0051032_19235596.jpg

(写真)クスノキが生い茂る日比谷公園 2017年5月上旬

[PR]

by hasiru123 | 2017-05-01 12:34 | 練習