夢のマラソン

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蟇股

ある若い文学者が泉鏡花の自宅を訪ねたときのこと。「先日、先生原作の芝居を拝見しました」と言うと、「かぶっていましたか」というのが第一声だった。「かぶる」とは、「劇場に客がたくさん入っている」という意味だそうだ。五木寛之さんが「サンデー毎日」6月11日号に書いていた。

また、作家の石川淳さんの編集担当者が新刊を持って挨拶にうかがうと、おほめの言葉を予想していた編集者に石川さんはひと言、「で、さばけてますか」ときいたという。「売れ行きはどうか」という質問だが、五木さんは「すこぶる粋な感じである」と納得しておられた。

ところで、最近私は「入っていますか」と聞かれることがしばしばある。氏子総代を務める三芳野神社(埼玉県指定文化財)の修理工事協賛への協力状況についての問いかけだと思う。大部分は補助金で賄う計画だが、一部足らざるところについては広く個人、法人から浄財の寄進をお願い申し上げている。現在は、3年半かけて行っている塗装工事(漆塗り)の真っ最中である。

その三芳野神社で、ひと月前に工事現場の内部を報道機関に公開した。新聞社や地元のテレビ局などに取材していただいたが、私もテレビカメラの背後から写真を撮らせてもらった。

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四季の行事がある度に社殿の内部に入って目にしていたが、じっくり観察したのはこれが初めてである。これまで、塗装が剥げかかったていたり、日焼けなどで経年劣化が進んでいたものに彩色が施され、明暦の時代(江戸初期)の姿に復元されつつある様子を実感することができた。

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その中でも特に目を引いたのが、塗装中の「蟇股(かえるまた)」だった。蟇股は寺社建築に用いられる、台形の斜辺に繰型(くりがた)をつけたような材のことだ(山川出版社『日本史広辞典』による)。塗装職人の地元である日光市の工場で作業中のものを、この日のために一時持ち帰ってもらったものである。飾られている鶴が今にも飛び出してきそうな気配すら感じられる。

今秋には、工事に差し障りのない範囲で現場を地元の子供たちに見てもらえるようイベントを企画中である。

(写真上)外側から見た天井部
(写真下)一部の蟇股


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by hasiru123 | 2017-07-30 22:46 | その他

自然との二人三脚で

トーストの焼きあがりよく我が部屋の空気 ようよう夏になりゆく

俵万智は詠んだ。自身の書いた『短歌をよむ』(岩波新書)によると、歌意は以下のようである。朝食のためにパンを焼いていて「あっ」と思った。それまでは平均して5分かかっていたトーストが、今朝は4分半でいい。しかもぱりっと焼けている。こんなところにも夏は来ているんだなあ、という心の揺れ。

今日、関東地方から四国にかけて梅雨明けしたと報じられた。日本各地は7月初めから猛暑が続き、九州北部を始めとする地域では記録的な大雨が降り、被害が拡大している。心の揺れというよりも、夏への不安すら感じさせる梅雨明けである。

今朝、走りながら近くの小学校の校庭に足を運んだ。大きなヒマラヤスギの奥からセミの初鳴きを聞いた。いつもの時期のいつものようなセミの声を聞いて、ふと心が安らぐ思いがした。

先に挙げた歌の「ようよう」は、もしかしたら『枕草子』の「春はあけぼの。やうやう白くなりゆく・・・」の本歌取りかもしれない(『枕草子』は歌ではないから、「本歌取り」とは言わないネ)。いつも走っている早朝は、思わず「夏はあけぼの!」と言いたくなるくらいの爽快な気分だ。この先はどうか「記録にならない」程度のふつうの夏であってほしい。

つくづく思う。私たちは自然からエネルギーをもらい、助けられながら生きているということを。自然との二人三脚で、この夏を走りとおしたい。


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by hasiru123 | 2017-07-19 20:25 | 練習

今を受け入れる

毎年7月の北海道で順次開催される長距離記録会がある。「ホクレン・ディスタンスチャレンジ」という。士別市をはじめとする4つの都市で行われ、全国から主だった長距離選手が参加して記録を競う。

