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ドーハの世界陸上は、これまでの五輪や世界陸上とはちょっと違う。

何が違うかというと、元気な種目のトレンドというか、強味と弱みの傾向が変わってきたからである。この30年を大づかみに見ると、1990年代から2000年代前半にかけては、男女長距離(マラソンを含む)が中心だった。00年代後半から10年代にかけては男女長距離に代わって男子短距離(特にリレー)が強くなってきた。

そして、今回は男子100mではベスト記録9秒台の選手が3人出場するなどさらに力をつけてきた。それに加えて、男子跳躍の伸張が目覚ましい。

ドーハの標準有効期限である、18年9月7日~19年9月16日の男子100mランキングでは、サニブラウン・アブデルハキームが12位と小池祐貴が16位、山縣亮太と桐生祥秀が21位に入っている。山縣を除く3名は今回の大会に出場するとみられる。決勝では、アメリカやジャマイカなどの強豪選手にどこまで迫れるかが楽しみである。

一方、男子走り幅跳びでは、城山正太郎が今年8月に8m40の大ジャンプを見せた。今季世界2位に相当する快挙である。また、同じ日の城山より前に橋岡優輝が8m32を跳んだ。両方とも、27年前の日本記録を塗り替えた。

もう一つの跳躍競技は、男子走り高跳びである。。今年2月に、戸辺直人が2メートル35の日本新記録を13年ぶりに更新した。9月10日時点で、世界ランキングの1位をキープしている。本番では、一段高いレベルの争いになることが予想される中で、どこまで記録を伸ばせるかが楽しみである。

跳躍競技は心理的な壁があって難しいとされるが、両種目とも決勝に向けてうまく調整し、上位に食い込んでもらいたい。

男子短距離や跳躍に比べると、中長距離は少し寂しい。女子の5000mと10000mに2名、3000m障害に1名が出場するが、男子はゼロである。日本の陸上競技のの潮目が大きく変わったのだ。これまでに選手と指導者の二人三脚で進めてきた改善と工夫の芽が開きつつあるのだと思う。

つい、つるりとした単語で総括してしまったが、本当のところは、自分にはよくわからない。10日間の熱戦をじっくり見ながら、そのヒントを探りたい。


# by hasiru123 | 2019-09-27 21:11 | その他

視野が狭くなる

数日前に、小ブログで練習中の転倒でけがしたことを書いた。

不整地を走っていて、足先が草の根っこに引っかかったのではないかと思っているが、なぜ足を引っかけたのかはよくわからない。足元をちゃんと見ていなかったからとも言えるし、瞬発的に反応する速筋繊維が弱くなって足がしっかり上がっていなかったからだとも言える。考えてみると、要因は他にもありそうだ。

それは、「視野」が狭くなっているということである。若いときであれば、前を見ていれば右や左のものも少しは視界に入っていたであろうし、上や下も見えていただろう。ところが、今は周囲の情報が目に入りにくくなっているのではないかと思う。また、見ているようでいて、じつは見ていないのかもしれない。そんな症状(あるいは現象)が徐々に進行しているような気がする。

私が通常使用しているランニングコースは田園地帯だから、視野が狭くなったからといってもさしたる危険はないと思うが、街中であればかなり危ないことかもしれない。ましてや車の運転ということになると、リスクの度合いはいっそう高まる。駐車場での車の出し入れや車道での歩行者の飛び出し、自転車や歩行者とのすれ違いなど、ヒヤリハットを拾い上げたらキリがない。

事故が起こる前に、いち早く物理的な視野狭窄(きょうそ)を認識して、対策を講じるしかないだろう。

話は少し横道にそれるが、視野が狭くなるということについてはもう一つやっかいな問題がある。それは、物事を考えたり判断したりする範囲を意味する「視野」のことである。たとえば、雑談などで自分だけが一方的にしゃべっているとか、人の意見を聞き入れないなどというケースがあったら、これにあたる可能性が高い。それが原因で命を落としたり人を傷つけたりすることはない代わりに、人から指摘されたり自覚したりすることもない。「視野をもっと広げたいんです」といって医師に相談するようなことではないだけに、改善が難しい。

なぜならば、この場合の視野は人によって感じ方が違うし、狭いというのは、必ずしも悪いことばかりではない。むしろ、人の生き方の問題かもしれないからだ。


# by hasiru123 | 2019-09-26 18:45 | 練習

畏れるということ

ようやく暑い夏が終わり、だいぶ夜が涼しくなってきた。

9月中旬のことである。久々にカラリと晴れた好天気だったので、これまでよりも長めの距離を走り込んでいたところ、疲れが足にきたのかもしれない。うっかりつまずいて、転倒し、顔を強く打った。ほほのあたりを擦り、目じりを切ったため3針縫うことになった。また、顔ほどではないが右肩と右ひざに擦り傷ができた。

どのような経緯で足を引っかけ、つまづいたのか、よく覚えていない。それは、あっという間の出来事だった。不整地を走っていたときのことなので、おそらく草の根っこにでも引っかかったのではないだろうか。

不注意だったと言うほかない。しかし、よく足元を見ながら走っていれば回避できたかと言えば、そうとはいえないだろう。膝から下がよく上がっていなければ、つま先が草の根にあたることだってある。脚筋力の衰えが忍び寄っているように思える。

これからは疲労をためないよう細心の注意を払って、ランニングに取り組むということに尽きる。

ふと、『養生訓』の一文を思い出した。からだを維持し、養生するのにとても大切な一字があるというのだ。その一字とは--。

「畏(おそるる)の字これなり。畏るるとは身を守る心法なり」。

すべてに過ちのないようにつとめて、いつも天道を畏れ敬い、天道に慎んでしたがう。すなわち、人間の欲望を畏れ、慎んで我慢することだ、と貝原益軒は書いている。

畏れることが慎みに向かう出発点であり、畏れるところから慎みの心がうまれるのだとも言っている。

けがを怖がっているばかりでは何も生まれないが、自分の体力の衰えを受け入れた上で、新しい展開を探る、それが大事なことだと気づかされた。それが、難問だ。


# by hasiru123 | 2019-09-22 20:47 | 練習

男子のMGC

手に汗をにぎる、まれにみるハイレベルのレースだった。ここで結果を出さなくてはいけないという緊張感をもたらす一発選考は、やはりすばらしい。昨日行われたマラソンの五輪切符を争うMGCを見て、そう思った。

9時のスタート地点の天気は晴れ、気温26.5度、湿度63パーセント。11時過ぎのゴール時点では晴れ、28.8度、61パーセントだった。ただし、樹の少ない路面上で感じる暑さはもっと高かったと思われる。

先行逃げ切りで行くか、終盤の勝負に持ち込むかは選手それぞれの戦略による。いづれにしても、走り込みで鍛えた身体の土台に当日の気象コンデションや身体コンディションを考慮して、レースを組み立てる。当たり前ののことかもしれないが、給水や氷の使用も大事である。予選を勝ち抜いてきた選手たちにミスは許されない。

その点では、優勝した中村匠吾(富士通)と2位の服部勇馬(トヨタ自動車)は満点だったと思う。まず中村は、マラソンのベスト記録は2時間8分16秒で、全体の8番目のタイムである。それでも持ち前の暑さに強いという体質に加え、上りに強く終盤に粘りを発揮できるタイプの選手だ。設楽悠太(ホンダ)が集団から飛び出し独走する中で、前半はじっくり第2集団につき、あまり重圧を感じることなく(たぶん?)、思いどおりの走りができたようだ。

一旦は、残り1キロから追いついた大迫傑(ナイキ)を引き離した最後の800メートル。ここは、最後の大きな上りがあって、中村には願ってもないスパート地点だったのではないだろうか。

服部は、終始好位置をキープして、仕掛けどころを間違えることなく、残り300メートルで大迫をかわして2位に上がった。昨年の福岡の優勝を彷彿させるすばらしい粘りと勝負勘を見せてくれた。第2集団の中ではやや出入りが多かったので、終盤どうかなと思ったが、杞憂に終わった。