昨日の網走大会ですべての大会が終了し、リザルトは日本陸連のサイトで公表されている。大学生や実業団選手は秋以降の駅伝に向けて、高校生はインターハイ(山形)への調整として、記録に挑む。そして、日本選手権で上位入賞した選手は、世界陸上(ロンドン)の参加標準記録の突破を目指して挑戦する。

なぜこの時期に、北海道なのだろうか。まず、日本選手権や対抗戦等の勝負を重視した主要な競技会が一段落したことがあげれる。そして、この時期の北海道は本州以西に比べると湿度、気温ともに低く、長距離の記録作りに適している。選手たちがこぞって北海道に集結する理由はここにある。

さて、今年の成果はどうだっただろうか。

昨日、最後の網走大会が行われた。男子10000mで大迫傑(Nike ORPJT)が27分46秒64で日本人トップの2位に入ったが、世界陸上(ロンドン)の参加標準記録を突破することはできなかった。ちなみに、10000mの標準記録は回を重ねるごとに上がり、現在は27分45秒00というハイレベルである。これも、世界の潮流なのだから仕方のないところである。したがって、男子10000mでは今回の世界陸上への出場者はゼロということになりそうである。

また、男子5000mでも標準記録をクリアした選手は現れなかった。一方で、男子3000m障害は潰滝大記(富士通)が8分29秒05を出して標準記録を突破し、代表入りを濃厚にした(潰滝は日本選手権の優勝者)。

ということで、男子の中長距離種目(競歩を除く)からは3000m障害の潰滝一人ということになりそうだ。日本選手権で代表を決めきれなかった男子だが、その後の標準記録との戦いがいかに難しいものであるかを示したといえるだろう。

これまでに経験したことのない大変深刻な事態である。先のブログに書いたことの繰り返しになるが、現在の気象条件に比べたらかなり恵まれていた6月の日本選手権で記録への挑戦を回避したと思える選手たちの戦略に疑問を感じているし、とても残念である。ここからは、すべては自分の選択した結果だと、今を受け入れることからリスタートするしかないのではないだろうか。


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by hasiru123 | 2017-07-14 19:11 | 話題

夏季合宿を終えて

若葉グリーンメイトの夏季合宿は、7月1日―2日の2日間にわたって実施された。今年も、合宿地は起伏に富んだ新潟県南魚沼郡湯沢町で、自然のシャワーを浴び、温泉の湯にたっぷりつかってきた。あいにくの梅雨の前線が北陸から東北にかけて伸び、当地でも強い雨に見舞われた。

1日目は2回とも大雨の中での練習となったが、2日目は幸運なことに早朝、午前とも練習開始時には雨が上がり、最後まで濡れることなく快適に走ることができた。感謝感激雨あられ。

今回は左脚の故障明けという事情があって、体調の回復具合の確認を目標に掲げた。湯沢町の練習コースは、いずれもいつ走っても大変ハードなところばかりである。具体的に心掛けたことは2つあった。

まず、一番酷使する大腿四頭筋を使い切らないよう余裕をもって練習を終えること。上りはいっぱいいっぱいにならない程度まで追い込むものの、下りは上りで疲労した筋肉を傷めないようペースを抑制することだった。

そして、2日間を通して質と量の面で例年の7割から8割で抑えること。間違ってもオールアウト近くまで追い込まないことに留意した。

練習のコントロールがうまくいったかどうかを測る指標としては、合宿翌日の早朝練習で80分ジョグを問題なくこなせるかどうかで測ることができる。筋肉の張りと痛みが残るのはやむを得ないとしても、問題なく消化することができた。抑制の効果はあったと考えている。

ところで、今年度の大会目標は、11月にハーフマラソンを走り、来春に1本フルマラソンに出場することにおいている。今年こそうまく体調管理を行って、秋の走り込みにもっていければと考えている。

まずは、合宿の走り込みが計画通り進めることができて、ほっとしている。

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by hasiru123 | 2017-07-03 19:58 | 練習