大迫は3位で五輪代表の即内定を逃したが、持てる力をふり絞って戦った。いつもの大迫とは違い、集団の中での移動が少なからず見られ、後ろを振り向くシーンも何度か見られた。設楽が始めから飛ばすのは予想された展開だったとはいえ、集団の中でいちばん気にしていたのが大迫ではなかっただろうか。これで少し不安を感じたかもしれない。スパートした地点は急な下りで大迫の得意とするところではあったが、余力がなかったこととそのあとに中村向きの上りが残されていたことが災いした。

あくまでも私見だが、代表の座を逃した設楽は好不調の波が大きい選手である。調子のピーキングを誤った可能性は否定できない。また、気温を考えて5キロのラップをもう5、6秒遅い設定で入ったとしたら、もう少し終盤の落ち込みを軽減することができたかもしれない。しかし、第2集団から見えないくらいのところで走るというのが彼の走り方だとしたら、やむを得なかったかもしれない。最近の五輪では、東アフリカの選手たちは暑さをもろともせずにハイペースで走りきるようになっている。設楽のような先行逃げ切りで臨まないと、来年の五輪は太刀打ちできなだろうという想定もありだ。

今回内定を勝ち取れなかった選手はもちろんのこと、MGCに出られなかった選手にもあと一つの枠が残されている。ハードルは高いが、果敢に挑戦してもらいたい。


# by hasiru123 | 2019-09-16 18:26 | マラソン

MGC


東京五輪の男女マラソン代表を決めるMGC(マラソングランドチャンピオンシップ)は、9月15日(日)に開催される。男女とも1・2位になれば、代表が即内定する。3人目の選手は、後日開催されるMGCファイナルチャレンジ(マラソングランドチャンピオンシップファイナルチャレンジ)の結果次第で決定する。

2位までに入れば、MGCの疲労を抜いて早く五輪の準備に入ることができる。また、MGCファイナルチャレンジのレベルが相当に高いことを考慮すると、最低でも3位までに入ることが必要だ。

コースは東京オリンピックの本番とほぼ同じ。「ほぼ」と書いたのは、本番での発着点となる新国立競技場がまだ完成していないためだ。近くの明治神宮外苑からスタートし、フィニッシュすることになる。日本陸連が発表したコースマップを見ると、現在の東京マラソンと2006年までの東京国際マラソン、2008年までの東京国際女子マラソンを重ねたコースといえる。

このコースは、35キロ過ぎの水道橋駅から四ツ谷にかけて厳しい上り坂がある。ということは、前半の3キロ以降には急な下り坂があるということでもある。その高低差は約30メートル。

この難所で、過去にさまざまドラマがあった。特に五輪選考がかかった1992年の男子(森下光一ら)や2004年の女子(高橋尚子ら)では、歴史に残るデッドヒートが展開された。当日、神宮外苑のいちょう並木に先頭で入ってくるのはどの選手だろうか。

私が気になるのは二つ。一つは、9月中旬という時期から、晴れると残暑が厳しくなるのではないか、ということだ。来年8月開催の東京五輪を念頭におくならば、ここでは高温や高湿への対応力が試されることになるが、選手の健康面が心配だ。

二つ目は、台風シーズンに入って、もし選考レースの当日に悪天候になったとき、どう対処するか、だ。危険を承知の上で強行するか、それとも期日を換えて別途代替レースを開催するか。後者の場合に、いつ開催するのかとか、スポンサーをどう確保するか、警察の協力は得られるか、そして選手のコンディションをどう維持するのかなどと、拾い挙げたらきりがない。そうなれば、MGCファイナルチャレンジの実施も含めて、選考基準の大幅な見直しが必要となろう。

私が心配するまでもなく、主催者は何らかの危機管理対策を考えていることだろうが。


# by hasiru123 | 2019-09-04 19:29 | マラソン